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私の感覚や学びの根源

 今と最初では学び方もどんどん変わってきている気がします。「自閉症支援を学ぶって何?」って方もおられると思うので少し自分の体験と考えをまとめてみようと思いました。

 そもそも私は最初から陸上競技の経験を元に支援の土台を考えていて「個別性」は支援でもとても重要にしていたことが大きかったです。陸上競技でも「全員一緒に同じトレーニング」をしていて違和感を覚え、自分なりに最先端のトレーニングを調べて導入し、練習を組み立てていました。それは手足の長さも違えばそれまで練習してきたことも違い、同じトレーニングをしていても必要なものは違うと感じていたことからでした。

 田舎の学校でしたのでトレーニング機材も多くありません。同じレベルの選手たちとトレーニングすることはほとんどないため、大会に行っては強い選手をストーカーしてどのような動きをしているのかウォーミングアップからみていました。大きな大会に行くと全国ランキングの1位2位3位がたまたまいたので全てを見ることもできましたし、友達を作ってその人たちの情報を得ることを徹底しました。話を聞くだけでも三者三様、ウォーミングアップもタイミングから内容まで色んな形を見ることができました。

 そうしている中で「あーなんか、ここは三人とも同じようにしているな」という共通点を見出したり「専門誌で言っていることとはちょっと違うな」と個別性を整理したりと自分なりに速く走ることの動きやトレーニング方法を考える流れを作って実践していました。いわゆるアセスメントをすることやデータ収集、実践をする流れが身についていたと思います。

 しかし、今考えてみると仕事について支援をすることでは、状況が悪化しても改善しても「なぜなのか?」ということが曖昧でした。最初は「支援を学ぶ」こともよくわからず、自分の感覚でご家族や先輩と相談しながら支援をしていて当時の支援には疑問は抱いていませんでした。しかし、年数とともに様々な場面に遭遇し、それら支援に対してうまく説明できない、実践できない自分に気が付くようになってきます。まだまだ陸上競技で培ったプロセスが支援と結びついていない時代でした。

 そして自閉症のグループに配属されます。支援だけでなく、業務も覚えてきたこともあると思いますが「これでいいのだろうか?」という疑問も出てくるようになりました。何の迷いもなく「利用者をわかっている」と思い込んで「全てをどのように受容するのか?」といった観点だったと思います(この全受容の観点は後日、記事にしようかな)。利用者をわかっていると思い込むことへのアセスメントは「感覚」でした。受容することが目的だったので雰囲気で「こーしたいのかな?」「あーしたいのかな?」とご本人が期待することを先回りして対応することがいいことであると思っていました。

 もちろんご本人への支援として問題行動が解消される、期待される行動がとれるようになるといった「職員からすると成功」と感じることもありました。しかし、支援をする上でとにかく困難なことが多く、周囲との関係調整も複雑になり職員負担も増えて、疲弊していったことを覚えています。さらにはそれを説明できない。だからこそ周囲との確執も大きくなったのかと今では思います。

 転機はあるときの研修でした。その時のテーマは自閉症支援の講座で問題行動に対する連続講座です。障害特性や支援の考え方など自分の疑問や曖昧だったことの霧が晴れるようになってきました。当時は感覚でおこなっていたことに証明された理論がとてもわかりやすくつながり、納得、理解でき始めたと思っています。そこから自閉症や支援の考え方に興味を持ち、学ぶ重要性を感じて年間を通して自閉症の研修を受けるとともに実践を行ってきました。

 そして、少しずつ学び、実践していくことで当事者支援への確かな手ごたえを感じ始めます。さらには陸上競技で学んだプロセスがはまっていくことに気が付いていきました。自分の支援の土台が見えてきたことからますます多くのことを学びたいことにつながり、自施設を飛び出してたくさんの方々のご協力のもとで施設や研修、コンサルテーションに同行させていただくようになっています。そうすることで自閉症支援のアイディアや最先端の支援はもちろんエビデンスベースの重要性を感じました。学ぶことで支援に有効な様々な理論や方策を知っていくきっかけにもなったと思います。また、大学の先生にご教授いただきながらアメリカ、ノースカロライナにあるTEACCHセンターに海外視察研修にも参加させていただきました。そこでますます学問として自閉症を知りたい、最新の支援、情報を学びたいという気持ちが強くなって大学院進学をして現在に至ります。

 実は転機になった研修で学んでいたのは「TEACCHⓇAutism Program」という自閉症の包括的な支援プログラムを元にした支援方法だったことに気が付くのは学びが深まってからでした。本格的にTEACCHⓇAutism Programを学ぶのは大学院に入ってからです。TEACCHⓇAutism Programとは何か?これを説明するにはちゃんとした資格が必要になりますのでここではあまりお話しできません。ご了承ください。

 こうして多くの学びを得てきた私は現場の中でどんどん実践をしていくわけですが、障害特性や支援の内容に対して様々な誤解や勘違いが生じることもありました。ここが現在の焦点になっていると思います。自分のスキルを伸ばすだけでは「この人だからできること」と感じる方も多くいらして、なかなかうまく伝わらない経験もしました。もちろん私自身の説明不足やスキル不足もあります。

 そこで外部での研修を進めたり、コンサルテーションを受けたり、法人の枠を超えて他事業所と事例検討や勉強会などをして理解を広める活動を行っています。これらのことからどのようにすればよりよい人材育成ができるのか?を日々悩みながら創意工夫、実践をしています。

 サービスや制度も多く変わってきており、表面的な支援を覚えるのではなくて「その支援の理由や意図、方法など」を考えることになっています。法律としても2005年には発達障害者支援法が施行されたり、2014年には虐待防止法が施行されたり、着実に専門性の高い職員育成が求められています。

 まだまだ未熟ではありますが大学院や現場で得た知識と研究でわかったことを実践家として様々な場所で専門性を発揮したいと考えています。また、利用者支援だけでなく、支援者育成にも力をいれたいと思いました。啓発活動も含めて常に最新の情報を収集しながら、学びの大切さを伝え、各地で実践、活動ができる人材になっていきたいと考えています。

 学びの話をざっくりとしてみましたがいかがでしたでしょうか?よかったら聞いてみたいこと、感想などコメントしてくださいね!最後までよんでいただきありがとうございました。皆様のご質問にお答えしながら活動していきたいと思います。

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