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【 #詩 #イラスト 】脈動

私の心音の共感覚は□かったのに今は□い
どうやらこの心臓はハリボテになったようだこんなものはもういらないから磔にしよう

──ああ、血の色なんて知りたくなかった
傷つけなければ気づかずにすんだことだろう
それはまるであなたがくれた薔薇だった
あの花束は疾うの昔に手放したはずなのに
私は血液の奔流を見ている、ずっと見ている

耳をつんざくような悲鳴、鉄の味
なまぐさい臭い、降りそそぐ棘の雨
クオリアに司られた心象風景のなかで
ハリボテの心臓は苦しそうにもがいている

今からでも遅くはない、花束を拾いに戻ろう
鮮烈な薔薇をこの胸腔に仕掛けよう

血の味、匂い
暗転する視界
停止する脈動
消える共感覚
あなたの手の感触
□い糸が切れる音
□く澄み渡った空


これはトウソクジンが過去に描いた絵をテーマに編んだ詩です。

トウソクジン《脈動》(29.2.2024)


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