譲原

文字書き。気ままにぶん投げる。スキは遊びじゃない。 何かあればhttps://odai…

譲原

文字書き。気ままにぶん投げる。スキは遊びじゃない。 何かあればhttps://odaibako.net/u/cocotwlz へ。

マガジン

  • ありがちなRPGの進め方

    『古典的なRPGの進め方』https://note.com/cocotwlz/m/m4cbff8bfa041 と同じ世界観、違うキャラクター達のワンシーン集。

  • 星と運命に愛された国(仮題)

    星と運命に愛された国。星を読み国を導く役目の星読師と、この国の民と象徴を守る役目の騎士。そんな二人を巡るワンシーン集。 「運命も前世も、私には必要ない」

  • 古典的なRPGの進め方

    剣と魔法がある、まるでRPGのような世界。そんな世界で旅をする幼馴染三人組(時々四人)のワンシーン集。会話文のみも混在。

  • 私と先輩の七日間攻防

    中編。日常恋愛。

記事一覧

鈴がなく

私は祖父に花をあげたことがない。 仏壇の鈴を手癖で鳴らして黙祷する。いつだか、鈴は邪念をはらうためと聞いた気もしないでもない。けれど見慣れた祖父母の家で、この音…

譲原
3年前
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しんしんと、時だけが降り積もる冷たい夜。あまりにも静かで、だからこそ何をしても良いように思えてくる。誰にも目を向けられない、まるでこの星の空気になったみたいだ。

譲原
3年前

一緒にいたいのに理由なんてない。理由がなくてもいいから、一緒にいたいの。理由が無いのが理由なの。

譲原
3年前

「何があっても、この世界は最高だ! って、笑っていたいの。私、そのために旅を続けたい」
「じゃあ、あの人とは? あの人とは、何の為に一緒にいるの?」
「理由が必要なの? ……そうね…『俺たちは最高だ!』って肩を叩きたい相手だから、かも」

譲原
3年前


『もしもこの先、私にほんの少しでも会いたいと思ってくれたなら。その鈴を鳴らしてください。きっと駆けつけます。どこへでも』

譲原
3年前


「もう放っといてくれよ!!」
音もなく、肩から羽織が滑り落ちる。
「オレは強くなりたくなんてない!! 苦しいのも辛いのも嫌だ! 強くなるって最悪なんだよ! 苦しくて辛くて惨めで、その上約束された未来なんかこれっぽっちも無い!」
一息に言い切った少年の息は荒い。

譲原
3年前


「何故です?」「人は絶えず満たされない、不完全な生き物です」「誰だって過ちを犯します。だから、いつだって許されるべきです」
「じゃあ、どうして師匠にはいつもあんなに怒ってるんですか?」
「………。…どうしてでしょうね……?」

譲原
3年前


「セルマさんってすぐ怒りますよね。師匠は一緒にいて疲れないんですか?」
「ああ……彼女は許せないものが多いんですよ」「世界が綺麗じゃないと我慢ならない、我儘なんです」

「……構いませんよ。でしたら、これは一緒に片付けましょうか」
「ボク、もっと怒ると思ってました」

譲原
3年前

私を永遠にするのはあなただ。悪夢を見ても、世界が敵に回っても、死が二人を分かつとも。あなたはいつまでも私を心に置いておける? 永遠って、そういうことだと思う。

譲原
3年前

「この、私の…一体どこが、満たされているというのですか! 申してみなさい無礼者!!」
乱れた髪、泥と煤にまみれた袖、あがる息。
そして、手負いの獣のような、光る瞳。
「……撤回しますよ、お嬢さん」

譲原
3年前

いつか訪れるもしものために、未だ知らない愛を語る。

譲原
3年前

第二回好きな歌詞書き出し大会

はい二回目〜〜!タイトル通りなのでさくさくいきますね。 引用は以下のように記載します。 歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞…

譲原
3年前
2

私だけはあなたの思い出にいない

「アレックスの好きな花ってなに?」 見上げた横顔は一拍遅れてこちらを向いた。目つきの悪い目が私を見たまま、黙り込む。 数分後、ようやく開かれた口から出てきたのは、…

譲原
3年前
1

はじまりの言葉を今も抱いていた

森の中でも敢えてろくに整地されていない場所に飛び込んだのは、少しでも敵を撒けないかという彼女の魂胆だった。しかしやはり浅はかだったようだ、と物音を聞いて顔をしか…

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3年前
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自由の先は無い、それでも自由でいたい。

「『冒険者なんて先のないこと、いつまで続けているの?』」 セルマは隣の相棒をちらりと見た。 反応が欲しくて放った言葉だったが、興味もなさげに眠そうな目ではあ、と気…

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3年前

君と歩いていきたい道がまだある

「アレックス。あれはなに?」 少女が指差したのは、中央の広場。噴水が吹き出している側で、何人かがかたまっている。特徴的なのは、だれもが大きい荷物を抱えていること…

