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2020年5月の記事一覧

トラブル・ジャンキー

骸から流れる血が
始まりの海に還る時
僕は何を思うだろう
素敵な名を付けて
新しい體をくれた
父と母はもう
何処にも居ないのに
幻覚の宴に溺れ
懐かしいあの日を探す
トラブルに抱かれて

SAVAREZ

古びた弦を変えれば
やり直せると思った
跡形も無い程に
砕け散ったとしても
何度音を鳴らそうが
元には戻らなかった
がらんどうの心に
差し込む夏日が眩しく
僕は全てを悟って
何もかも諦めてしまった

孤独の中で
兎は死なない
誰かが勝手に
広めただけ
下らない嘘や
勝手な妄想で
僕を殺すのは
止めてくれ
君が死ぬのは
別に構わないから

気が狂った貴方を

ラベンダーの花束を見て
可愛い子犬ねと貴方は笑う
誰よりも美しい笑顔で
僕は窓の無い病室の外を
眺めながら悲しみを探した
夢の檻に囚われた心は
二度と元には戻らないけど
それでも奇跡を願ってしまう
僕は弱い人なのだろうね
気が狂った貴方をもう
僕はまともに見れやしない
それでも貴方は許してくれる
穏やかなあの頃と変わらず

回帰

外の光を覆う引き籠り
カーテンの向こうは
何かに取り付かれた人が
背中の螺子を巻かれて
動いてると疑わない
生まれ変わる事は叶わず
遮断されその命を閉じても

フショク

鉄の香りの様な
地面に倒れる
灰色の人達は
名前を捨てて
今日も姿を隠し
誰かを追い立てる
僕は独り街を歩こう
人殺しの気分で

野蛮な口付け

綺麗事だけで
私は生きて来れた
貴方に野蛮な
口付けをされるまで
戸惑いも必要だと
囁いて貴方は消えた
それからの私は
日々欲望を求め彷徨う
卑しいと蔑まれても

夏の雪駄

絡んで来る相手を
雪駄で蹴り倒す不良
退屈な街の空には
淡色の虹すら見えない
灼けたアスファルトが
夏を連れて来る頃
異国の空へ向かおう
清純な心の儘でさ

ニーナ

安いブランケットの様に
抱かれていたあの頃
貴方が私にくれた
純白のドレスは
もう穢れてしまったわ
醜く歪んで逝く私を
時に思い出したなら
骨すら残らない程強く
何度も噛み殺して

少女S

ミラーボールの下で
皆殺しのワルツを
共に踊らないか
手を取り合って
名も知らない誰かと
君が幸せに為って
僕を忘れてもいい
だから今夜は
秘密を分けあおう
二人だけの世界で

髑髏に為るまで

命は借り物なのだから
必ず返す時が来ると
幼い頃父が言ってた
とても凍れる冬の夜に
父は自らの命を返した
火葬場で焼き尽くされ
父が髑髏に為るまで僕は
悲しみを探していたけど
それは何処にもなかった
そんな事も知らなかったんだ

紅い日曜日

血で染まる筈の日曜日
改革には犠牲が伴う
そう教わって生きて来た
お前の願いは叶わない
愚者には愚者をぶつけて
共に消し去るのが最善だ
此れでお終いにしよう
お前の信じる神の元へは
梟の王が運んでくれるから
次に生まれ変わる事すら
叶わず其処で消えて逝け

ザラメ

ザラメが降る故郷を
思い出す人殺し
追われる様に逃げた
過去はかき消せず
憎まれながら
死んで逝くだけ
違う生き方を
選べたのならば
美しい事を
知れたのだろうか
何も分からずに
鉛の花は體を貫く
全てを嘲笑いながら

ロンドンパンク

腰まで下げた
テレキャスター
かき鳴らす
ロックンローラー
素敵な事は
砕けたりしない
僕はそう思う
ロンドンパンク
凍えそうな
日々を溶かし
太陽の様に優しく
鳴り続けるのさ