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真夜中の自意識

中学時代、「中学時代」という月刊雑誌を取っていた。螢雪時代とかそんな雑誌があった頃であまりよく覚えていないんだが。昔過ぎて。
その「中学時代」の文芸欄に自作の詩を投稿したら入選しちゃった。確かそのタイトルが「真夜中の自意識」という中途半端な自分探し大好き症の走り書きで、私は掲載されたものを目にして卒倒しそうだった。何故投稿したのかわからない。まさに自意識過剰だったんだろう。当時、その雑誌の文通欄に応募するような女友達もいたので、読者参加傾向が強い雑誌だったのかもしれない。私の詩には女の子がぽわんと夢みているような挿絵が付けられていて、更なる恥ずかしさに息が止まるかのごとく、のたうち回った。
どういう詩かというと、夜中に一人で夜更かししていると世界はどうなっているのかしらと思いを馳せたり、どんどん妄想が広がって自分のことも普段とは違う性格なのではと疑うと言った青春ドストレート、つまり誰にとっても他人のどうでもいいことをくどくど書いていた。太宰治かよ。テスト勉強中かなにかで深夜1人で悶々としていたから書けたんだろう。当時、本屋に並んでる本に友達が載るというのは大事件なので、この本のことを高校生の時まで話題にされ続けた。またこの件でなんとなく文才ある人というレッテルが貼られ、読者感想文も適当に解説を繋ぎ合わせたら賞をとったりしたものだから、学校の応援歌みたいなのを作詞するハメになった。もともと凡人なのでかっこいい言葉が浮かばなくて、適当に作りました。才能がないのでごめんなさい。我が母校。皆が勘違いしたんだからね。この歌はもう誰も歌っていません。青春ってほろ苦いね。自意識過剰は治っていません。

真夜中といえば今不眠症。隣で寝ている普段は優しい夫が突然大きな声で「おい。もう一度言ってみろ!」「殺すぞ、おい!」などと修羅の言葉を連発するので怖くて寝られない。また息子が24時間ジムに夜中にトレーニングに行くので、ガチャガチャ音がしてこれも安眠できず。夫は今日も2回ほど雄叫びになり、完全に私は覚醒。
1人で自意識とのびのび遊んでた遠い昔、それはそれで幸せだったねと窮屈になった自意識が微笑う夜。


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