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「 『 脳内アパルトマン 』 箔押し公開立ち会い 」

コスモテックの青木です。

今回、コスモテックで はじめての試みとして、『 箔押し公開立ち会い 』 を2024年2月17日(土)に開催したのでご紹介させていただきます。

『 箔押し公開立ち会い 』 はその名前のとおり、箔押しの立ち会いをどん!とオープンに、参加者の皆さまが観覧できる場にしてしまう催しです。


◉ 出版記念パーティのような公開立ち会い

少し前にさかのぼりますが、「 デザイン S_D さま × コスモテックのコラボレーション 」 の note 記事( 下記 )を前田瑠璃(コスモテック)が書きました。

その中で紹介している S_Dさん自身のデザインまとめ本 『 脳内アパルトマン( 略称 脳アパ ) 』( 本のデザインは S_Dさん ) のカバー・本に巻く帯の全面箔押し加工をコスモテックにてお手伝いさせていただくことになりました。そして、今回の加工立ち会いを S_Dさんのみならず、参加者を募って観覧できる場にしてみようということになったのが 『 箔押し公開立ち会い 』 のことのはじまりです。

『 脳アパ 』 の箔押し加工に至るまでの過程については、 前田の note 記事をぜひご覧ください。S_Dさんには今まで大変お世話になっていることもあり、

「 加工の現場として何か日頃のご恩をお返しできないだろうか? 」

と考えた時、製作過程の一つである箔押しをその場でみんなと共有できる瞬間に、そしてみんなで 『 脳アパ 』 の発売・完成を祝う場( 立ち会い時、まだ本の完成はしておりませんが )になればとの願いから、『 箔押し公開立ち会い 』 の企画であり一種の 「 ( 加工の勉強にもなってしまう )出版記念パーティー 」 を開催することになったのです。

当初の S_Dさんのカバーデザインイメージ
カバーで使う紙( 色 )は はじめから5種類の構想( 本番時とは色が異なります )


S_Dさんが 『 箔押し公開立ち会い 』 ご招待の募集を X( 旧Twitter )で募ったところ、なんと80名を超える観覧希望者が集まったそうです。 S_Dさんから人数を聞いた時、本当に驚きました。

「 こんなにもたくさん……!!! 」 「 なんと……! 」

S_Dさんのデザインを好きな方、『 脳アパ 』 にご興味がある方はもちろんですが、箔押し加工や現場立ち会いというリアルな体験と場を求めてくださっている方もきっと中にはいらっしゃるに違いないと考えた時、お客さまに必要とされていることを感じ、うれしい気持ちが私の中から湧いてくるのを感じました。


約80名の応募者の中から S_Dさんが最終的に20名さままで絞り込み( 選考に関しては上記の投稿のツリー形式でご覧いただけます )、こうしてコスモテックの箔押しの現場にて S_Dさんと一緒になって加工立ち会いに臨むメンバーが決まったのです。

◉ 2024年2月17日(土)公開立ち会い当日

コスモテックの会社の入り口に貼った1枚の紙が目印
シンプルですが、黒地に白文字ということもあり、どこかあやしい雰囲気も漂う…


午後の1時にコスモテックの箔押しの現場集合だったのですが、早くから現地入りしてくださる参加者の方もいて、期待や熱意などがひしひしと感じられ、開催するメンバーの一員としてもうれしかったです。そして、誰一人として遅れず開催時間どんぴしゃでスタートを切ることができました!

「 みなさん、ご協力いただき本当にありがとうございました! 」

それでは、『 箔押し公開立ち会い 』 のため、コスモテックで準備していていた加工の現場は一体どのようになっていたのかというと……

工場のドアを開けていただくとご覧のとおり!

工場に入るとすでに椅子がずらりとお出迎え
ひしめきあっている


コスモテックは箔押し加工会社なので、「 現場感が満載になるといいな 」 「 どこか秘密基地のような雰囲気になるといいな 」 と思い、各所に部材をセッティングしました。

現場にあるパレット( 木製で印刷物を置く板 )やワンプ( 紙類を包装する用紙 )などを駆使し、背伸びしない、飾らない、ありものを上手く活用する、決してお洒落ではないけれど あたたかみを感じられる雰囲気づくりを目指して準備しました。

箔押し機の真正面まで20名さまが入れるように
スペースを確保
紙5( 色 )種類にさまざまな箔色を押した見本を展示


『 箔押し公開立ち会い 』 の当日までにデモンストレーションを兼ねて、当日使用する紙5種類( タント 5色 )に対して、コスモテックで選んださまざまな箔色を組み合わせて、本番の金属版( 『 脳アパ 』 のカバーと帯のデザイン )を用いて加工テストを行っておきました。

