烏丸百九です。タイトル通りですが、悲惨なニュースが飛び込んできたので、緊急的に更新いたします。
※この記事には、致命的な暴力行為およびヘイトスピーチの描写が含まれています。当事者でない方々も、閲覧には十分注意してください。
「ヘイトクライム」を同定する証拠は今のところ見つかっていませんが、イギリスの大手メディアの多くは、被害者がトランスジェンダーであることを華麗にスルーする一方、恐ろしい保守派メディアである「デイリー・メール」紙はゲイさんを「少年」と書き、それを受けて「The Times」紙は彼女のデッドネームを公開しました。
両紙がいかにロクでもないメディアかは以前のnoteで詳しく書いたので、↓よければご参照ください。
流石に読者の抗議が殺到したためか、現在は穏当な修正を加えたようですが、イギリスの各種メディアがこの手のヘイトクライムの発生を煽ってきたことを、図らずも自ら証明してしまったように思います。
この事件でおそらく重要なことは、犯人が十代の(たぶんシスジェンダーの)少年少女だったという点だと思います。言うまでもなく、社会や大人から最も影響を受けやすい時期の人々です。
私はこの手の悲惨な少年犯罪を見る度、自分の子ども時代に世間を大いに騒がせた酒鬼薔薇聖斗の事件を思い出します。彼の精神鑑定の結果には、以下の印象深い一節があります。
いくらJ.K.ローリングのような愚かな人物が憎悪を煽ったところで、人々はいきなりトランスジェンダーの人々を殺し始めることはないでしょう。
しかし、陰口的なヘイトスピーチはやがて心理的な嫌がらせとなり、直接的な暴力となり、最終的には殺人や虐殺に至ります。これは人類史上で何度も繰り返されてきた「エスカレート」の典型的な形態です。
先日の秘書官差別発言を受けてなお、自民党は相も変わらず「差別禁止は行き過ぎている」などと寝言を言っていますが、「行き過ぎている」のはどう考えても少数派へのヘイトの方であって、これに対抗するにはまず差別を禁止するのが「最初の一歩」です。
これは道徳や感情の問題ではなく、社会に憎悪が蔓延し、これ以上の悲劇的な犯罪や、救済されない暴力が起きることを防ぐ「法的権利による秩序の創造」なのです。
ブリアナ・ゲイさんにどうか安らぎがあらんことを願います。