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「死」をテーマとした唯一無二なユニークな作品「だれも死なない日」

<文学(74歩目)>
2020年からの緊急事態宣言で読んだ本、集中力を要求されるがすごいところを突いている。
誰も死ななくなったらどうなるの?これの想定外の解がありました。

だれも死なない日
ジョゼ・サラマーゴ (著), 雨沢泰 (翻訳)
河出書房新社

「74歩目」はポルトガルのジョゼ・サラマーゴさんの快作(あるいは怪作)。

ジョゼ・サラマーゴさんはポルトガル語圏初のノーベル文学賞作家。しかし、ノーベル文学集受賞者ですが、友人が「文体が難しい」とのアドバイスで遠ざけていた。

それが緊急事態宣言からの激動の日々で、代表作でもある「白の闇」(もしも全員が盲目になる伝染病のパンデミックが起きたら?)を読む気になって衝撃。
その流れでこの作品を読みました。

この作品に限らず、ジョゼ・サラマーゴさんの作品に「取り組む(気合い入れないと読破不可能)」際には、集中力が続く環境に身を置いて、最初の50ページに取り組む。
そして、「イケる」となったら、その余勢で一気に読み込む。「ダメだ」と思ったら、何時かまた読む時のために「積読」に移行しかない。
それくらい、非常に読みづらい文体です。

しかし、集中力が途切れないで一気読みできる環境下において、「すごい」「う~」となることを保証します。
途中で、こんな描き方があるんだ・・・と私は仰け反りました。
「死」と「愛(love)」は切り離せない関係です。

そして途中で出てくる「不滅の高齢者の大群」にまつわる話は、微苦笑から大笑いまでいきます。

それにしても、こんなユニークな世界を描き切るとは!なんたる才能と思いました。
また、この作品を書いていたのはなんと83歳で「死」が見えてきた時期だと思います。
にもかかわらず、すごい集中力で描き切るとこに驚きました。
作家デビューは60歳。そして、亡くなる前年までどんどん作品を書く。
「死」とは異なりますが、「老い」というものも、精神を若く保てば色々なことが実現できるのだな!と深く感じました。

驚きの作品です。

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