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Vol4. イギリス滞在記〜名画だらけのナショナルギャラリーへ

イギリスにワーホリで滞在中のMaddieです。

先日Tate Britainに行ってきたばかりですが、絵画熱は冷めずNational Gallery(ナショナルギャラリー)にも行って参りました。

National GalleryはTate Britainと違ってお客さんがかなり多かったです。私は土曜日の午後に行って入館するまでに少しだけ並びました。朝一はもっと並ぶかもしれません。

ちなみに大英博物館はもっと酷くて、敷地の外の道路まで並ばされて雨の中20〜30分くらい待ちました…。

なぜ並ぶことになるのか。 それは荷物チェックがあるからです。昔はそんなことなく、ふらっと美術館に入れたのですが、最近はどこもセキュリティチェックが必ずあります。

ここ数年、環境活動家たちによる有名作品のヴァンダリズム(破壊行為)が頻発しているのでそのせいだろうなと思います。私たちは絵画を単純に楽しむために来ているのに、その活動のせいで規制が多くなってしまうのは本当に遺憾です。

ヴァンダリズムについてはさておき、本題のナショナルギャラリー訪問ログをこちらでご紹介したいと思います♪


はじめに:美術館側がMust Seeとしている作品

Rooms9-29、Rooms30-45 はメイン階にあり、Rooms9-29はルネサンス〜バロック期の作品、Rooms30-45はそれ以降の作品が展示されています。

モネやゴッホなどの印象派絵画が見たい方は、Rooms30-45から見たほうか良いかと思います。何せ館内とても広いので、優先順位をつけないと疲れてしまいます(笑)。

RoomsB-Fは、レストランやカフェがある階下にあります。初期ルネサンスの宗教画がほとんどですので、興味がない場合はさらーっと通り過ぎても良いかと思います。

もちろん、全ての展示品を見たいんだという方はカフェで休憩しながら見てくださいね。

カフェご飯はこんな感じ(ヨーグルトソースのチキンとカレー味のスープ。ていうか2品でチキンカレーになった)


ちなみに、美術館の中はけっこう暑いので上着やカーディガンなど脱げるよう下にTシャツを仕込んでおいたほうがいいかと思います。

また、上着も持ち歩きやすい軽いものがおすすめです。5月のロンドンの気温は昼間は20度近くまで上がってきていますが、朝晩は冷え込むので上着は必携です。

気に入った作品たち

さて、ここからは個人的に気に入った作品をピックアップしてご紹介していきたいと思います。印象派の作品ばかりですが悪しからず。

モネ - 日没前の睡蓮が美しい作品

Water-Lilies, Setting Sun, about 1907

モネといえば睡蓮の連作が人気ですよね。
ここナショナルギャラリーにも大きなキャンバスに描かれた作品と、こちらの写真の小さなものの2点が展示されていました。

沈みゆく太陽の光が水面に映る様子が描かれています。なんといっても薄い紫や黄色で表現された光の色合いが美しく、本当に水面をのぞいているような気がしてきます。


ちなみに今回は展示されていなかったのですが、7年前に私がナショナルギャラリーを訪れたときに見たモネの作品で印象に残ったものがこちら。

The Thames below Westminster / about 1871

モネはロンドンを訪れ制作活動を行なっていました。こちらの作品は霧がかったロンドンの街を題材にしています。テムズ川にかかる橋の向こうに見えるのはあの有名なビッグ・ベンです。

残念ながら今回は実物を見ることはできなかったのですが、実際のロンドンの街も霧があるとこのようにモヤがかかって視界が悪くなります。

モネは"ロンドンの霧"についてこんな言葉を残しています。

“Without fog London would not be beautiful”
霧がなければロンドンは美しい街とは言えないだろう


まさに画家の感性が光る言葉です。私みたいな凡人は、霧がないほうが景色も綺麗だしヘアスタイルが崩れる心配もないのになあ〜と思っちゃいますが(笑)。

セザンヌ - 南フランスの印象を捉えた作品

The Sea at L'Estaque, 1876

セザンヌの作品もたくさん展示されていましたが、個人的に気に入ったのがこちら。南フランスのマルセイユ郊外にあるエスタックという港町を題材とした作品だそうです。

地中海の太陽の光と海の色が忠実に再現されています。海の向こうには白い岩肌の絶壁が見えますが、それも南フランスらしさを際立たせます。家々の朱色の屋根と海の色の対比も色鮮やかです。

私はつい最近マルセイユに旅行したので、こんな空の色や太陽の光だったなあと思い出しました。この絵はもちろん写実的に描かれたものではないけれど、南フランスの ”印象” はそのまま絵で表現されていると思います。

結局私たちは”印象”で物事を覚えていることが多いような気がします。だからこそ、その場所に行ったことがある人間は特に絵に引き込まれるのではないでしょうか。

ゴッホ - ひまわり以外の隠れた名作

Portrait of Adeline Ravoux, the innkeeper's Daughter, 1890


ナショナルギャラリーが保有するゴッホの作品といえば「ひまわり」が一番有名ですが、あえてこちらの絵をピックアップしました。

12歳の少女の肖像画で、ゴッホが亡くなる前の10週間の間に描かれたそうです。

ゴッホ後期に見られる力強い筆使いが印象的な作品です。写真でご覧頂いても絵の具の盛り上がり具合が分かりますよね。個人的には版画のようだなと思いました。

遠くから見ても存在感を発揮するこの絵に思わず引き込まれました。

クリムト - 女性像が魅力的

Portrait of Hermine Gallia, 1904

展示されている場所が悪く、人々がちょうど通り過ぎる位置に追いやられていたクリムトさんの作品(笑)。

せっかく魅力的な絵なのになあと思いつつ、しっかりカメラに収めました。

やはりクリムトが描く女性像はどれも魅力的です。他のクリムト作品の「接吻」や「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」などと比べると装飾は少なく地味な印象ですが、こちらの作品でもドレスのレース部分など細部まで描かれていてエレガントです。レースの透け感の表現も美しいです。

ホドラー - 美しいスイスの山

The Kien Valley with the Bluemlisalp Massif, 1902

個人的にホドラーの作品はノーマークというか、ほとんど見たことなかったのでこちらの作品には感動しました。

スイスのアルプスの方には行ったことがないのですが、きっとこんなふうに夏は緑豊かで遠くには永久凍土の山に残る雪が見えるんだろうなと思わせてくれます。

この作品も写実的に描いている訳ではないのに、アルプスってこんな感じなんだと絵の世界に入り込めるのが驚きでした。

実はホドラー作品がたくさん置いてあるチューリッヒ美術館には過去に行ったことがあるのですが、もう一度行ってみたくなりました。


ルソー - おなじみのジャングルの絵

Surprised!, 1891

ルソーはジャングルを題材にした絵が有名ですが、ルソーが生きていた頃は画風が斬新すぎて世間には受け入れられなかったとのこと。

今でこそ面白い絵だなと思いますが、遠近法を無視した浮世絵のような、背景が重なり合って絵を構成する絵などは当時は存在しなかったので、当時の人々はびっくりしたでしょうね。

…というような話が原田マハさんの『楽園のカンヴァス』でもあったかと思います。この本がルソーに興味をもったきっかけになりました。

MoMAにある「夢」もいつか見てみたいものです。



以上、ナショナルギャラリー訪問記でした♪
ここまでお読みいただきありがとうございました!

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