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透徹した文章の中に運命を感じた「さすらう者たち」

<文学(125歩目)>
色々な中国の作家の作品を読む中で、大きな歴史の流れに翻弄される民衆の物語に出会う。ある作品では、面白おかしく。ある作品では悲しみ打ちひしがれて。
その中でも、このイーユン・リーさんの作品は群を抜いています。

さすらう者たち
イーユン・リー (著), 篠森 ゆりこ (翻訳)
河出書房新社

「125歩目」は、イーユン・リーさんの素晴らしい作品。

短期間に2回読みました。どうしても、イーユン・リーさんが訴える「この小説を歴史や政治の記録として読まないでほしい」と書かれているが、最初はどうしても中国共産党の負の歴史として読んでいた。

2回目はそれぞれの群像劇を彩る登場人物の運命について。
ささやかな幸せや富や愛を得たいと願い日常生活をひたすら営む登場人物たちが身近になり、その運命に心が動揺した。

この群像劇では、とても心に刺さる言葉が、それぞれの登場人物から発せられる。それが透徹した真理の言葉でもあり、とても重たい。
細かな点では、自然描写が素晴らしい。これが、人間の諸事との対称になっている。

中国近代史の中の負の一面として読むのではなく、群像劇の中からいろいろと心をうつ言葉を探すだけでも良い時間が過ごせたと思った。
素晴らしい作品です。

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