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【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

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心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
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2021年7月の記事一覧

短歌 汗 十首とか近況とか

短歌 汗 十首とか近況とか

1
蝉時雨まだ許されていない午後伝う汗まで私を責める

2
わからないことがわかると宝物ひとつ失くした気持ちが実る

3
月まででいいから早く連れてって片道切符で構わないから

4
老いという現実はにび色をしてどこへ行っても視界に入る

5
アスファルト一滴落ちる汗はまだ容赦を知らない子どものように

6
手を叩き歓喜するひと手で抑え嗚咽するひと私は迷子

7
いつもより目深にかぶった帽子 きみ、

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短歌 夜 十首

1
何回も同じCMの流れるリビングの隅に浮く金魚たち

2
夏祭りあやまちさえも彩りを増すか夜空の打ち上げ花火

3
真っ白なシューズをおろした夜なのに月が視界に飛び込んでくる

4
叫んだら許されますか良いことと悪いこととが混ざる地平で

5
黒鍵を強く押すたび罪悪感だけがクレッシェンドする夏の夜

6
今どきは燃やすんじゃなく削除する 笑顔の写真はツータップで

7
ペディキュアが少し剥がれた

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短歌 迷子 十首

短歌 迷子 十首

1
冷暗所で爪を噛んだおかげで孤独を辞書で引かなくて済む

2
おかしいな規則正しく生きてきた規則正しく生きてきたのに

3
生まれたらカウントダウンがはじまる「おめでとう」とは終わりの合図

4
だれだれがどこどこでなにをしていてもわたしのいとまはしぼまない

5
迷子にはなっていないと思うけどどこにも居場所がない夕まぐれ

6
悲しいね夏だね蝉が鳴いてるね去年と同じ蝉はいないね

7
アルバム

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短歌 五首と近況と

1
手鏡に向かい笑顔の練習を毎夜しているひとの屋根裏

2
喪ったひとを捜して鋲を打つ 二度とどこへも行けないように

3
ひろしたちひろしたちひろしのショパンは犬のサイズがやたらとでかい

4
マリー・アントワネットが最期に仰いだ空は静脈のごと

5
またひとり友を喪い剥がせないカレンダーはまだ6月のまま

***

こんばんは、笹塚です。最近めっきり創作のペースが落ちています。このかんにも、た

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短歌 関係 十首

短歌 関係 十首

1
終わったら虹をみようと約束をしたのにすでに虹を見た顔

2
唯一の接点だった虹の根を残らず燃やすために微笑む

3
水たまりアドリブでしか暮らせない僕らを嗤うものだけが棲む

4
関係を問いかける声/続柄欄に無関係とだけ書いておく

5
雨音をとなりで聞こうやむ前に今とは違う関係になろう

6
飛べ、高く なんて言われて飛んだのに落ちるときにはみな無干渉

7
私さえ黙っていれば幸せになる人が

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