あの時あなたがああ言ったから…!

これまた、家族や友人、恋人などで、ありがちな言葉の応酬のケースですよね。

あの時あなたがああ言ったから…
・私がこうなった
・私はああしただけ(ああしたのに)
・今(あなたと私が)こういう状態になっているんでしょ

というパターン。

あなたも、人生の中で良くこういうこと、感じていませんか?
そして、もしかしたらその上でさらに
「ああ、私はどうしてこういう人とばかり関わり合いを持ってしまうんだろう…」などと、感じていませんか?

さらには…そこからもっと更に、言った言わない論に発展して毎日、もしくは会う度など、喧嘩になるなど、していませんか?

これは…実はね。
あなたと出会う人やあなたと関わる相手がああ言ったからどう言ったから振り回されているのではないのです。

実は、あなたが、あなた自身の中に採用して形成して強化してきてあなた自身も気付いていないパターン(自動思考・自動行動パターン)で、あなた自身があなた自身を振り回しているだけなのです。

それでも、やっぱり
あの時あの人がああ言ったから、私はああしたのであって、今思わぬことになっている、私が不満な状態になっている、私はあの人の言葉と行動に振り回されたようにしか思えない
…ですよね?

幼い頃から自分の人生をこうする、人生で感じる外側の刺激を全部こういうパターンで感じて全部こういうふうに持って行く、というのは、心理学的にはスキーマ(人生で自分にとってなぜか不利益になっているものは特に不適応スキーマ)とか、交流分析的に言えばラケットパターンとか人生脚本の不適応プログラムパターンなどという言い方をするなど、するのですが、これらは自分ひとりではなかなか気付きません。なぜなら、幼い頃から、もう空気が身のまわりにあって無自覚に吸ったり吐いたりしているよりも、当たり前の反射として自分の中に固定して強化してきてしまっているから。

また、そういう人は、「自分は、こうやって私のことを振り回す人とばかり出会う、関わってしまう」と思いますよね。
(実は毎回毎回こう思うことこそがその無自覚の目的のひとつだったりもするのですが)
しかし、あなたが「私はAにいつも振り回される」などと感じるかもしれないけれど、そのAさんは別に人を振り回す人でもないし人を強制したり支配したり指示すらする人ではなくて、実は相手の意見をしっかり聞いたり引き出す力すら持っていて、あなたの他の人にはそんな風に思われていなかったりします。(とはいえ、人は自分の眼、自分の視野の見え方を基準に考えたい生き物でもあるので、あなたは「いや、他の人もAをそう思っているはずだ!」と思いたいかもしれないのですが)
しかし、考えてみてください。世の中にはもうあなた個人にとっては無数と言っていいほどの個性の人がいます。その中であなたと関わる人は、世界のごくごくごくごくごくごく一部です。世の中のあなたと関わる人が、みんながみんな、あなたを振り回して来る人、なんてこと、まずあり得ません。
しかしながら、あなたがそう感じるのも当たり前なのです。
なぜなら、「そういう人」があなたの周りに集まったりあなたと出会ったりするのではなく、
あなたのプログラムパターンが、「あなたと出会い関わる相手のそういう面だけを無理やり抽出して見る<色眼鏡>を持っていたり、そういう面を引き出したり、引き出せなくても自分の認識や解釈のほうを無自覚に変えて、相手のせいで自分が今不満や不利な状態になっていると思い込む」能力を発揮しているからなのです。

ひとには、ありとあらゆる面があります。
「この人はこういう人だ」なんて人は、いません。
見るひとや見るとき、見る角度によって、ヒトというのはいかようにも見えることができますし、物事の見え方の角度がそもそも固定されていたり狭い人は、「ヒト」のことをあらゆる角度から見ることができません(それでいてみようとすると狭い視野からはずれてしまって、その人自体が見えなくなってしまったりすることもあります)。それでいて、自分の中の世界の見え方を決めるプログラムパターンにいつの間にか支配されて、相手のことを無理やり自分の見たいように見る、ということが、実は人間界では、社会の中では当たり前のように起こっています。

あの時あなたがああ言ったから私はこうした(もしくはこうせざるを得なかった)のに、今こうなっていて私は不満・不利な状態にある(もしくは本人の”今の”自覚としては、”ずっと不満を感じていた”と感じている場合もあります)。
(文字的にはひとにはいろいろな思い方がありますし、なかなかいろいろな角度から書けないので、これは一例ですが…。)

こういうパターンが出るときは、夫婦や親子など家族での会話、付き合っている恋人同士の会話などで多い傾向があります。
時には、職場でやる人もいますね。
しかし、職場でやっている人は、恋人や家族の中ではほぼ絶対にやっているのではないかと思われます。

