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【ショートショート】

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隙間時間の30秒で読める超短編小説です。
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【ショートショート】猫にも愛を

【ショートショート】猫にも愛を

小説家の彼はいつも、
猫の写真を撮り溜めている。
1日の終わりにその写真を披露してくれる。

付き合ってみて分かったのだが
恋愛小説家の恋愛は案外
ロマンチックというよりは現実的で
甘い愛の台詞なんて滅多に口にしない。

銀行員の元彼に散財癖があったように
料理人の元彼が家では一切包丁を握らなかったように
男性の職業なんてものはただの“職業”であり
その人のプライベートでの人間性を示す
重要要素に

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【ショートショート】ピント外れの片想い

【ショートショート】ピント外れの片想い

「ねえ、こっち向いて」
「ん、写真?」
「うん、思い出に撮ったげる」
「よっしゃ、カッコよく撮ってな」

スマホに向かってクシャっと笑う
目尻のしわがすごく好き。
ふざけて鼻の穴を膨らます
バカみたいな顔も好き。
ポーズに困ったらいつも突き出す
ごつごつした親指も好き。

「ねぇ、こっち向いて」
レンズ越しなら素直に言えるけど
面と向かうと何も言えなくなる。
あなたを見つめる口実が
レンズ越しにし

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【ショートショート】彼女が涙を流す意味

【ショートショート】彼女が涙を流す意味

彼女の涙は右目を流れる。
春の桜が舞ったとき
夏の海が青く煌めいたとき
秋の枯葉をブーツで踏みしめたとき
冬の雪が手のひらに触れたとき
決まって彼女は涙を右目に浮かべた。

そんな彼女の横顔があまりに綺麗で
それを眺められる右隣の特等席を
誰にも譲りたくないと僕は思った。

「ねぇ、知ってた?
涙の種類は流れる目によって
意味が違うんだって」
「そうなの?知らなかった」
「右目が嬉しい涙、左目は悲

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