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まなかい ローカル72候マラソン

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まなかい… 行きかいの風景を24節気72候を手すりに 放してしるべとします。                                        万葉集        … もっと読む
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#写真

秋分;第47候・蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)

秋分;第47候・蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)

母の住む信州上田の市街地の一室から虹が見えた。

朝霧が太郎山方向から降りてきて街を覆うころ、雲の切れ間から射し込んだ日光がこの虹を見せてくれた。写真は一緒にこのエアビーに泊まった息子が撮ったもの。仕事で来ていた僕は一足早くこの部屋を離れたが、出る前にもっとうっすらとした虹が見えていた。わずかな長さの。虹の欠片のようで、とても淡かった。

子供が見たこの虹は、部屋からアーチ全体が見えたというからと

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処暑;第41候・天地始粛(てんちはじめてさむし)

処暑;第41候・天地始粛(てんちはじめてさむし)

毎月一日、早い時間からの現場や出張がなければ、氏神様での月次(つきなみ)祭に参列させていただく。

祝詞を聞きながら拝殿で傅いていると、社叢の欅や楠の樹立ち高く響き渡っていた蝉時雨も盛りを過ぎ、熱気もようように落ち着いたようで、拝殿に送られてくる風に「天地始粛(てんちはじめてさむし)」を実感した。

「さむ」は「冷める」ことであるが、覚める、醒める、褪めるなどと同根であるとされる(『字統』)。であ

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処暑;第40候・綿柎開(わたのはなしべひらく)

処暑;第40候・綿柎開(わたのはなしべひらく)

処暑。綿の実が開くとき。

遥かな空でも、巨大な綿飴のような雲が、残りの夏の気を大いに孕んで咆哮している。

綿雲。積雲。今年は特に大きく育っているようだ。それらが崩壊して千切れた綿雲(上写真)も空を流れ、やがて夕空を彩る。

綿の実。真ん中には、種が包まれてある。

中にある核が柔らかいうちは青い殻で守られ、核がしっかりしてくると、周りの綿が空気を孕んでふくらんで裂ける。

周りの綿はCOMAと

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立夏;第21候・竹笋生(たけのこしょうず)

立夏;第21候・竹笋生(たけのこしょうず)

筍の旬は10日ほどだという。ここから「旬」という概念も生まれているそうだ。

1日で1メートル伸びるなんて、

国語の「たけ」は猛々しいとか、高い、逞しいなどとも通じている。

竹の子のあのギュッと詰まった円すい形

竹の皮に包まれ 土を突き抜け

圧縮され凝縮されたエネルギーをいただく

一日1メートル伸びる その節の間の余白

水の通り道 

空への意志

かぐや姫さえも孕んで

目覚めたばか

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