Only you're my shinin' star.

「こんばんは。良い夜ですね」
後ろから現れた騎士に、反射でこぼれそうになった文句をぐっとこらえた。
「……こんばんは。こんな時間に珍しいですね」
既に宮には限られた者しかいないはず。警備担当の騎士は彼ではない人間だったはずだ。
「今日は満月。貴女の瞳が綺麗に輝くだろうと思いましてね。お供させていただいても?」
「お帰りください」
「これは手厳しい」
わざとらしく肩を竦めていても、特にここから立ち去る素振りは無い。そういうところが癇にさわるのだ。
相手にするだけ無駄だと思い、手元のホロスコープに意識を戻す。星祭が近い今、やることは山のようにある。男に構っている余裕はなかった。
「今日はお誘いにきたのですよ。星祭の日、時間があるなら…僕と一緒に回っていただきたいのですが」
「無理です」
星祭で時間なんかできるわけないだろ! 星読師なめるな。
そもそも騎士も宮を始めとした、各所の警備に当たるはず。時間が無いのはお互い様だ。
「なら」
その一言がやけに響いた。手を止めて思わず彼を見上げる。
こんなにも光多き夜なのに、彼の目には光源が映っていない。ただまっすぐ、エメラルドよりやわらかい緑がこちらを見下ろしていた。
「僕と一緒に回れないのなら、せめて誰とも出かけないでくれますか」
「……名ばかりとはいえ、婚約者以外の人間と歩いては私の評判に関わりますね」
本当にそんな暇など無いだろうし。渋々応諾すれば、彼は僅かに微笑んだ。
「アイシャ殿は本当につれないですね」
「あなたこそ、前世だの伝承だのに縛られすぎでは?」
私達は前世で繋がっている。それは紛れもなく、この世界の星々と、胸の痣が証明している。
だけどもう、前世や伝承に従う必要のない時代だ。逆らっても天変地異は起きないし、従わなくても目的を果たせる手段がある。
私の番でそれを示していかなければ。この国はいつまでも、星と伝承に縛られたままだ。
だからあなたの好意を犠牲にして、私は歴史を変える。あなたと私自身が、長い歴史の上で、変革の一歩になる。
「都合の良いものですよ。星の巡りも…ひいては、人の運命も」
「……見る目の無いひとね」

(いいわけ)899字。昨日の分。できたら今日の分はこれから書きます。日本語も怪しいのでタイトルの英語もとてもとても自信ないです。どこか変だったらこっそり教えてください。
続きらしいものはこれ

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