短歌 五首と近況と

1
手鏡に向かい笑顔の練習を毎夜しているひとの屋根裏

2
喪ったひとを捜して鋲を打つ 二度とどこへも行けないように

3
ひろしたちひろしたちひろしのショパンは犬のサイズがやたらとでかい

4
マリー・アントワネットが最期に仰いだ空は静脈のごと

5
またひとり友を喪い剥がせないカレンダーはまだ6月のまま

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こんばんは、笹塚です。最近めっきり創作のペースが落ちています。このかんにも、たくさんいろいろなことが起きて、改めて、大切な人を喪うというのは何度経験しても決して慣れることではないと痛感しています。

下手の横好きは百も承知で今日も歌を詠みました。才能云々に関係なく詩歌が生活にあってよかったと思ったのは、ギスギスした世の中に生きていても心までは腐らないでいられるからです。

多摩川を横断する電車に乗りながら、スマホではなく沈んでいく夕陽を見ている時間はきっと豊かなものだし、それだけでいまだに泣けていないこのままならない気持ちも、少しはほぐれる気がするのです。

悲しいときには素直に泣けたらいいのに。でも泣いたら本当にもういないんだって認めてしまう気がして、怖くて泣けないのかもしれません。だから今は、この場を借りて気持ちを吐き出させてください。

でも私には、詩歌が、創作があってよかった。そう心から思えることは、彼岸へ渡った友が最期に置いていってくれた贈り物なのかもしれない。

とかなんとか整頓するのにはまだ時間が足りなすぎる。。

「時薬」(ときぐすり)という言葉があります。今はそれをひたすら信じて、じっと痛みが治まるのを待ちます。治まってほしくない気もするけれど、今のままじゃどこにも進めないから。

生きている私は、進まなければならないから。

せめて傷あととしてこの身に遺れ思い出になどならないでくれ

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