下記のように、01~10まで紙1種に対して箔色2色で押し分け、計10色の箔を立ち会いを通して S_Dさんが最終決定します。

S_Dさんが考えていたイメージ
「 01~10 のイメージに合った箔色はなんだろう? 」


◉ 紙 : タント(N-1)4/6判Y目100kg … 紙色 黒系
01 イメージ : ブラック・ダンスホール
02 イメージ : トランジット流星群

◉ 紙 : タント(H-70)4/6判Y目100kg … 紙色 紺系
03 イメージ : ウラシマテラリウム
04 イメージ : スターゲイザーの海

◉ 紙 : タント(S-7)4/6判Y目100kg … 紙色 白系
05 イメージ : 超新星シンドローム
06 イメージ : コインランドリーム

◉ 紙 : タント(Y-11)4/6判Y目100kg … 紙色 クラフト系
07 イメージ : 発明家の庭
08 イメージ : 春の宇宙窓

◉ 紙 : タント(V-52)4/6判Y目100kg … 紙色 赤系
09 イメージ : アマテラス天文台
10 イメージ : 魂のレプリカ

当日その場・ノリで 紙色 × 箔色の組み合わせを考える楽しさはあるのですが、「 確実に迷ってしまう… 」 「 しかも、S_D さん含め、20名さま全員が選びやすくしなければ… 」 と考え、試作と見本を事前準備しました( 上の展示写真参照 )

要は制限時間内( 開催時間内 )、 『 ものさし 』( 目測や目安として ) があった方が、紙色 × 箔色選びにもお役立ていただけるのではないか? と考えたのです。

さらに、参加者20名さまへの特別企画は 『 箔押し公開立ち会い 』 を通して、自らがその場で紙5種類の中から1種を選び、お好みの箔色1色を組み合わせて、自分だけの一点ものの 『 脳アパ 』 カバーと帯を生み出すという試みです。また、生み出した20パターンの内、01~10 のイメージにぴったり合ったものがあった場合、 S_D さんが採用されます。

透明フィルムにさまざまな箔色を押したもの


名刺サイズ( 91×55mm )にカットした紙5種類のかけらを参加者20名さまにコスモテックの箔押しの現場へご来場いただいた際に渡させていただき、その紙のかけらに上の箔押しした透明フィルムを当て、自分が気になる 紙色 × 箔色 のイメージを膨らませて、最終的に 「 これだ! 」 「 これが気になる! 」 というものを決めていただきました。

決まった方から順番にコスモテックの前田へ組み合わせを伝え、前田がすぐにその場で箔押し加工していきました。

書籍の誌面やインターネットを通してコスモテックの箔押し加工をご覧いただき、作業内容を事前に勉強してきてくださった方もきっといらっしゃったと思うのですが、 『 目の前でできあがるモノの様子 』 や 『 形づくられた時の瞬間の感動 』 は立ち会いならではの体験であり、まさしく百聞は一見に如かずです。

◉ 使用箔なんと70種類以上!?

70種類以上の箔のロールがずらり勢揃い
お好みの箔色をお選びいただき、その場ですぐに箔押し!


S_Dさんの 『 脳アパ 』 の 「 出版記念パーティー 」 のようになるといいな、参加者の皆さまにとってなかなかない 『 箔押し公開立ち会い 』 の機会なのだから喜んでいただきたいな、そんな思いが完全にエスカレートした結果、準備した箔のロール数( 種類 )は前代未聞70本以上にもおよんでしまったのです。

「 気合を入れすぎでしょう! 」 と言われてしまうと返す言葉がないのですが、喜んでいただきたい、ご満足いただきたい気持ちが突っ走ると このようになってしまうということにコスモテック初の試み 『 箔押し公開立ち会い 』 を通して、はじめて気づかされました。

これだけ多品種の箔のロールを出すのも、そして収納するのも もちろん大変手間はかかるものですが、「 後先考えずお客さまを喜ばせたい! 」 という気持ちはコスモテックの原動力のひとつだと感じます。

◉ 目から鱗の箔押し表現、続々誕生!

