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お風呂の温度と日々格闘する新米お風呂やさんの奮闘記

「今日の風呂は気持ち良かったよ!」

常連さんがひと言そう言い残して帰っていく。

感想を言ってくれるのはとても嬉しい😊

だけど素直に嬉しいだけで
済ませられない理由がその言葉の裏にはある。


僕は、去年の4月から友人と2人で都内にある
「富久の湯」の運営としてお店を回すことになった。

初めて仕事を教わりに来たのは去年の1月なので、
実はもう1年経ってしまっているというから驚きだ。

ただの近所のスーパーのアルバイターだった僕は、ひょんなことから友人と銭湯経営がしたくなり、紆余曲折を経て気づけば縁もゆかりもない地で、話したことも会ったこともなかったひとの銭湯を任せてもらうことになった。

改めて書いても変な話である。笑

まぁここは一旦おいといて、
今日したいのは別のはなし。


「今日の風呂は気持ち良かった!」

常連さんのこの言葉を聞いた僕は
すぐにフロントから立ち上がり裏へと回る。

常連さんのこの言葉の裏には、
「今日のお風呂は熱くて痺れるぜっ!!」
といったニュアンスが含まれている。

東京台東区はあの浅草がある、
下町情緒あふれる比較的落ち着いた街だ。

下町の銭湯はなぜか熱い風呂が多い。
うちは温度にして42℃くらいから44℃くらい。笑

今の時期なんかは体が冷えてることもあり、
眉間にしわを寄せながらゆっくりと体を沈めて入る。

オーナーさん曰く下町の人はせっかちな人が多く、
パッと入ってすぐ温まってパッと出たいらしい。(謎)


しかし、お風呂が普通の人には熱すぎるせいで、子どもがお風呂が熱くて泣きだすなんて事があったり、一見さんにはあまり優しくない設定だった。

お風呂の温度をしれっと1℃こちらが下げようもんなら、温度計などついていないはずなのに「にいちゃん、これじゃ全然あったまんねーよ!」とご意見番の方々から異議申し立てを受けるはめになる。

常連さんはぬるいお風呂には敏感なのに対して
熱いお風呂になると、熱ければ熱いほど喜ぶ。笑

だから大抵常連さんが「今日の風呂は気持ち良かった!」なんてお風呂の温度をほめる時は、お風呂がいつもより熱いんだなと分かるようになった。


前のオーナーさんは言われるのが嫌だから、熱い方に合わせていた。でも僕はどうしてもいろんな人に入ってもらいたいので、言われるのを覚悟で少しずつ温度を下げる計画を始めた。

これまた難しいのが、銭湯の裏場にはいくつもの温度調節があり、一般家庭のようにボタンひとつで、「ぴっ!お風呂の設定温度は40℃です!」なんてわけにはいかないのがまた僕を悩ませる。

さらに追い討ちをかけるように、その日の気温や湿度によって同じやり方でも、同じお風呂が出来上がらないから最初なんかはもうお手上げ状態だった笑🤷‍♂️


今は毎日その微妙な加減をひとりで神業的に調節してみせ、どちらからも文句を言われない絶妙な温度のお風呂を実現させることに成功した。

それでもまぁまぁ熱い。笑

みんながみんな幸せになれば嬉しいが、
ひとそれぞれ好みはあるし、そううまくはいかない。

この人は熱いお風呂が好きで、この人はぬるいお風呂が好きなんてのもだんだん分かるようになった。


まぁ僕も毎日お風呂に浸かっていると、熱いぬるいの感覚もバグってきて、熱いお風呂の良さもわからん事もない。笑

熱ければ熱いほど、湯上がりのコーヒー牛乳や炭酸ジュースは魂が昇天するくらい美味いし、ビールだって思わず声が漏れるような格別な1杯へと変貌する。


これからだんだん暖かくなり季節がまた変わる。
季節の変わり目の温度調節が1番難しい。笑

でもそれが意外と退屈せずに風呂屋を続けられる理由になっているのかもしれない。笑


お客さんをいかに満足させれるかというおれの挑戦。

そう思えば難しいのは案外嫌いじゃない😏




最後まで読んでいただきありがとうございました😊
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