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星と運命に愛された国(仮題)

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星と運命に愛された国。星を読み国を導く役目の星読師と、この国の民と象徴を守る役目の騎士。そんな二人を巡るワンシーン集。 「運命も前世も、私には必要ない」
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記事一覧

Have a hot soup.

宮殿の広い廊下、その片隅をアイシャは忙しなく歩いていた。片腕に資料の束を抱えながら、疲労…

譲原
3年前
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Only you're my shinin' star.

「こんばんは。良い夜ですね」 後ろから現れた騎士に、反射でこぼれそうになった文句をぐっと…

譲原
4年前
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Become a world that rewards the future.

「──いつまで今の状態でいるつもりですか!!」 「相手は由緒正しい騎士の生まれ。コーエン…

譲原
4年前
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(Please)Call your (my) name.

「アイシャ殿」 その声が誰だか判別できてしまった。 足を止めて一瞬、迷う。それでも気づいた…

譲原
4年前

Don't be alone.

「姉さん」 街が眠り、月が中天にかかる頃。 宮殿の最上階。星読師にしか入室が許されていない…

譲原
4年前
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Find a star in the blue sky.

散々泣いた後の夜明けの空は、いつもよりちょっと手厳しい。 風は容赦なく吹き付けてきて冷た…

譲原
4年前
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Looking back on the street corner.

「ニール! 女の子が呼んでるぞ!」 「誰?」 「確か…ラングリッジのお嬢さんだって」 「……出てくる。後は頼んだ」 その名前に、期待してしまったのは事実だ。 宿舎を出て、見慣れた濃紺の髪を探す。外にはあまり人がいないから、すぐに見つかるものかと思ったが。 「ニールさん」 後ろからの呼び声に振り向く。想像していた声と違っていたのは当たり前だった。 そこにいたのは婚約者の妹。 「…久し振りだね、リーン」 「ええ、お久しぶりです。姉さんじゃなくてすみません」 姉と同じ金色の目を細め

You can’t take the milk back from the coffee.

「……何故、あんなことを言ったのです」 硬い声音が重りのように、部屋に響く。 二人分のカッ…

譲原
4年前

She decides the continuation of the sky.

「リーン! 今日はこれもお願いできるかな」 「はーい。…って……」 持ってこられた荷物の大…

譲原
4年前

Angel's ladder.

彼女はいつも空を飛んでいる。 薄曇りの空。今日はあまり高くまで飛べないらしい。かろうじて…

譲原
3年前

I wish your wish and happiness were the same.

学び舎の外。みんなが寝静まった後、一人中庭に抜け出す。 今日は上弦。満月になるまでまだ日…

譲原
3年前

People who look good with tea time and sugar.

「ごゆっくり」 友人達との間で噂になっていた食事処。花がそのまま砂糖漬けになっている花砂…

譲原
3年前
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