S_Dさんと参加者20名さまが選ばれた 紙色 × 箔色の組み合わせの中には、日々さまざまな箔押しの仕事に携わっている私たちコスモテックの想像をはるかに超えるようなものも生み出されました。

タント(V-52)4/6判Y目100kg 使用の
09 アマテラス天文台 ・ 10 魂のレプリカ の箔押しカバー( 写真はまだイメージ )

このように 『 箔押し公開立ち会い 』 を通して最終決定した
紙色 × 箔色 の10パターンのカバーイメージは 『 脳アパ 』 内に箔色明記のうえ完全収録 
「 はたして、参加者の皆さまがお選びになった組み合わせは採用されているか!? 」


「 この組み合わせで押してみたいです! 」
「 この箔色で押すと一体どう見えるでしょうか? 」

などなど… 『 箔押し公開立ち会い 』 開始から終わりにかけてまで、参加者の皆さまの止まらぬ たくさんの熱のこもった質問の数々は本当に爽快で、たまりませんでした。

今回参加してくださった皆さまには、書籍やインターネットのメディアには掲載されていない 紙色 × 箔色の組み合わせ、そして実見本とそれらが生み出される瞬間の感動を 『 脳アパ 』 の 『 箔押し公開立ち会い 』 を通してお持ち帰りいただくことができました。メディアを通して、数千~数万人がアクセス、手に入れることができる情報とは異なり、その場・瞬間でしか得ることができない、自分しか知り得ない情報や実見本はやはり価値の高いものでもあるのです。

さらに! 『 箔押し公開立ち会い 』 当日の様子は
公開立ち会いレポートとして 『 脳アパ 』 内に急遽 収録が決定!
これは楽しみ!

◉ ありがとうございました!

S_Dさん、『 脳内アパルトマン 』 という大切なご自身の本のカバーと帯の箔押し加工をコスモテックにお任せいただき、本当にありがとうございました。そして、『 箔押し公開立ち会い 』 をサポートしてくださった むつばさん、S_Dさんを通じて参加・協力してくださった20名の皆さま、一緒になって場を盛り上げて、作っていただいたことは本当に心強かったです。

さらに、『 脳アパ 』 の印刷・製本を手掛けられている 株式会社RED TRAIN の前田さんが当日駆けつけてくださったり、コスモテックで日々お世話になっている 紙の相談役 紙谷 刷太郎( かみたに すりたろう )さんが 「 なるほどなPAPER 」( 下記 ) より参加者の皆さまへのお土産を準備してくださったり、たくさんの人に助けていただき、『 箔押し公開立ち会い 』 をこうして無事に開催することができました。


「 みなさん、今後ともどうぞよろしくお願いいたします! 」

なお、 『 箔押し公開立ち会い 』 の当日の様子は参加者の タテハさん・ななさん が note の記事としてレポートを書いてくださっております。ぜひご一読ください!( 下記 )

◉ 43種類の年賀状の最後の1種類公開!

黒紙 × 黒系の箔でかため打ちした完全なる 『 黒のかたまり 』

コスモテック 2024年 年賀状のデザインも S_Dさんによるもの。
全43パターン製作し、内42パターンはすでに公開していましたが、最後の1パターンは謎として非公開にしておりました。

この 『 黒のかたまり 』( 上の写真 )が最後の1種類です!

昨年末の年賀状製作時、コスモテックで当初 偶然生み出してしまったパターン数が42。「 これは… なんと、忌み数! 年始から縁起が悪いかも。 」 ということになり、最後に製作したのがプラスワンの43種類目 『 黒のかたまり 』 です。

紙は42パターンの年賀状と同様のディープマット。紙色はブラックをセレクトし、箔色は黒つや・黒消し・黒銀などを使用し、年賀状の表裏へ黒にまつわる箔色でかため押しで表現しています。

完全なる 『 黒のかたまり 』 ということで( やはり縁起を考慮に入れて )、年賀状として配付するのではなく、トランプで例えるとジョーカー的な立ち位置で、今回の 『 箔押し公開立ち会い 』 参加者記念品として贈呈させていただきました。

※ 2024年2月17日(土)『 箔押し公開立ち会い 』 参加者の皆さまの X( 旧Twitter )の投稿をまとめさせていただきました。当日の現場感・ライブ感が伝わると思います!

クレジット
◆ 開催     : S_D( X @s_design33 ) + Cosmotech Inc.
◆ サポート   : むつば + 参加者20名の皆さま
◆ 印刷・製本  : 株式会社RED TRAIN [ https://red-train.co.jp/ ]
◆ 開催場所   : コスモテックの箔押しの現場
◆ Special Thanks  : 紙谷 刷太郎( なるほどなPAPER

【 連絡先 】
ようこそ!行列のできる『箔押し印刷工房』へ
http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/
有限会社コスモテック 青木政憲
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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