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世界のフリーランサー収入レポート2020

デジタル決済プラットフォームである「ペイオニア」が2020年2月5日に「フリーランサー収入レポート2020」を発表。

150か国・7000人を超えるフリーランサーに向けた調査で、「フリーランサーの世代構成」や「満足度」「収入」「男女の賃金格差」といった項目についてまとめています。

ざっと内容を見ていきましょう。

フリーランサー、世代別の「割合」と「収入」

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世界のフリーランサーの平均時給は「21ドル」です。
フリーランサーの数を引っ張っているのは、「ミレニアル世代(1981年から1996年までの間に生まれた人)」と「Z世代(1997年から2012年までの間に生まれた人)」。今回の調査対象の約70%が35歳以下、21%が25歳以下とのこと。

若者フリーランサーは主にアジアが主導しており、アジアは82%が35歳以下であるのに対し、北米は47%となっています。

収入面では、55歳以上のベテランフリーランサーは、若者世代(18-24歳)の2倍以上の金額を稼いでいる。もちろんこれの主な要因は「経験」。

以前扱った別の調査では、フリーランサーが「クライアントをどこで見つけるか」について「人脈」が圧倒的多数だったことから、経験が長いほうが人脈も幅広く形成されており、それが収入に大きく影響を与えているとも考えられます。

副業? or 独立系フリーランス?

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こちらは、「副業でフリーランスをやっているか」「フルフリーランスとして独立してやっているか」を世代別に割合で示したものです。

意外にも、若い世代でもフルフリーランス多いですね。

ヨーロッパエリアの人々は「ライフスタイル」へのこだわりが強く、77%がフルフリーランス。それに対し、アメリカの42%、中東エリアの41%が副業としてフリーランスをやっているとのこと。

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副業の平均時給は「19ドル」。フルフリーランスは「22ドル」となっています。満足度に関しては、どちらも4点(5点満点)近く、それぞれの働き方に満足しています。

副業率が高い職種は金融系(52%)やエンジニア系(43%)で、Webデザインやグラフィックデザインは26%、マーケティング職は最も少なかったとのこと。

フリーランサーはどこで働いている?

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83%が「自宅で働いている」と圧倒的。
カフェやオシャレなコワーキングスペースで、というのはコスト面で敬遠されているのか、これから流通していくものなのか。

※Otherには「コワーキングスペース」「カフェ」「クライアントのオフィス」「図書館」「プライベートオフィス」などが含まれています

収入と満足度の関係

フリーランサーが挙げるフリーランスのメリットとしては、「勤務体系が自由なこと」。デメリットとしては、「仕事不足、収入不足」が挙げられています。

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フリーランサーは「自由」と「柔軟性」を大切な価値観として置いているものの、やはり収入と満足度には相関関係があるようです。生活できないと、自由とか言ってられないですもんね。

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ただし、職種にとってはこの法則に則らないことも。
「事務系」の仕事は、平均時給が低い一方で満足度は高くなっています。逆にマルチメディア(動画などコンテンツ制作かな?)系の仕事は、それなりに報酬がいい割に満足度が低め。

仕事の手間と報酬のバランスであったり、その報酬がその人にとって十分満足な時給か否かの感覚が左右しているのかもしれません。

フリーランサーの男女格差

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フリーランスの女性比率を表したグラフです。世界的に見ると徐々に女性フリーランスも増えつつあることがわかります。

フリーランスへの女性の参入は、「翻訳」「事務系」を中心に徐々に勢いを増しています。

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「世界経済フォーラム」によると、世界的に見て、女性の収入は男性が同じ仕事で稼いでいる報酬の平均64%。

しかし、女性フリーランサーの場合、すべての分野で男性の収入の平均84%を稼いでいます。まだまだ改善の余地はあるものの、上記の64%よりも大幅に小さくなっています。

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女性フリーランスの割合が平均よりも高い分野。
「翻訳」「事務系」「ライティング」「カスタマーサポート」「プロジェクトマネジメント」の順になっています。

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男女間の賃金格差は「金融(男性の時給の53%)」や「プロジェクトマネジメント(男性の時給の56%)」の分野で最も差が大きいものの、「マーケティング(17%増)」や「Webデザイン・グラフィックデザイン(4%増)」の分野では女性の方が男性よりも多く稼いでいます。

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こちらは女性フリーランサーの報酬が平均よりも高い傾向がある国。フィリピン圧倒的ですね。この背景をもう少し詳しく知りたいものです。

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もう少し広く見ていきましょう。「女性フリーランスの割合」と「賃金格差」に関して、北米地域は「女性比率が高いものの、格差比率も大きい国」となっています。

一方、アジア地域は17%と「女性比率が低いものの、格差も小さいエリア」となっています。

改善途上ではあるものの、フリーランスの世界の方が男女格差なく平等に勝負できる傾向があると見て取れそうです。

フリーランスに人気のある職種

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フリーランスの仕事で最も人気のある分野は「Web・グラフィックデザイン」で、次いで「プログラミング」「IT」の順となっています。

「ライティング」が最も参入障壁が低く、母数的には多そうな気がしますが、報酬面が確立しにくいという点で5位なのでしょうか。「経理・人事系」はこれから伸びて来そうな領域ですね。

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必ずしも人気職種=報酬が高い、という訳ではないようです。こちらは「主要分野別の平均時給」を示したグラフです。

人気1位だった「Web・グラフィックデザイン」は平均時給19ドルとそこまで高いカテゴリではありません。「より専門性が高い領域、属人性が高い領域」かつ「人数がまだ多くない領域」の給与が高い傾向がありそうですね。

フリーランサーに学歴は影響するのか?

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フリーランサーにとって日夜スキルアップを続けることは重要です。しかし、元々の教育水準はというと、必ずしも大学の学位が必要な訳ではないでようです。

57%が「学士(日本で言えば一般四年制大学卒業)」、24%が「修士(大学院卒業)」。そして19%が高校卒業となっています。

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男女別では、女性フリーランサーは男性よりも高度な学位を持っている可能性が高い(女性は31%、男性は22%が修士or博士)。

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そして、必ずしも大学を卒業しているからといって、フリーとしての報酬が高い訳ではないことも証明されています。

ソーシャルメディアの仕事への影響力

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「SNSを自身のプロモーションに使っているか(複数選択)」の質問に対して、フリーランサーの74%が使用していると答え、2年前の65%から上昇しています。

フリーランスの3分の1以上(34%)がFacebookを利用し、日本ではそこまで活用されていませんが第2位にはLinkedIn(28%)が続いています。

そして圧倒的に伸びているのがInstagram。「撮影」「デザイン」「キャラクター」といった領域で仕事を得ている人が伸びているのかもしれません。(最近では日本でも、ビジュアルだけではなく、文章や漫画ネタも展開されていますね)

以上、「ペイオニア」発表の「フリーランサー収入レポート2020」を振り返ってみました。こういった定点観測の統計を把握しながら、自分が狙うべき領域、これから伸びる領域を見極めていくヒントにするのもいいかもしれないですね。

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参考サイト

プレスリリース
・レポートダウンロードはこちら(英語)

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