[危険?] 旅の安全対策3 フィリピンの「災害」編 [被害ゼロの元協力隊員の旅の準備]


美しい稜線を誇る、活火山のマヨン山

旅でのトラブルは、後から振り返れば笑い話に終わることも多いですが、万が一被害に遭えば旅を中止したり、その国の印象がネガティブに終わってしまいます。
被害に遭わないためには、知って対策しておくこと!

前回まで、旅の基本的な安全対策と、
● 関連記事:安全対策の基本編

フィリピンに特化した犯罪の傾向と対策を紹介しました。
● 関連記事:フィリピンの犯罪編

この記事ではフィリピンを旅行する人向けに、フィリピンに特化しての災害傾向と対策を紹介して行きたいと思います!

もしフィリピンへ旅行するなら!こちらも参照ください。
● 関連記事:通向けのフィリピン観光情報
[元協力隊員がオススメする] フィリピン旅行 in deep [旅人レベル中級〜上級者向け]

なんといってもお家芸?の台風

● 日本の倍!?のフィリピンの台風

日本に来る台風のほとんどは、フィリピン沖で発生しています。それから日本へ来る台風、中国方面へ行く台風と分かれますが…。
フィリピン沖で発生した台風が全て来るのがフィリピン!だいたい、日本の倍ぐらいの頻度

フィリピンの台風シーズンは8〜12月。年のほぼ半分です。
ただ、台風が上陸する地域は大抵がレイテ島→ルソン島(南部 or 北部)と通過することが多い。なので、それ以外の地域は台風被害が少ないことが多いです。
しかし近年の気候変動の影響で台風も進路を変えることがあり、2021年12月には普段は台風が来ないボホール等などのビサヤ地域中部に上陸しました。また、台風自体の頻度も増えています。
日本と同様に、今まで起こらなかったレベルでの災害が起こり、増加しているのはフィリピンも含む世界的な傾向です。

日本の台風と違い、フィリピンの台風の勢いは苛烈。強い台風だと横殴りの雨風に乗って、枝や看板なども飛んできます。沿岸部や川沿いは津波に近いぐらいの高潮が襲いかかることも。台風上陸の間は、一歩も外に出られない上に停電や断水で携帯やネットが使えないことはおろか、食事やトイレにも著しく支障をきたします。地域によっては、数ヶ月単位で停電や断水が続くことも…。
そもそも、台風シーズンは雨期とも時期が重なります。できるだけこの時期を避けて、旅行するのがオススメです。

●もし台風に遭遇したら

どうしてもその時期にした渡航できず、台風に遭遇してしまったら?

まず台風情報を日本語で受け取るには、在フィリピン大使館メルマガ登録をすることをおすすめします。避難など、英語などではあやふやになって困るような場合には正確な情報が得られます。

台風の進路情報は、フィリピンの気象庁であるPAGASA(パガサ)のWEBサイトに詳細が載っていますので、チェックしてみましょう(英語)。
トップページ > 上のバーの「Tropical Cyclone」> 一番上の項目「Tropical Cyclone Advisory」を参照します。

https://www.pagasa.dost.gov.ph/

また、PAGASAは日本の気象庁の情報も参考にしているので、そちらも併せて参考にするといいでしょう。

フィリピンでは台風別に避難ガイドラインが設けられており、シグナル別に5段階へ分けられます。シグナル2以上は職場や学校がお休みになったりします。
その表はこちら(英語)。

シグナル2でも家屋にダメージが出るぐらいの程度ですから、3以上はかなり危険なことがわかります。予報のヘクトパスカルの数値と照らし合わせ、どのぐらいの強さの台風なのかを予測しておきましょう。
シグナル2以上の台風が来る場合には、窓やドアを補強するほか、停電に備えたろうそくやマッチやライターなど火元の確保、飲み水や食料の確保(1週間を目安)、トイレや風呂などの生活用水やトイレットペーパーなどの生活必需品の備蓄、予備バッテリーの充電などが必要になります。
旅行者であれば、台風の来ないエリアへ移動しておくことも重要です。

意外に多い、フィリピンの火山

⚫︎日本同様に活火山が多い、フィリピン

フィリピンの活火山は意外に多く、しょっちゅう噴火やガスが報告されるのはビコール地域の玄関口、ルソン島のアルバイ州レガスピ市のマヨン山
普段はなだらかな三角形の稜線が美しく、「フィリピンの富士山」とも呼ばれる山。しかしこの記事を執筆してる2013年6/15の、つい3日前の6/12にも溶岩が噴き出て周辺住民が避難するなどしています。

もともとは登山ルートなどありましたが、2009年の噴火以来有毒ガスが出ていたため立ち入り禁止になっていました。2013、2014年にも噴火しています。

同じルソン島のマニラ南方では、コロナ禍の2020年にタール火山が噴火。小さな湖に浮かぶ山で、観光も盛んでしたが以来立ち入り禁止になっています。
また、ルソン島南部のビコール地域ソルソゴン州、ブルサン市にあるブルサン山も2022年に小規模な噴火、灰が降り積もったものの大きな被害はありませんでした。しかし、2016年、2011年にも噴火は起きています。

1991年にはなりますが、ルソン島西部ピナトゥボ山でも20世紀最大級の噴火が起きました。余談ですが、この時に被災した人への復興支援の一環として日本で陶芸研修を受けた人らによって作られた陶器が、土産品として売られているのをマニラで見かけることがあります。

この数年で立て続けに噴火が起きており、活性化している印象が個人的にはあります。
ただ、火山は台風と違って影響を受ける地域が火山の周辺になるので、旅行者は火山周辺に近づかないことでリスクは避けられるでしょう。

まとめ

フィリピンは災害大国でもあり、特に台風の脅威は大きいです。
そのほか地震もごく稀に起こることがあります。

まずは台風シーズンを避ける!火山の噴火している場所には近づかない

災害時は、慣れない海外で正確な情報を得ることが大事!
基礎編の記事にもご紹介した「たびレジへ」の登録や、この記事でご紹介した「在フィリピン日本大使館メルマガ」の登録などをしておきましょう。
また、PAGASAや日本の気象庁で、予報を把握しておきましょう。
それによって旅程を変更したり、場所を変更したりして対応しましょう。

● 関連記事:安全対策の基本編

私も滞在してた時には何度か台風には遭いました。
しかしフィリピンの人は台風慣れしているので、日本人が地震に慣れているように、あまり動じずに粛々と対応しています。停電や断水も普段からあることなので、備えをそもそもしている人も多い。そして、社会のインフラも止まる前提になっているので、木炭や井戸など、非常時に使えるリソースが手に入りやすいことが特徴です。伝統的なバンブーハウスは、壊れてもすぐに建てられるし、コストもあまりかかりません。マニラなどの都市部が、リソースに対して人口が多すぎるので一番脆弱かもしれません。
また、国民性なのか被災しても悲壮感を出さず、明るく振る舞う人が多いことが特徴的。
何度となく災害に見舞われてきた人たちの、たくましさと生きる知恵を感じます。

しかし、近年は台風が増えて激甚化していることもあり、被災から立ち直るのも容易ではありません。またその原因である、気候変動の要因のほとんどをフィリピンの人たちは作り出してはいません。
フィリピンで災害が起こった時には、寄付などで私たちにできる支援することも必要でしょう。

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