見出し画像

訪問介護は担い手不足。特定技能や技能実習では訪問介護はできない?

様々な業界で人手不足の課題がでているが、
特に深刻な業界の一つが訪問介護である。
(5月14日 読売新聞 21面より)


訪問介護の人手不足は?

有効求人倍率は・・
介護 3.65倍 << 訪問介護 15.53倍

有効求人倍率は、「有効求職者数に対する有効求人数の割合」なので、働きたい人の15倍以上の求人が出ていることになる。
なぜここまで差が出ているのか。

介護ができる在留資格とは

多くの外国人が既に日本の介護を支えていますが、まず、介護ができる在留資格を比較したいと思います。(在留資格とは?についてはこちら)

1.在留資格「介護」

条件:介護福祉士養成学校を卒業し、「介護福祉士」の国家試験に合格
在留期間:上限なし
業務の制限:なし
人数:9,328人 2023年末時点 (出典:読売新聞)

 →国家資格合格者のみ取得できる資格のため、母数が少ない状況です。

2.特定活動EPA

条件:EPA(経済連携協定)に基づく在留資格。送り出し国はインドネシア、フィリピン、ベトナム。
在留期間:4年。ただし4年目に「介護福祉士」に不合格の場合、1年間の延長可。
業務の制限:訪問系サービスには制限
人数:3,165人 2019年1月1日時点 (出典元)

3.特定技能「介護」

条件:「介護技能評価試験」と「日本語能力試験(2種)」、技能実習2号から移行、など複数の方法あり
在留期間:5年
業務の制限:訪問系サービスには制限
人数:28,400人 2023年末時点 (出典:読売新聞)

4.技能実習「介護」

条件:技能実習の主な要件に加え、日本語能力試験N4
在留期間:5年
業務の制限:訪問系サービスは不可。一人での夜勤も不可。
人数:14,751人 2023年末時点 (出典:読売新聞)

制限が多いのが現状

以上のように、国家資格「介護福祉士」に合格した在留資格「介護」の方以外は、訪問サービスに制限があったり、できないのが現状である。しかも、外国人にとっては、国家資格「介護福祉士」に合格することが高いハードルとなっているのが現状です。
そのため、現状は特定技能や技能実習の場合は、老人ホームで働くことが一般的である。

2027年までに従事可能へ

そこで、厚労省は「特定技能」と「技能実習」の外国人が2027年までに訪問介護に従事できるように議論を進めている。「特定技能」と「技能実習」は取得人数も多いため、新規採用を検討したり、採用済みの従業員を老人ホームから訪問介護へ転換する施設もでてくると予想できる。

課題は

 一つ目は言葉である。在留資格「介護」は「介護福祉士」に合格していたり、N2レベルを持っていることがあるが、「特定技能」「技能実習」の場合はN4レベルであることが多い。そのため、訪問先でのコミュニケーションが課題となる可能性がある。
 二つ目は文化である。訪問介護の場合は、1軒に朝から夕方まで滞在することもある。インドネシアはイスラム教が最も多いので、1日5回のお祈り日課がある。宗教や文化を事前にしっかりと利用者に理解していただくことも非常に重要ですね。

イスラム教については、↓の二つの記事も参照下さい。ムスリムとの働き方を記事にしています。

さいごに

最後までお読みいただき、ありがとうございます。今回は訪問介護の人手不足の記事でした。

”ことのば”では、介護従事者向けの日本語研修(プライベート、オンライン)を提供しています。
○ オンライン日本語レッスン:Online Japanese class オンライン にほんご きょうしつ

また、ホームページやSNSの投稿をやさしい日本語に変換するサービスや、介護施設で働く日本人向けのやさしい日本語でのコミュニケーション方法の研修を提供しています。

介護業の日本語教材はこちらにまとめています↓


また、外国人受入企業向けの異文化理解研修外国人に伝わる日本語研修や、いまさら聞けない企業向けLGBTQ+研修も行っております。
お気軽に問い合わせください。

○ ホームページ : ことのば (cotonoba.net)
○ X : ことのば (@cotonoba) / X (twitter.com)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?