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はじめてポートレート撮影をした話

2022年6月、はじめてポートレート撮影をした。
被写体は女優/モデルの朝日奈杏さん。

新宿の戸山ハイツにて

はじめましての方に向けて簡単に自己紹介を。
1996年生まれでこの写真を撮っている時点では26歳の東京住み。
大学は東京芸大で作曲をしたり、東北でアートプロジェクトをしたりいろいろ。
そして新卒で大手ゲーム会社に作曲家として就職して4年目。
写真は趣味でずっと撮ってきたけれど、もっと極めたい欲が出てきた最近。
将来は「音楽家・写真家・料理家」と名乗れるようになりたい。


カメラ歴15年。はじめてのポートレート撮影

小学生の頃に父親から一眼レフを譲り受けて以来、遠足や文化祭など学校イベントでは必ず写真係をしたり、旅行の時はいつも持ち歩いて風景や友人をカメラに収めてきた。カメラ歴だけでいうと、もう15年ほどになるだろうか。

しかし、ポートレート撮影をしたのは今回がはじめてだった。

ハイカラな壁とエレベーターのある戸山ハイツにて

今まで撮ってきた写真とは圧倒的に違った。
なんというか、プレッシャーを感じた。

ポートレートの難しさ

旅先でのスナップショットは目の前に素敵な瞬間が訪れる度にシャッターを切る、そんな感覚。一方、ポートレートは被写体さんと共にその場で素敵な瞬間を作り出す、そんな感覚だった。「写真を撮る」というよりかは、目の前の空間を「デザイン」する、そんなイメージに近かった。

そしてせっかく撮るならSNSでよく見るようなただ綺麗なポートレートは撮りたくなかった。
Instagramでスクロールしている指を止めてしまうような写真を撮りたかった。

シュールな朝日奈杏


撮影場所の選び方を知りたい

今回の撮影場所は新宿駅から徒歩20分のところにある戸山ハイツ(団地)。新宿という大都心にも関わらず自然と人間の生活感が無理なく存在する場所だった。

33-33

プロの写真家さんはポートレート撮影のお仕事が来たら、どのようにして場所選びをしているのだろうか。

たまたま今回は運良く、良い背景の多い場所で撮影することが出来た。
だが、仕事でたくさんポートレートを撮っている写真家さんは、どのようにして毎回ロケ地を選定しているのだろうか。

被写体の雰囲気に合う場所を毎回それぞれにチョイスしているのだろうか。それとも家の近くのお気に入りスポットで撮影しているのだろうか。写真家さんの生態が知りたい、今日この頃である。


一体自分は何を見て撮っているのか

AdobeのLightroom Classicでレタッチ(編集)しているのだが、撮影時になんでこんなことにも気が付かないのだろう、ということが多々ある。

・肌の色と背景の壁の色が全く同じで全く顔が映えていなかった。
・光が真上からさす時間で顔に影がたくさん出来ていた。
・靴づれでアキレス腱に血がついていた。

そうしたミスがレタッチでリカバリーできるかどうかが問題なのではなく、撮影時に如何に自分が目の前を見ることが出来ていないか、が問題だ。

戸山ハイツにて

一体何を見て自分はシャッターを切っているのだろう。でも、決してデタラメにシャッターを切っている訳ではない。ちゃんと良いと思った瞬間にだけシャッターを切っている自覚はある。

ファインダーを覗く前に自分の目で、撮りたいものを見つけられるようになりたい。


写真に映る本来の自分自身を探す旅

本業の作曲に比べて、写真は他の作品やアーティストさんからの影響をあまり受けてこなかったが故に、自分の価値観や理想など「良い」「素敵」「ピンと来る」という直感的な感覚がより作品に反映されやすいのではないかと思っている。

そのため、写真を撮ることで自分の価値観を「アウトプット → 客観視」して、どんなことに対して自分は「良い」「素敵」と思うのか、又どのような雰囲気や世界観が「好き」なのかを今一度考えてみたいと思っている。

ブランコにただ乗っているだけなのにシネマティック

ある意味、人や風景を撮りながら、本来の自分(価値観)をその写真の中に映し出しているのだと思う。だから、もっと撮影してもっと自分の本質的なところを探してみたい自分がいる。

私の写真との向き合い方

最後に、私の写真との向き合い方について考えてみる。

写真で何かを表現したい、何かを伝えたいという動機は今のところほぼない。
それよりも被写体や風景から滲み出る「素敵な姿」をすくい撮りたい。そして、そこに自然と映り込む自分の価値観を感じてみたい。

新宿三丁目にて

だからもしかすると、たとえポートレート撮影であっても、「撮影しよう/されよう」と思わない方が良いのかもしれない。
撮る側も撮られる側もそれぞれに「自分の新たな素敵な姿」を見るために、ひたすらにただ表現する。そんな感覚で臨むと良いのではないだろうか。

そうすることで、「良いテイク = 良い顔をすること、それっぽい写真を撮ること」ではなくなり、お互いに能動的でかつクリエティブな関係で撮影に臨める気がする。

ありのままの美しさこそ心に響く。
私はそんな写真を撮りたい。


@componaoki_photograph


中島直樹 / 写真家

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