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文学と健康①~きっかけ:「5年?そんなにもちませんよ」と言われた日

こんにちは。ごぶさたです!

文学をやっている立場で、健康について考える、という企画を思いついたのですが、何から書けばいいかすごい悩んでいます。

以前からnoteを更新したい、メルマガもまた復活したいと思ってはいたのですが、手術が終わってから、「自分自身の健康を維持するために」しなければいけないことがたくさんありすぎて、ほぼ毎日頭のなかそれで埋まってました。

あと別のところで短歌も書こうとしているので、色々と調査したり考察したりしています。雑誌の企画で、今起こっている戦争についても歌を作っているので、頭の中、「自分の健康のこと」と「世の中のこと」で分割されちゃってて、なかなか文章を書く時間が取れない…。

そんなふうに思っていました。ほんと、何から書けばいいか悩みました。
順序も歌を優先すべきか、noteを優先すればいいかもわからなかったですが、「同時進行」でがんばろうとおもいます。

おかげさまで、今は「自覚症状」だったふらつきがなくなって、ちょっと無理をしても元気だし、朝から夜まできちんと起きているのですが、逆にやることがすごい多くて大変です。きちんと生活をしようと思うと、24時間じゃ全然足らないです…。

とりあえずいま医師をはじめとした専門家の方から、なんと言われているか、そもそもこんな話をするのはなぜなのか、から始めたいと思います。

5年生存率の話


実は「睡眠時無呼吸症候群」だよ、と言われたとき、睡眠外来の先生からは
ちらっと5年後とか10年後とか大変ですよ、と言われていました。

重症率の高い「無呼吸」の患者さんって、すごく高血圧と関連しているらしくて、よくデータで出てくるのが「5年生存率」の話です。

ほんとに肥満気味の人は、「無呼吸っていびきでしょ」って侮ってはいけないです。普段から疲れが取れないとか、生活の質にも影響が出るので、よくよく注意したほうがいいと思います。

「無呼吸」って、寝てる間に酸素がうまく取り込めないので、その分、心臓に負担がかかったり血圧が高くなるという状態なんですが、そのまま放置していると動脈硬化になる方が多いのです。大体50代で心筋梗塞とか、脳梗塞とか、とにかく何らかの形で血管が詰まってお亡くなりになる方って、無呼吸の患者さんが多いそうです。

で、だいたい5年生存率って言うデータがあります。

https://mukokyu-lab.jp/factsheet/factsheet5.html
(「無呼吸ラボ」というリンクがあるので、貼っておきます)

ざっくりぼくが聞いた話では、5年生存率は、軽症の人ではそんなに変化がないけど、重症の人になると15%くらいになる、あるいは8年だと30%くらいになる、という話。

最初聞いたとき、あんまりぴんと来ませんでした。5年で15%だったら、そんなに大したことないのかな、となんとなく思ったのです。

まあ確かに、普段確率とかデータで人生を見ることなんてないから、これだけ言われてもあんまりピンと来ないのは当たり前かもしれないです。

ところがです!

「いやいや西巻さん、このデータを軽んじてはいけませんよ」

という睡眠外来の先生のお話。
これを聞いて「データの見方がわかった」自分は、ちょっと焦りました。

実は「重症」の人って、だいたい1時間で30回以上呼吸が止まっている人のことをいいます。この「以上」というのがミソで、大部分の人はこの30回という数値を大きく超えることがないので、「重症」というとこの回数が基準になるのですが…。

実は僕のように無呼吸の回数が1時間で60回以上止まっている人は、あんまり数が多くないみたいなんです。重症のなかでもさらに悪い「最重症」という部類に入ります。

(最近ネットで80回以上という人を見ましたが、ほんと、お互いがんばりましょう…。)

ふつうに考えたら、1時間に30回止まっている人と、1時間に60回止まっている人が、「動脈硬化」になるリスクが同じはずがないということです。当然60回の人のほうがあきらかに動脈硬化になるリスクが跳ね上がるそうです。

ところが、60回以上止まっている人は、そもそもあんまり数が多くないです。データ的には「30回以上」の「以上」のなかに入っちゃうくらい少数派らしいです。

だから生存率15%とか30%って、データがつくったちょっとしたトリックで、「ほんとはもっと死ぬ確率が高い」のがいまの自分の状況だそうです。無呼吸とわかった時点で、あー、血管系の病気になるのかな、と思ったので、親父も同じ病気だったのかな、と推測はしたのですが…。

