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キャリアにおける「越境」

キャリア文脈で「越境」という言葉を聞く機会があります。

様々な角度から「越境」という言葉が用いられていますが、今回は、「越境とは具体的に何か?」や「キャリアにおける越境の本質」について考えていきたいと思います。

「越境」の具体例


まず、「越境」という言葉を初めて聞いた方向けに、簡単に、用語の説明をしておきましょう。

キャリア文脈における「越境」とは、端的に言えば、「日常的に所属する組織を“越えて”、他組織や諸活動に携わることにより、新たな機会、価値観等に触れること」と言えるでしょう。

その上で、「越境」を広く捉え、具体的に言えば、次のものが一例として挙げらるでしょう。

・副業
・複業
・パラレルワーク
・出向
・社内ベンチャー
・プロボノ
・スクール
・講座
・セミナー
・ワークショップ
・社会人大学
・ボランティア活動
・芸術活動
・スポーツ活動

上記以外にもあるでしょうが、ご覧の通り、日常的に所属する組織を越える、つまり、社外における活動全般を指す言葉、と言えそうですね。

企業でも、「越境学習」といった言葉で、人材育成の一環として、取り入れているケースもあります。

また、個人としても、「越境」に該当するか否かを意識しているか別として、主体的にこのような取組みを行っている方もいるでしょう。

企業としては、変化のスピードが早く、不確実性に富む社会構造の中では、スキルはもとより、多様な価値観を含み、自律的に動ける人材が必要と考えている為、そのような人材を育成する手法の1つとして、越境学習を位置づけている、と言えるでしょう。


キャリアにおける越境の本質


では、次に、いち個人の観点から「越境」をもう少し深堀する為、「キャリアにおける“越境”の本質とは何か?」も考えてみたいと思います。

副業、複業、パラレルワーク、出向、社内ベンチャー、プロボノ、スクール、講座、セミナー/ワークショップ、社会人大学、ボランティア活動、芸術活動、スポーツ活動等

先に挙げた活動。
これらを、何故行うのでしょうか?

金銭を得る為?
知識を蓄積する為?
趣味?

様々な理由が挙げられることでしょう。

しかし、「キャリア」における越境の本来の目的としては、
「外的圧力を意図的に高めることにより、自己の価値基準、考え方、物の見方、解釈の癖、などに気付くこと」
ではいでしょうか。

もう少し言い方を変えれば、日常においてはできない経験、出会えない人、触れ合わない価値基準に触れることで、あなたの中にある「当たり前」に問いかけることではないでしょうか。

人は、自分とは異なる人(異質な存在)に出会うと、通常、2パターンの対応を取ります。

1つ目
「相手」がおかしいと認定するパターン

2つ目
「自分」がおかしいのか?と疑うパターン

当然、相手も自分もおかしい訳ではなく、そこには、ただ「違い」が存在するだけなのですが、キャリアにおける越境では、特に2番目が重要です。

なぜなら、越境という方法を用いて、異質な何かと出会うことにより、それは自己内部には「当たり前になかった」価値基準、考え方、物の見方、解釈が存在することを認識するからです。

そして、その認識を起点とし、自己の価値基準、考え方、物の見方、解釈を変容させるのか、変容させないのか、リフレクション(内省)につなげるのです。

このような機会を重ね、リフレクションを繰り返してゆくと、だんだんとそれまであなたの内側にあった「当たり前」が自然とゆるやかに変容してゆくことにも繋がります。

そして、価値基準、考え方、物の見方、解釈の変容となると、それはやがて行動に結びつき、キャリアという大きなレイヤーにも何らかの影響を与える可能性に繋がります。

つまり、少し大げさに言えば、「越境」とは、自己変容に向けて一石と投じる行為とも言える訳です。対外的な何かを使い、自己を変化させること、とも言えるでしょう。

よって、越境する機会があるのであれば、単なる経験で終わらせずに、その経験に対するあなたの認識、質感、想いなどを咀嚼してみて、それらはあなた内部にあるものと親和性があるのか、ないのか、付け足したいものはあるのか、変えたいものはないのか等、リフレクション(内省)の材料とすると、本来の越境の価値があると考えます。

あらゆる価値観に触れることで、刺激を受け、自分に取り入れるもの、捨てるものを取捨選択し、時にはアイデンティティの喪失と再生とも言えるレベルの変容を通して、かえってゆく。それをキャリアにつなげてゆく。

そのような営みの入り口としての機能が、越境にはあるのかもしれませんね。



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