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まなかい ローカル72候マラソン

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まなかい… 行きかいの風景を24節気72候を手すりに 放してしるべとします。                                        万葉集        …
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#風土

小暑;第31候・温風至(あつかぜいたる)

小暑;第31候・温風至(あつかぜいたる)

都心の氏神様の杜で蝉の声をこの夏初めて聴いた 境内の小さな畑では藍が青の滲んだ緑濃い葉を広げてきた 

月桃の花も咲いた

この日はまっすぐ南下し 三浦半島へ向かった お庭の現場の下見

今まで馴染みがなかった土地だけど

「半島」という響き 海に迫り出しているというだけで魅力的だ

しかも地質学的にかなりユニークな土地 何十億年も前に差し込まれたフィリピン海プレートと太平洋プレートによる鬩ぎ合い

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立夏;第20候・蚯蚓出(みみずいづる)

立夏;第20候・蚯蚓出(みみずいづる)

分解者の代表 蚯蚓。特にこの時期、彼らの役割を改めて思い出す。

場所は世田谷ものづくり学校。

ぽくぽくと土を耕してくれて、年々土は豊かになっていく。

人の手は最小限にしている都市では珍しい場所。足元に広がっている見えない営みが命を支えている。

蚯蚓もまた死んだら次の命の場所になる。

立夏;第19候・蛙始鳴(かわずはじめてなく)

立夏;第19候・蛙始鳴(かわずはじめてなく)

(写真は鹿島神宮の御手洗池横の菖蒲園。匂い菖蒲が植えられている。そこでザリガニ釣りに興ずる家族がいた。)

立夏。思い立って銚子まで車を走らせ、twitterを見て敬愛する能楽師の住まいだったところをなぜか見に行く。そこから鹿島神宮を廻って帰宅するというショートトリップ。コロナで高速道路も街もスカスカ。海を見たかった、、、のかも知れない。

着いたのは海鹿島と呼ばれる 南に犬吠埼灯台を臨む場所。か

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春分 第11候・桜始開(さくらはじめてひらく)

春分 第11候・桜始開(さくらはじめてひらく)

楽しみに準備してきた弟の結婚式が感染リスクを避けるため延期になった。

都内の桜が満開を迎えるちょっと前の「すわ!」という時期だっただけに余計にもの悲しい。両家の親も楽しみにしていてくれた。本人たちも。僕もひとまわり年が違う弟の やや遅い晴れ姿を楽しみにしていた。

花見の自粛は震災を思い出す。

あの時も桜はいつもの桜ではなかった。

桜はいつものように咲いているけれど、愛でる人の目がそれをいつ

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春分 第10候・雀始巣(すずめはじめてすくう)

春分 第10候・雀始巣(すずめはじめてすくう)

藪椿がピークを過ぎて なお 咆哮している

お稲荷さんの裏の小さな畑

藍の種子を蒔いたので

春の陽の眩しい休日の午後 水を撒きに 

桜は2、3分咲き そのまま土手を 見上げると

空高く梢を伸ばす欅

ヤドリギがふっさり のっている

小さな藍畑 

種子を 雀が食べてしまう事がある

早く芽が出ないか  

芽が出るとよろこぶ 

土手の上には椿が溶け残っている