しかもここで提示されているのは単なる「死ぬ確率」です。

当然多くの無呼吸の患者さんがそんな状態なので、動脈硬化になって、なかには心筋梗塞になったり、脳梗塞になったりしているはずです。そのなかで不運にも亡くなった人が15%というだけで、症状は出たけど助かったとか、後遺症が残ったけどぎりぎり生きているとか、そういう人も「生存」のなかに入っちゃってるはず。

つまり、これはあくまで「死ぬ確率」であって、「病気になる確率」ではないのです。自分の状態に照らし合わせると、ほんとはもっと高い、いやいや結構危ないという話でした。

なんかちょっと不安になり始めます。5年後だと、51歳。8年後だとちょうど54歳。父親と同い年か、と思いました。でもまあ、人生50年だし、そんなもんかな…。とはうっすら思いましたが…。

「5年?そんなにもちませんよ」


そして手術のための入院初日、ひょっこり栄養士さんという専門家の方が挨拶に来て、「どんな食生活をしてますか?」という面談がありました。みなさんにやっているそうで、あんまり気にせず「いま精神疾患でまったく外に出れないので、出前館かウーバーイーツが多いです」という話をしていました。

「一番好きなものはなんですか?」

と言われて、「家系ラーメンのごはんおかわり自由です!」とニコニコ答えたら、「素晴らしいですね」とニコニコお答えになって、特に指導みたいなことはなくて、病院食の説明をされて帰っていかれました。

いろいろ紆余曲折があってなんとか手術が終わり、家に帰れることになって、またかかりつけ医の先生の訪問診療が復活したのですが、私はこの入院生活でだいぶ「この病気を舐めていた」ことに気づいていたので、「これからは健康に留意しようと思います」といって、自主的に「今じぶんがどんなものを食べてるか、みたいなことを写真にとる生活をはじめました!」と宣言しました。

いまAmazon fire stick を使うと、かんたんにテレビでスマホの写真が見れるので、今日食べたのはこんなのこんなのこんなの、と大きな画面で先生に見せていたら、先生から、「意識し始めたのは大きな一歩だけど、この食生活は確かにちょっとやばいね」というお話。

「西巻さんさ、自分が食べてるものが何カロリーあるかとか、タンパク質とか炭水化物の違いってわかってる?」

とおっしゃいました。

えええっ。タンパク質とか炭水化物とかそういう栄養的なやつって、昔家庭科でやったような気がするけどなあ…。

「意識したことないです」と正直に答えるほかありません。

「たしかに手術は成功したみたいけど、ほんとこれからよ。実際、動脈硬化が同じ年齢の人に比べるとだいぶ進んでいるって手術の先生から報告があったし、あと、心臓の冠動脈がすでに50%詰まってるってわかったみたいだよ」

えっ、動脈硬化になる可能性高いんじゃなくて、もうなってるんですか?

「そうだよ。実際、動脈硬化になってないと血管詰まらないからね。」

えええっ!

「西巻さん今まで大変だったかもしれないけど、まあほんといまの症状がなおって良かったよ。なかなか血管って自覚症状がないから、知らない間に症状が進んで、気がついたら心臓とか脳にきてるという確率も高いしね。

ただ、いまの食生活見るとさ、あきらかに塩分とか炭水化物が多いし1食で1日分のカロリーオーバーしてるような状況だからさ、ちゃんと専門家にコントロールしてもらったほうがいいんじゃない?」

「運動とかしなきゃだめでしょうか?」

「運動? 運動できる体じゃないよ」

えっ。

「たとえば毎日1時間散歩するといいって言われるけど、カロリーの消費量だけで考えると、毎日1時間散歩したところで、200カロリーくらいしか減らないしね。あとあなた体重何キロあるんだっけ?」

「96.5kgです」

「その体重で毎日1時間散歩したら、まず膝を壊しちゃう可能性のほうが高いし、散歩の効果と比べて、散歩するリスクのほうが高すぎるからね。とにかくまず食事だよ。手術した病院とも相談してください。」

とのこと。わたしはそれよりも50%詰まっている冠動脈のほうが心配でしたが、次の診察で手術を担当してもらった循環器内科の先生に聞いてみることに。

「先生先生、わたし大丈夫でしょうか…」(めっちゃ不安な声)

