波が教えてくれたこと

２０１３年１１月に
初めて宮古島を訪れました。

滞在3日目のこと、
その日はかなり海が荒れていました。

波にのまれないようにしなきゃなぁと　　　　　　少し不安を感じながら
海の中に入っていった矢先、
強い波がドーン！と押し寄せてきて
思わずその波に抵抗し、足を踏ん張ったわたしは
砂浜に勢いよく叩きつけられてしまいました。

手のひらには小石が食い込み、
強い痛みを感じました。
と同時に、目が醒めたような感覚が身体を貫き、　なぜか大笑いしてしまいました。

そしてもう一度立ち上がり、　　　　　

「わかった！」

って、大きな声で叫びながら、
次は何の躊躇もなく
身体の力を抜いて
寄せては返す波に
身を任せました。

すると海は
さっきまでの荒々しさは
微塵も見せずに
ゆりかごみたいに穏やかに優しく
わたしを包み込んでくれました。

そこにはもう何の不安もなくて
あるのは静寂だけ。

そしてこれが流れ（波）に身を任せること
起こることを信頼することなんだって思いました。

結局、海の中で自力で踏ん張って
どうにかしようともがいても
波に翻弄され砂浜に叩きつけられただけだった。

だけど受け入れれば摩擦も抵抗も生まれない。

最後に
波はわたしが自力で砂浜に戻ろうとするよりも早く砂浜に戻してくれました。

わたしはただ繰り返す波のリズムに乗っていただけ。

わざわざ水の抵抗を感じながら海中を歩かなくても
自然の波の動きに身を委ねていたら
一瞬でそっと砂浜に還してくれました。

そのとき自然の大きさ、優しさと厳しさ、愛
宇宙の成り立ちみたいなものが
少しだけわかったような気がしました。

♢

先日、急に何か映画を観たくなって、いろいろ検索していたら、これだ！と思うのを見つけて、すぐに観始めました。

『きみと、波にのれたら』　湯浅政明監督

水の柔らかでまるまるとした感触が、観ている間中、ずーっと全身を包んでくれていました。

久々にどっぷり浸かりながら、夢中で観た映画。

主人公の女の子も男の子も、本当に素直で癒されました。

物語の中で、全編を通して頻繁に歌われる『歌』があるのですが、歌う姿そのものが、人間の本質なのかもしれないって思わされる、印象深い表現になっています。

歌う、奏でる、そこに生の本質はあって、それが自然と交感し響き合っている。

湯浅監督の世界観、めっちゃ好みかもしれない…。

二人の歌声と笑い声と歩んだ軌跡が、愛おしくてたまらないです。

物語の中でいちばん印象に残ったのがこのセリフ。

新しい波はどんどんやってくる。
いい波ばかりじゃないから、見送ることもあるけど、ずっと水中に潜っていたら、波に乗ることは出来ないよ。

だけど、潜っている時間もあったからこそ、波に乗れるようになるんだよね。

わたしは人生の中で、潜ることをせずに、波に乗ろうとして、失敗してきたタイプです（笑）

でも、だいぶ潜ることの怖さがなくなって、潜る快感もわかってきた。

ずっと、ダイビングじゃなくて、サーフィンがしたいと思っていたけど、ダイビング、そろそろ出来るかもしれないなぁ。

２０１８年の秋に、ダイビングの資格を取るための旅が台風でなくなったのも、今となると、必然だったなぁって思います。きっと、身体が耐えられなかっただろうから。

だって、過去に一度だけした体験ダイビングでさえ、水中での呼吸の仕方に混乱して、ずっと心が焦って恐怖と隣り合わせだったから。

今、ようやく息の仕方がわかってきて。

自分に向き合ったら、自然と息が吸えるようになってきて。とは言ってもまだまだわがままで不器用で頑固なわたし。それでも、包み込んでくれたり、さりげなくサポートしてくれたりする人が現れて。少しずつ、わたしという玉ねぎの皮を剥き、芯に近づくにつれ、そのありがたさがわかってきました。

なかなか、優しくなれない、感謝が足りない、北風と太陽の北風のようなところのあるわたしですが、そんなわたしでも、ちゃんと前へ進めてる。

これからも、無理せず、少しずつ、歩み進めます。

笑顔の数よりずっと涙が多い時があるんだ
でもね、悲しみはいつか乾いてゆくもの

同じ波は二度とやって来ることはないから
今ここにいることを
噛みしめて向き合ってゆこう

That's Right
君が思い描くより
輝いてる Brand New Story
そして季節がめぐるたび
増えてゆく思い出を
いつも胸に抱きながら

過ぎ去った日々の想いは決して消えない
輝き続ける僕らの中で
ずっと...

だからもう前だけを向いて
少しだけ勇気を持って

That's Right
目を開けたその瞬間
始まるよ Brand New Story
その足が踏み出す一歩で
君の道を拓いていこう
約束の場所に行くために

My Brand New Story