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たまり”場”とたまり”空間”について(その3)

前回は、たまり"場”について書いていますが、中でも物理的な”場”について考えてきました。


しかし、道端で井戸端会議をしているおばちゃん達や、コンビニで”たむろ”しているヤンキー達を見ると、毎回、井戸端会議の場所や”たむろ”するコンビニが決まっている訳ではありません。そのことに気づいた時、「人が”たまる”時は、必ずしも固定化された”場”が必要という訳ではないのかな」と考えるようになりました。


とした時、人が集まる物理的な”場”と、人が”たまる”という行為によって生成される”場”、この2つは分離して考えることができるのではないか。最近はそのような仮説を立てています。


ということで今日は、たまり”場”という物理的な場でなく、たまり”空間”について考えてみます。



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たまり”空間”とは


本来的な意味でのたまり”場”とは、人が集まった状態の事を指すのではなく、人が集まってしまう”物理的な”場のことを指しています。
(最近は言葉自体が一般的になりすぎて「人が集まった状態」のことも指すことがあるようですが、、、)


喫茶店や駄菓子屋という固定化された建物は、たまり”場”と言えますし、スケボー集団からすると、高架下の広場が物理的なたまり”場”と言えます。当然、これらは”場”ですから、お店そのものが移動する、ということは出来ません。たとえ地元の喫茶店と全く同じ喫茶店を東京に出店したとしても、地元の雰囲気や空間・ムードが完全に一致した”場”を作り出すことは出来ません。


対して、上記で述べたおばちゃん達やヤンキーの集団は何か。
それは、人が集まることによって生成されている空間、と理解することができます。

先ほどの固定化された”場”と違ってこれらは”空間”です。どこで会うかではなく誰と会うかを重視しているので固定化された”場”にさほど必要ではありません。なぜなら、多くの場合、空間は人によって作られるからです。


そのためチェーン店のカフェはもとより、道端やコンビニの前、公衆トイレなど、本来、人が集まるために作られた場でない場でさえ空間を生成することができます。



うーむ。

こうしてみると、たまり”場”が人が意図せず集まってしまう固定化された場所のことであるならば、人が意図せず集まってしまうことによって生成されている空間のことは、「たまり空間」と呼んだ方が良いわかりやすいかと思います。


たまり場・・・・人がつい集まってしまう物理的な場のこと
(場所に重きをおいている。移動できない。)

たまり空間・・・人が集まることによって生成される空間のこと
(人に重きをおいている。移動できる。)


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たまり”場”とたまり”空間”の関係性


では、たまり場とたまり空間はどのような関係性でしょうか。


先に答えを言えば
たまり場は、たまり空間という「人がたまるという行為」を助けてくれるいわばたまり空間のオプションである、と言えます。


上記でも述べたように、たまり空間は”場”にとらわれず生成することができます。たまり場にもたまり空間は多数生成されていますが、これは、あくまでたまり場がたまり空間を生成しやすい環境なだけで、空間を生成するための絶対条件ではありません。


この「たまり空間を生成しやすい環境」とは具体的に何を指すのか、ということについては下記のnoteで少々触れています。よければこちらもご覧下さい。


ひとつの指標として究極のたまり場とは、そこに”たまって”いる人たちに

「あらもうこんな時間」

と言わせたら勝ちみたいなところがあります。それくらいたまり場は人々が集まって、たまる、という行為を包み込んでくれる場所でなくてはなりません。言い換えれば、たまり場は”場”そのものが前面に主張されてしまうと本当の心地よい場所にはなり得ません。


ですから、たまり場には
「今まで気づかなかったけど、ここってこんな造りなんだね」というように、人に気づいてもらうのを待つという受け身の姿勢が求められるような気がします。


たまり場
→たまり空間を生成しやすい環境を提供する場所。(バックコーラス)

たまり空間
→人々が溜まることによって生成される空間。(ボーカル)


まとめ

今日はたまり場という固定化された場ではなく、人々が集まり、生成していくたまり空間について書きました。


たまり場・・・・人がつい集まってしまう物理的な場のこと
(場所に重きをおいている。移動できない。)

たまり空間・・・人が集まることによって生成される空間のこと
(人に重きをおいている。移動できる。)

※たまり空間は必ずたまり場にしかできない、という訳ではなく、たまり場にたまり空間ができやすい、というだけ。


昨今のたまり場という言葉には、カフェのような固定化された場を表す時と、人が集まっている様子を表す時がありますが、これらを分けて考えたほうが実はわかりやすいのでは?ということで今日は書いてみました。


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