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ワタリウマ ー遥かな水源を巡る旅ー 茨城編

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#離島

宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その0 島のおためし〜

宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その0 島のおためし〜

2019年夏、宝島に渡る事が決まったのは、
あるメールのやりとりからだった。

相手は一家で宝島に移住し、
滞在型リトリートを開催するとのこと。
その期間予定があえば、
演奏してもらえないかとオファーの話が
持ち上がり、私は二つ返事で快諾した。

「宝島(たからじま)」。
ドラゴンボールの主題歌が脳内にこだまする。
「この世はでっかい宝島♪」。
アニメの世界でしか耳にしなかった名前の島が、

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宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その1 見送るリュウゼツラン〜

宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その1 見送るリュウゼツラン〜

フェリー乗り場に着くと、
巨大な一隻のフェリー、
「フェリーとしま2」が停泊していた。

鹿児島港 23時発、
宝島着は、なんと翌昼の11時40分着予定。およそ12時間に及ぶ船旅が
始まろうとしている。

近くのコンビニで食料と水分をそろえ、
準備万全で港に戻る途中、
ふと水場に目をやると
リュウゼツランの株があらわれる。

テキーラやアガペシロップの原料にもなる植物の株だ。(リュウゼツラン

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宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その2 しまわたり〜

宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その2 しまわたり〜

フェリーの中。
もう夜も遅い時間なのと、
揺れに耐えられず、
横になるしかない。

暗い海の上で、
平行感覚を失った身体は、
抗うことも許されずにかき混ぜられる。

目を閉じ、聞こえてくる
エンジン音を頼りにするも、
思念思考は、溶かされ、
どろどろに無形化する。
これも島々を渡るための身体儀礼で、
必要な準備なのだ。
と目を閉じたまぶたの暗闇で
言い聞かせてみる。

フェリーは
トカラ列

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宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その6 海釣り〜

宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その6 海釣り〜

海釣りに同行させてもらった。
何しろ初心者なので、手とり足とり教えを受ける。

魚の餌をつけた竿を片手に、もう片方の手にはクーラーボックス。足に波飛沫を浴びながら、
見定められた場所までごつごつした岩肌を歩く。

後ろを振り返れば、雄大なイマキラ岳だ。

岩間の深い溝に向かって釣り糸をたらし、
見よう見真似で釣竿を動かしながら、
獲物が食いつくのを待つ。
正面には小宝島が見える。

魚の反応がなか

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宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その7 赤逢黒逢(アコウクロウ)〜

宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その7 赤逢黒逢(アコウクロウ)〜

2日目の夕方。
海での演奏会をしようと一同はあの海辺へと向かった。

浜辺に着くと親子がいた。宝島で島バナナを栽培している方で、すれ違って会釈をした方だ。その時、相手は大きなユンボに乗っていたので遠かったが、海辺ではじめて正面で言葉を交わした。

島の人の瞳は浅黄色で、吸いこまれるようだった。海の色でもあり、森の色、両方が合わさった宇宙の色でもあった。

島のまなざしに見守られながら、
ディジュリ

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