譲原
3年前
1

鈴がなく

私は祖父に花をあげたことがない。
仏壇の鈴を手癖で鳴らして黙祷する。いつだか、鈴は邪念をはらうためと聞いた気もしないでもない。けれど見慣れた祖父母の家で、この音が響き渡るのが好きだった。目を瞑る。両手を合わせて、それらしく俯いてみせる。
心の内は届かない。この鈴を鳴らしているのが私なんだと伝える術もきっと無い。
鈴は祓えたどころか雑念を次々と呼んだ。思考は途切れることがなく、目を開ける。顔を上げれ

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しんしんと、時だけが降り積もる冷たい夜。あまりにも静かで、だからこそ何をしても良いように思えてくる。誰にも目を向けられない、まるでこの星の空気になったみたいだ。

一緒にいたいのに理由なんてない。理由がなくてもいいから、一緒にいたいの。理由が無いのが理由なの。

「何があっても、この世界は最高だ! って、笑っていたいの。私、そのために旅を続けたい」
「じゃあ、あの人とは? あの人とは、何の為に一緒にいるの?」
「理由が必要なの? ……そうね…『俺たちは最高だ!』って肩を叩きたい相手だから、かも」


『もしもこの先、私にほんの少しでも会いたいと思ってくれたなら。その鈴を鳴らしてください。きっと駆けつけます。どこへでも』


「もう放っといてくれよ!!」
音もなく、肩から羽織が滑り落ちる。
「オレは強くなりたくなんてない!! 苦しいのも辛いのも嫌だ! 強くなるって最悪なんだよ! 苦しくて辛くて惨めで、その上約束された未来なんかこれっぽっちも無い!」
一息に言い切った少年の息は荒い。


「何故です?」「人は絶えず満たされない、不完全な生き物です」「誰だって過ちを犯します。だから、いつだって許されるべきです」
「じゃあ、どうして師匠にはいつもあんなに怒ってるんですか?」
「………。…どうしてでしょうね……?」


「セルマさんってすぐ怒りますよね。師匠は一緒にいて疲れないんですか?」
「ああ……彼女は許せないものが多いんですよ」「世界が綺麗じゃないと我慢ならない、我儘なんです」

「……構いませんよ。でしたら、これは一緒に片付けましょうか」
「ボク、もっと怒ると思ってました」

私を永遠にするのはあなただ。悪夢を見ても、世界が敵に回っても、死が二人を分かつとも。あなたはいつまでも私を心に置いておける? 永遠って、そういうことだと思う。

「この、私の…一体どこが、満たされているというのですか! 申してみなさい無礼者!!」
乱れた髪、泥と煤にまみれた袖、あがる息。
そして、手負いの獣のような、光る瞳。
「……撤回しますよ、お嬢さん」

いつか訪れるもしものために、未だ知らない愛を語る。

第二回好きな歌詞書き出し大会

はい二回目〜〜!タイトル通りなのでさくさくいきますね。
引用は以下のように記載します。

歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞歌詞
(歌の名前/歌手名/作詞者名)

ただ好きな歌詞を書き出したいだけの一人大会なので、著作権の侵害を意図するものではないことをご理解ください。楽曲が偏ってるのはお察し。
ひたすら好きと言ったり、どこが好きと語るよりも見て!! とい

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私だけはあなたの思い出にいない

「アレックスの好きな花ってなに?」
見上げた横顔は一拍遅れてこちらを向いた。目つきの悪い目が私を見たまま、黙り込む。
数分後、ようやく開かれた口から出てきたのは、子供のようなぼんやりとした返事だった。
「………好きな花…?」
「うん」
「……俺に聞いたのか?」
「そうよ」
「………」
再び黙り込む彼。その様子に思わずにやけそうになって、流石に笑ってはいけないと慌てて口元を隠す。
意地の悪い質問だっ

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はじまりの言葉を今も抱いていた

森の中でも敢えてろくに整地されていない場所に飛び込んだのは、少しでも敵を撒けないかという彼女の魂胆だった。しかしやはり浅はかだったようだ、と物音を聞いて顔をしかめる。後ろから追ってくる複数の気配は、逃げ出した時から少しも減った様子がない。
「…っ、はっ…」
「あとちょっとです。辛抱して」
少しも息が切れていない男に声をかけられて、声をこらえながら頷く。
胸に手をやり、自己回復をかけた。回復の光は透

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自由の先は無い、それでも自由でいたい。

「『冒険者なんて先のないこと、いつまで続けているの?』」
セルマは隣の相棒をちらりと見た。
反応が欲しくて放った言葉だったが、興味もなさげに眠そうな目ではあ、と気のない言葉が返ってきただけだった。
「…って、言われたんですけど。どう思います?」
「さっきの街ですか」
「そう。宿泊客に」
「言ってくれれば殴りましたのに」
淡々と物騒な言葉を返してくるカーティスに、怒ってはいないと首を振るセルマ。

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君と歩いていきたい道がまだある

「アレックス。あれはなに?」
少女が指差したのは、中央の広場。噴水が吹き出している側で、何人かがかたまっている。特徴的なのは、だれもが大きい荷物を抱えていることだ。
「運び屋だ」
中心の青年を軽く指差し、アレックスは端的に答えた。
運び屋とは、類稀なる瞬間移動能力を駆使して、荷物や時には人そのものを運ぶ、文字通りの職業だ。希少な能力であり人材も限られているため、その利用料金は高いことがほとんど。

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