「大丈夫ですよ。成功しましたから」

「50%詰まってるって言われたし、運動もしなきゃいけないですよね」

「うーん、実はぼくほんと手術のことしかわかんなくてさ、これからの予防とかはリハビリのほうに話し通しとくから」

と言われてしまいます。

しょうがないので事務の人から声かけられるのを待っていると、

「実は今回、上半身の血管だったのでリハビリは対象外なんですよ」

えええっ。

「下半身の血管が詰まって歩けないとか、そういう歩行などに支障のある人はリハビリの対象なんですが…」

と申し訳無さそうに言われてしまいます。

私は相当ビビっていたので、「な、なんかないんですか、食事面を相談するとか…」

「あ、栄養指導ならできますよ!」

と言われました。

「お願いします。もう病院に入院したくありません。手術絶対嫌です!!」

その場ですぐ予約となり、あらためて病院に伺って、栄養指導を待っていたら、ひょっこりやってきたのが一番最初にちょっとだけ顔を出した女性の管理栄養士さんでした。

開口一番、「あ、よかったいらしていただいて」とおっしゃいました。

実はわたしがあまり億面もなく「好きな食べ物はラーメン」と答えていたので内心すごく心配されていたそうです。

かかりつけの先生からかくかくしかじかとお話したら、

「実はわたし、食事を見て何カロリーくらいってすぐ計算できるんですけど、あのとき仰ってた西巻さんのカロリーはもう一日5000カロリーは超えてました」

「5000? えええっ…。無呼吸の先生から5年生存率とか言われて少し不安だったんですが…」

「何言ってるんですか、このままだと5年も持ちませんよ!」

ええええっ。

「運動なしで外食だけでこのまま生活していたら、2年くらいでこちらにまた戻ってくる未来しか見えません。しかもこうやってまたお話できる状態かはわかりません!!」

実は手術を担当した先生から「大丈夫です」と言われてしまったんですが、はっきりいってどんな感じなんですか?

「実は、西巻さんの手術を担当した先生はこの病院でも一二を争う優秀な先生です。ただし、手術のスペシャリストなんです。わからないことはだいたい私たちにふってくださるので、すごく助かるんですが、実は予防とかそういうことはあまりよくわからない先生なんです。とにかく連日手術をしている先生なので…。」

なんと…。

そっか、ここは大きな病院だから手術件数だけでも大変な量になるわけか…。なんか同じお医者さんでも役割が違うんですね。ほんと最後の門番みたいな感じですね。

「ほんとそうなんです。やっぱり手術件数があるほうがない病院よりも信頼につながりますし。実際むずかしい手術も先生は多く手掛けています。ただ、本当は毎日意識してまた手術にならないように予防するのも、病院の大事な役割なんです。」

じゃあ、かかりつけの先生から冠動脈が50%詰まってるって言われたんですが、それを大丈夫って言われたのって…。

「先生は手術のスペシャリストなので、先生の見方では「いま手術しなくて大丈夫」というだけです。決して健康管理をしなくていいわけではありません。冠動脈って心臓の血管ですから、そこが50%詰まってるって、次に詰まるとしたら心筋梗塞か狭心症ってことです。普通の人は詰まるも何も、そもそも0%なので…。」

ぐうのねもでません。もしぼくがあのとき事務の人にお願いしなかったらどうなってたんだろう…。

「一緒にがんばりましょう。こういう食事管理って無理をすると続きませんので、わたしが工夫する方法を考えます」

「ありがとうございます!」

私はいままで管理栄養士という職業の方にあったことがなかったし、栄養学についてほぼ何も知らなかったのですが、少し話しただけで、私のような不摂生な人間には神様みたいな人に見えました。

ずーっと文学ばかりやってきたので、他の学問に目が向いてなかったですね。あとから栄養学の威力をまざまざと知るのですが、それは後の話。

とりあえず、わたしが健康について語ろうと思ったのはこの栄養学の専門家である管理栄養士さんと出会ったからなのですが、わたしは自分自身が文学ばっかりやってきたことを知っていますので、あんまり専門的にならずにあくまでも「文学的」に健康について考えようと思います。

とりあえず①はこの辺で。間をおかず②も更新しますのでお楽しみにです!






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