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世界で最も売れている映画監督が手掛けた、B級ホラー映画『クラウン』

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が全米で興収883億突破とのことで、歴代3位になりました。全世界での歴代映画興行収入でも6位につけています。
中国での公開はこれからなので、今後どこまで記録を伸ばしていくか楽しみです。

さて今回の映画で、現在世界で最も売れている作品を監督したジョン・ワッツ。
デビュー作は、B級ホラー作品の『クラウン』でした。

<あらすじ>
ピエロの衣装を着て息子の誕生日を祝ったケント(アンディ・パワーズ)は衣装が脱げなくなり、やがて肌に同化し始めていることに気付く。その衣装には、かつて子供たちをむさぼり食っていた悪魔「クロイン」伝説にまつわる謎が秘められていた。邪悪な魂に取りつかれたケントは、完全にクロインになってしまう前にくい止めようと考え……。

https://movies.yahoo.co.jp/movie/351905/

「ピエロの衣装を着たら、脱げなくなって自分がピエロの悪魔になってしまうホラー」というログラインがとても魅力的です。

このオカルトチックな設定は、ヒリヒリとしたリアリティさえも感じさせてくれます。

また、他のアイデアにも転用が効きそうです。
例えば、、、
<パターン1>
「ドンキホーテで買ったドラッグクイーンのコスプレが脱げなくなったサラリーマンのコメディ」

ドラッグクイーンのままで出社はできるのでしょうか?
家庭は大丈夫でしょうか?
ジェンダーの問題と絡めと、面白いストーリーができそうです。

<パターン2>
「警官を偽装した泥棒が、警官の制服が脱げなくなるヒューマンドラマ」

コメディでももちろんいけそうですが、ヒューマンドラマにしても良いかもしれません。
人を信じない主人公が、様々な人々から頼られることによって、正義に目覚める……といった展開も思いつきます。

<パターン3>
「なまはげの格好をした青年が、本物のなまはげになってしまうホラー」

『クラウン』と同じような設定ですが、舞台を日本の地方に持っていくと、土着的なユニークさが出ます。低予算でも、突き抜けた怖い映画になりそうです。

さて、『クラウン』の方に話しを戻しましょう。
ストレートに感想を申し上げると、ログラインなど映画の「掴み」は最高でした! けれど、途中でだんだん飽きてきます

デビュー作であったジョン・ワッツの力量不足もありますが、もしかすると製作を担当したイーライ・ロスに起因するものなのかもしれません。
イーライ・ロスの映画は、B級だけど掴みが強烈な作品が多いです。『ホステル』や『グリーン・インフェルノ』等々……。

ただいずれも刺激に慣れてくると、ドラマが弱いためか、最初の衝撃がだんだん薄れてくるのです。

「掴み」だけに依拠しないドラマが必要でしょう。
『クラウン』でも、生きるか死ぬか。子供か自分か。愛か死か。ドラマの基本である「葛藤と対立」をもっと掘り下げるべきだったのでしょう。また、そもそも主人公に感情移入ができないので、どこか醒めた目で見てしまう自分もいます。

なお、『クラウン』の映画成立の経緯としては、映画学校に通うジョン・ワッツらがフェイクで作ったホラー予告映画をYouTubeにアップしたことから始まります。
この予告には、無断でイーライ・ロスのクレジットを載せたのですが、イーライ・ロス本人がこれを発見し、実際に映画化へ誘いました。
ですので、イーライ・ロスが製作する『クラウン』というのが、商業的な引きになっていました。

しかしながら、ジョン・ワッツ監督の『スパイダーマン』シリーズがヒットしてからは、イーライ・ロスではなく、ジョン・ワッツ推しに宣伝文句も変わってきます🤣

Amazonプライムビデオでも、『スパイダーマン:ホームカミング』の監督デビュー作!』となっています。

しかしまあ、この節操のなさが、またB級感あって良いですね。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の方では、MJが「期待をしなければ失望もしない」と語っています。

『クラウン』も過度な期待をしなければ、楽しめるはずです!?

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