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おりたらあかんの読書ログ

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年間100冊を15年間続けてきました。でも、本当に知らないことばかり!というかアウトプットがまだ少ないなあと感じています。過去に読んだ本は「読書ログ」としてまとめてきたので、それ…
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2022年8月の記事一覧

坂口恭平「独立国家のつくりかた」講談社現代新書

坂口恭平「独立国家のつくりかた」講談社現代新書

表題をみて、「ま、表題でつるやつね・・」って感じで斜に構えて読んでみたら、「お!そうきたか!」と何度も膝をついてしまった。良い意味で予想が外れた。こういう出会いは好きだ。

著者、坂口恭平については「苦しい時は電話して」という本で初めて知った。まわりにいる苦しんでいる人をどのようにサポートしたらいいかわからないときに出会った本だ。かなりの説得力があった。

実は、筆者自らが躁鬱を患っており、常に自

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坂口安吾「風と光と二十の私と」講談社文芸文庫

坂口安吾「風と光と二十の私と」講談社文芸文庫

俺の好きな作家のひとり、安吾のエッセー。非情極まる家庭環境、奔放な性生活など、彼らしい筆致で赤裸々に描かれている。

解説にはこんな下りがあった。
「安吾の魂の自伝である(中略)石の沈黙、水の流動、風の勢い・・こういった無機質な運動のイメージが安吾の文学世界の底流に常に孕まれている・・石、水、風、といった組成成分であり、それに光を加えることによって安吾文学の世界の原形質が光合成されることになるのだ

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中尾良信「日本禅宗の伝説と歴史」吉川弘文館

中尾良信「日本禅宗の伝説と歴史」吉川弘文館


禅宗の開祖達磨について恥ずかしながら初めてわかったことがいくつかあった。「洛陽伽藍記」という信頼性の高い記述に「波斯国(ペルシャ)からきた達磨が洛陽の永寧寺の美しさに感嘆し、連日「南無」と唱えて立ち尽くしていた」とあるらしい。そう、中国禅宗の開祖である達磨はインド人あるいはペルシャ人だということだ。確かに達磨図をみると胸毛も濃いし?風貌も中東系だ。今の禅宗は六祖と呼ばれる慧能が祖と仰がれている。

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ロベルト・ユンク「テクノクラシー帝国の崩壊」藤原書店

ロベルト・ユンク「テクノクラシー帝国の崩壊」藤原書店


著者はドイツ出身のユダヤ系ジャーナリスト。1994年に亡くなっており、この著作は1988年に出ている。反核運動の旗手としても有名でヒロシマ被爆を欧州に伝えた。また、ザルツブルクに「未来問題のための国際図書館」を設立するなど、未来の問題に向けてあらゆる可能性を模索する運動家でもあった。

歴史的にみると啓蒙と抵抗は繰り返しながら支配者の権力をさらに強める結果をもたらしてきた。民主主義の礎とされるフ

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後藤広史他「ソーシャルワーカーのソダチ」生活書院

後藤広史他「ソーシャルワーカーのソダチ」生活書院


わかるようでわからない分野。しかし、これからの未来を考えると極めて重要な分野。少し知ってみたいという好奇心で読んだ。著者は地方の短期大学でソーシャルワーカー育成に携わっている教育者だ。俺と同じ教育現場の人だ。ソーシャルワーカーとは具体的にどんな職業なのか?わかっているようでわからない。ケアワーカーと何が違うんだろ?正直なところ明確な境界線ははっきりしていない。

「社会福祉士及び介護福祉士法」の

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