また少し別の角度から言いますと、
「相手(あなた)に委ねる」「人生を共にできる、自分を預けられる」などという言い方や感覚があると思いますが、これはあくまで、
「自分が自分の人生を自分の人生として運営していく上で、道行きが合い、自分の人生は自分の人生として運営している上で『ともに生きて行く』ことに『私全体』を委ね預ける」という意味です。
しかし、自分の中に不適応的プログラムパターンを持っていると、ここの潜在認識が何か勘違いされており、「<相手に自分の人生支配され決めてもらい全部おんぶに抱っこでやってもらう&勝手にやられてしまう>ことで、<自分の”人生”>を委ね預け」てしまうということをしてしまうのです。これにも、上述したようにご本人は自覚がありません。
自覚がありませんが、しかしご本人の人生にとってはこれはものすごく大きな影響を与え、ご本人の生きづらさや将来のご自身の人生の可能性を大幅に閉ざして行き詰まりになってしまうような大きな大きな危険性を孕んでいます。
(ちなみに、これを交流分析理論の創始者であるエリック・バーンは、人生でよほどの大きな生死にかかわるほどの大きな事故事件でも起こるか何かせねば心の深層にあるこれらの不適応プログラムパターンは変えることが困難である、としていましたが、実は、潜在意識のしくみを徹底的に利用していく心理療法では、これらのプログラムパターンも変容させてご自身の人生に有利なパターンへと切り替えることができます。私もそれを扱っています。まだ催眠療法を専門とする人たちにもほとんど知られておらず、扱うことのできるセラピストは日本には非常に少ないと思われますが…)

そのため、家族や恋人に対して発動する場合が多いと書きましたが、
実は、セラピストとしてカウンセリングをしていると、クライアントさんも多くが、私(セラピスト)に対してもこれを発動します。
(私自体がそうでないということは、他の、同じパターンを持っていない別の問題で来られているクライアントさんや、他のセラピストさんのスーパーバイズ、友人との関わりなど多種の方向からわかります。自身でも常にセラピストとしての自分の中を綺麗にする分析やセラピーを怠らず、常にできる限りたくさんの角度方向性から見て向き合い続けているということも必須です。)

クライアントさんがセラピストにこういう状態を発動するとき、これを心理学的には「転移現象」と言います。
転移はこういう反応パターンだけではないので、転移の中のひとつのパターン例、という意味です。(転移に関しても底抜けに深い概念であるので、この記事では説明しません。)

転移というのは出すと悪いわけでもなんでもなく、寧ろセラピー内においては非常に(セラピストがちゃんとそれとわかって扱えば)大きなセラピー効果へと繋がる時期、クライアントにとっては成長の好機でもあるので、セラピスト相手にはさして問題現象ではありません。

が、上述したように、家族や恋人などとやると、非常にその人の人生において危険を孕みます。
誰相手であろうと、それは、例えば「あの時あなたがああ言ったから」というように思っている場合は、
そもそもその「あの時」その時点であなたに不満不服があったなら、その時に言うことができたはず…であったり、言えないような相手だとあなたが思っているとしたら既にあなたは自分の人生を相手に売り渡しきってあなた自身の中で「心理ゲーム(相手の存在を利用して自分が被害者ポジションに入る)」の渦中にあるということで非常に危険な状態ですし、もしかしたらあなたは自覚していないかもしれないけれども、相手はその時だってあなたの意向意見を聞きながら話をしていたかもしれない(これがセラピストの場合は絶対にそうなのですが)、それでも、あなたが言いたいことをわざわざ言わず出さず相手に自分から合意したり、もしくは自分自身で自分自身のことがまるでわからない意志薄弱のような状態でそもそもが「個人と個人の人間同士の話」すらできていない状態だったかもしれない。
また、上記いずれの場合であっても、「あの時あなたがああ言ったから!」と思っている時は「私はずっとそう思ってきた不満不平があった」と思っているかもしれません。が、もし本当にずっとそう思ってきたなら、敢えて「今」出すより前に、出したいならいくらもそれより前に出しているはずなのです。それでも「今」出した、というのは、実は「あなた自身」の中に、「今それを出す」目的(それによって相手をコントロールするための)がある、ということなのです。
同時に、「これまでもずっと”あの時”に不満不平を抱えてきた」と<今>感じていること自体が、<今>目的のために作り出した<辻褄合わせの(その場で作られた)記憶>なのです。
そして、その「目的」すらも、ご自身で自覚せぬままに、もやもやした感情だけを爆発させています。
この時点で、これは<相手>には本人の矛盾が伝わります。
が、ダイレクトにその矛盾を指摘したところで本人はそれをわかっていませんし、わかったら自分が不利になりますからどんどん正当化に正当化を重ねて売り言葉に買い言葉、言った言わない論などに発展します。
こうなると、もう両者の「心理ゲーム(交流分析で言われる、お互いの人生の不適応プログラムパターンを強烈に強化させエスカレートさせるための、それでいてお互い後味の悪さも感じる、実はそれだけではない非常に恐ろしい交流パターン)」です。

