見出し画像

コーダを音声日本語と手話の併用で育てたけど、手話があまりできない…

===================
《コーダ子育て中の親向け》コーダ子育てサロン(対面・オンライン)にご参加いただいた方達の、子育てに関するお悩みやご相談いただいた内容をまとめました。※コーダ=聞こえない親を持つ聞こえる子どものこと
===================

Q.コーダを音声日本語と手話の併用で育てたけど、手話があまりできない。コーダが今から手話を身につけるためには、どうしたらいいの?

A.音声日本語(以下、声とする)と手話の併用で育ったコーダは、手話があまりできないため、手話を積極的に使わない子が多いです。

その子が手話を身につけるためには、まず、声と手話を切り離して、手話に注視する時間を作らなければなりません。

しかし、急に声なしでの手話に切り替えると、コーダは困惑や不安を覚えます。

「耳で聞く」から「目で聞く」への切り替えには時間が必要です。

当分の間は、「手話で表現した後、必要に応じて声を出す」という方法がよいでしょう。

「目で聞く」ことに慣れてきたと思えたら、次は声なしの手話だけで会話をしてみてください。

通じないようでしたら、一旦、手話で表現してから声を出すという方法に戻ってもらって構いません。いわゆる一進一退ですね。

今からでも遅くはないので、焦らずに気長にしていきましょう。

【コーダに手話を身につけさせる実践方法】

例えば、「お茶を飲みたい?」と聞く時、

まず、コーダの肩を軽くたたいたり、手を振るなどして親の方を向いてもらうか、親がコーダの見えるところへ移動します。

次に、コーダと向き合えたら、親はお茶をコーダに見せながら、

手話で「(あなた)/お茶/飲む/希望?」と表します。
コーダの反応を見て、まだ声が必要だと感じたら少しだけ声を出します。

コーダが声で「飲みたい」と返事してきたら、親は、声なしでの手話で
「これ/お茶/飲む/希望  OK/入れる/待つ」を表現します。
(お茶飲みたいよね。入れるから待ってね。)

このようなやりとりを重ねていくことで、コーダは少しずつ手話を理解していくようになります。

まずは、コーダが手話の内容を理解できるようになることが大切です。

理解できることが増えると、自然と手話が表出されるようになり、しばらくすると手話での会話ができるようになります。

手話がなかなか身につかないという悩みを相談してくる聞こえない親たちが、「声と手話を併用することのデメリット」に気づいたことで、『声』から『手話』に切り替える家庭が増えています。

そこで気をつけてほしいことは…。

「目」で情報を得るろう児と違って、コーダは「目」と「耳」で情報を得ています。

親の手話を見てくれない時に、「手話を見て!」と強制的に言うのは逆効果です。これでは、コーダは手話が嫌いになってしまいます。

コーダは、最初のうちは手話がわからなくても繰り返していくうちに段々と手話を理解していくようになります。

ですので、気長に辛抱強く、手話の環境を作っていくことを意識していけば、次第には『手話』で深い会話ができるようになります。

将来、コーダと聞こえない親、親子水入らずの晩酌を楽しめる日が来たら素敵ですね!


【手話】の関連記事
・ 
手話環境で育つコーダは、日本語の獲得や言葉が遅れてしまう!?
・ 
コーダに指文字を”先に”教えたほうがよいですか?
声を出しながら手話をしてはいけないの?
コーダに音声日本語と手話の併用で育てたのですが、手話があまりできない…
コーダが自分の親に通訳したがるけど、どこまでお願いして大丈夫かしら?
・手話子育てがいい理由とは?


▲ 当マガジンの目次へ
▲ ホームへ    ▲ 全体マガジンへ