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流れの中にあるもの

11月も後半に入ったこの時期に夏日だと。
陽だまりに長くいることもできないくらいに暑い。
小春日和はもっと穏やかなものだけど、
今日はそれとは明らかに違う。
風もめずらしく南から吹いてくる。
まるで春一番のよう。

季節は綱引きのように、二つの季節で競い合う。
そんな日が季節の変わり目にはある。
一年を時間尺度の一単位で考えれば、
2020年の今年は、同じ一単位でも
これまでの一年との違いは明らかだろう。
いったい何だったんだろうと思う。

一年も冬の到来の声を聞くと身が引き締まる
ものだけど、こんなに暖かい(暑い?)日が
訪れると気が緩む人も少なくはないだろう。
例年ならそれでも笑っていられるけれど、
今年は事情が違う。気の緩みは大変な事態を
拡散することにもなりかねない。

晩秋になれば色づく樹々に足を止めることも多い。
私は慌ただしくなる年末に向けて
心に余裕がなくなることを危惧した自然が、
「まぁ落ち着け、余裕のないままに走るな」と
足を止めさせるために紅葉しているように思う。
立ち止まり、樹々や空を眺め、一呼吸する。

当たり前に思っている季節の顔だけど、
現代人がなくしてしまいそうな心の余裕を
取り戻すために、自然が気遣いしてくれている
そんな気がする。
デジタルのような時の刻み方ではなく。
アナログのような時の流れを感じる人でいたい。


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