あなたは、特定の誰かや特定の場所などで、例えば家族や恋人などと、いつも何かしらぶつかる、喧嘩する、喧嘩などでなくても何かもやもや後味の悪いことになるんだよなあ…というようなこと、毎日でも、定期的(その時期的共通点や規則性は、あなたは気付いていないと思いますが)でも、ありませんか?
そういうものがあったら、それは、あなたの中で何かあなた自身の人生にとっての不適応プログラムパターンをあなた自身が無自覚に強化してしまっている「心理ゲーム」です。
心理ゲームなどというともしかしたらお軽く聞こえかねないかもしれませんが、しかしこれは、あなたの人生の可能性が非常に大きくそこにあるのに、そこでわざわざ自分自身の人生の進行を邪魔し(邪魔させ)、自分の人生が自分にとって不利に進んでいくようにわざわざ画策し加速させてしまっている現象なので、実はまるで時限爆弾のような非常に恐ろしいものです。

人間社会では、実にこういう現象が溢れています。
が、自分自身の自立・自律を獲得した自己実現の人生を進めていき、社会的にも納得のいく形(成功)し、人生を豊かに満足して、自分の才能や本当の意味での優しさをいつの間にか社会に滲み出させて支え合い補い合って発展していく人生を歩むのは、これらの心理ゲームや不適応プログラムパターンを脱却し、ご自身の人生に有利なパターンへと変容させていったひとたちです。


ただ、同時に上述しましたが、こういう不適応プログラムパターンを変容させることは、非常に困難でもある。
そもそも、まず自分で気付くことができない。
その上で、例え誰かに気付いてもらっても、それをダイレクトに伝えてもらっても本人はまったくそのつもりでない(上に大抵相手や環境の問題だと思ってしまって苦しんでいる)ため、本人がまず気付こうとできない。
それでも、もしかしたら…と気付き始めても、自分ではどうにもなりません。いつのまにかそのパターンに日常茶飯事で入ってしまうのですから。
今の時代、それを扱うことのできるセラピストも少ない…。

しかしながら、人生に不適応でせっかく自分の中にある可能性をどんどん自分から無自覚に積極的に閉ざしてしまい、周りや社会ともうまくいかない、どんどんうまく行かなくなって行ってどんどん人生大変なところに陥っていく、そんな不適応プログラムパターンを抱えたままもやもやと(もしかしたらもやもやすらもはや自覚できなくなりながら)生きているひと、現代日本にたくさんいます。
どんどん急増しています(この増えている理由も、私のクライアントさんや受講生さんにはその時々でお伝えしています)。

私はセラピストとして、そんなもやもやしたかたの、プログラムパターンを読み解き、不適応なプログラムパターンを無自覚に持って苦しんでいるかたのこれらのパターンをご本人に適切有利なパターンへと変容させるお手伝いをしています。

また、まだまだ日本に少ない、ひとの心のしくみを奥深くまで理解して扱い、ひとの心や身体の病理の根源となっている部分を扱うことや、その人その人の人生の取扱説明書をご本人に取り戻させ一緒に読み解き、こうしたプログラムパターンの変容セラピーができるセラピストの養成を行っております。
まずはその土台となる基礎講座の受講生さんを受け容れております。
ここを学んで土台を身につけたら、本当に自分も含めたひとの深い部分と密接に交流して本当の人生を取り戻していくセラピーを可能とする学びや研究を、どんどん私と一緒にしていくことができます。

また、その中の一環としてですが、
今回の記事でお話したような「プログラムパターン」の気付き方、見つけ方、そして本当の意味での自分との適切な向き合い方や分析のしかた(そもそもご自身と向き合っているつもりのかたでも、実はそもそもご自身で気付いていないプログラムパターンの中でパターンに乗っ取られて寧ろそのパターンをどんどん強化してしまうための分析・向き合いに陥ってしまっている人がなんと多いことか…)を学び、ご自身でアプローチしていくことができるようになるコースも、24年度の受講生さん受け容れております。


ご自身に合うなあ、必要かもしれないなあ、ちょっとだけ話を聞いてみようかな、というかたは、ぜひお気軽にお声がけください。

学びたいかたは、まずは無料事前個別相談もやっております。どのコースがご自身の求めるところかわからないかたも、こちらからお気軽にお声がけください。


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