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欲望の果て

人は、自らの力で歩き始めた。
周囲にあるもので暮らし、自然と共にあった。
村が造られた。

人は、馬に乗るようになった。
武器を持ち近隣を攻め、略奪するようになる。
その範囲は広くなり、街が造られてゆく。

人は、馬車に乗るようになった。
関わりは更に広がり、国が造られてゆく。

人は、船に乗るようになった。
海を越え、島々を侵略し隷属させてゆく。

人は、車に乗るようになった。
武器は強力になり、他の国の侵略を始める。
そしてより大きな国家へと発達してゆく。

人は、飛行機に乗るようになった。
人智を超えたとも言える強大な武器を携える。
世界は戦場と化し、地球が戦火に包まれる。

人は、核のボタンを手にする。
その欲望は、全てを滅ぼすことになる。
より大きな欲望を抱く者が居たとき破綻が起こるだろう。


侵略を繰り返し、生活が豊かになったと言う。
しかし本当の豊さとは、侵略の中にあるだろうか。

戦いに善と正義を求めることの末路。
何故、人は戦うのか。

利を考える愚かな生き物
愛を知らぬ未熟な生き物


より大きな欲望に塗れた者ほど力を得てしまう。
そして、愛を知る者たちが戦火に焼かれてゆく。

その戦いのどこに善や正義があるだろうか。
人は、いつになれば気付くのだろうか。
戦いが無益であることに。


欲望の果て、それは愛であるというのに。