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人生最後に食べたいもの

…とは、なんでしょう。

名店のお寿司に、あの繁盛店の熟成肉、それともいつも並んで食べるラーメン?
もしかしたら、お母さま手作りの大好きなおかずかもしれません。

食べることが、ひとの命を繋ぐ術から、人間独自の「料理」という作業によっていつしか愉しみに変わり、さらに美味しいものへの飽くなき追求によって数限りない料理の数々が生まれ、今のこれほどまでの飽食の時代に。

私自身も、今まで生きてきた中で出会った、さまざまな美味しいものや、忘れがたい味、数知れずで迷いに迷うのですが、
最後に何を食べたいか、と聞かれるたび
いつも頭から離れなくなるのが、
“日本の朝ごはん”です。
どう考えても、そこにたどり着く私。


甘さ控えめなふんわり卵焼き。
百合根入りなんかもいいなあ。

刺身でも煮魚でも焼き魚でもいいから、光りものをなにか。

飛魚のたたき
鰯梅煮
大好物♡しめ鯖

それに季節の野菜料理をひとつ。
美味しい漬物もいいですね。

夏の辣泡菜
筍と蕨の含め煮

納豆も。今のご時世なら、すごいやつ、かな。

あとは、炊き立てご飯に具沢山の味噌汁があれば
もう言うことありません。

いか下足入りのっぺい汁

モーニングルーティンよろしく、
朝のご飯は日々そんなに変わらずに、
思い出も、毎回同じように積み重なっていきます。
だから、殊更強い印象で、真っ先に思い浮かぶのかも知れません。

うちのは日本の朝ごはんですが、
同様に忘れ難いのが、
旅先でのそれもホテルではない街角の片隅で頂く、朝食です。

韓国の朝ごはんは、食卓いっぱいの副菜というイメージ。

これは釜山のしじみ汁のお店。焼き魚にビビンパ、ナムル、チゲ、生野菜、漬物と、その品数の多さに圧倒された覚えがあります。

ベトナム、ホーチミンの河畔のレストランの朝食。

色鮮やかなフルーツと野菜が種類豊富に使われていました。手前はかぼちゃとエノキのフムス。小さなグラスは濃いデトックスジュースのショットでした。

台北の路地裏で、地元の皆さんが仕事前に立ち寄るお店でのお粥とおかずの朝ごはん。


見ての通りなんの飾り気もないのですが、ホテルのきれいなビュッフェの朝食より何倍も美味しくて唸った思い出があります。

他にも、
パリではパンとジャムだけだったけれど、毎朝通いたいくらいとびきり美味しいカフェがあった。とか、
ハワイのパンケーキは有名だけれど、何もかも多すぎて食べきれなかった代わりに、少し不便な場所だったけれどバインセオが美味しい店を見つけた!など、
強烈に一つ一つの品を覚えているのは、やはり朝食。
不思議です。
…これは私だけかも知れませんね。
少なくとも、自分の中の朝ごはんが、相当重要だったのだ、ということはわかりました。

今日も明日も、その先も、
前の日の残り物や、お弁当のおかずの余りなどあれこれ並べた、変わり映えのしない朝ご飯を並べて日々食べ続けるのでしょう。
けれど振り返れば、
忙しくて何かをしながら立って食べていた頃や、家族の出かける時間がバラバラで、揃って食べられずに3回時間差で同じものを作っていた頃も。 
変わらないようでも、実はずっと同じではなくなっていくのだ、というのを今、より強く感じます。
そんな毎日の朝ごはんの思い出は、楽しくても苦しくても、あとになれば一つ一つが忘れ難い宝物。
何気ない日々の暮らしをたいせつにしたい、と今さらながら思うのです。

つまるところ、人生最後に食べたいものとは、
一番かけがえないと感じる思い出を連れてきてくれる味、ではないでしょうか。

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