![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141743469/rectangle_large_type_2_2cc65f47851c75b73093336e014c9dc4.png?width=1200)
ぐるぐる巻きの愛 エッセイ#19
「ぐるぐる巻きになってるー!笑」
と、夫が笑っている。
なにやら見てみると…
日本に帰国したとき、父がお土産に持してくれたウィスキーが、
頑丈な箱の中から、プチプチでさらにぐるぐる巻きにされて登場したのが、面白かったようだ。
ぐるぐる巻きのウィスキーのルックスはかなり面白くて、笑いが込み上げる一方で、愛を感じてしんみりもした。
日本に帰国して、しばらく実家に滞在していたとき、父が愛飲しているイチローズモルトのウィスキーを、夫も気に入った。
その姿を見て、父がお土産に同じウィスキーを持たせてくれたのだ。
その時の父の言葉がよみがえる。
「酒屋の親父に、アメリカに持っていくから、しっかり包装してくれって頼んでおいたから。
そしたら、しっかりやってくれたみたいで、
酒屋の親父も、これなら海を渡っても大丈夫だ!って自信げに言っていたよ。」
アメリカに戻っても、お気に入りの日本のウィスキーを飲めるように、気を利かせてくれた父の愛情と、
海を渡っても大丈夫なように!としっかり包装してくれた親父さんの愛情。
二人の愛情が、ウィスキーの箱にしっかり収まったいた。
遠く離れたアメリカの地で、残り香のように感じる愛情のカタチ。
こういう愛情って、「日本っぽい」と私は思う。
海外に住んでいると、いろんな「日本っぽい愛情」に気づく。
たとえば、日本の商品のパッケージ。
お菓子の紙製の箱とか、調味料の中蓋とか、日本の製品は本当に開けやすくできている。
自分の商品を買ってくれたその先で、見えないところで、お客さんがどのような体験をするのか?に、思いが馳せられているのを感じる。きめ細やかに。
日本の製品の、ちょっとしたユーザビリティの高さは素晴らしいと思う。
日本は、便座も温かいし。
(海外だと、高級ホテルでも便座が温かいところはあまりない)
「当たり前」の反対は、「有難い」とよく言うけれど、
アメリカに住むことで、日本での「当たり前」が、当たり前じゃなかったことに気付かされる瞬間がたくさんある。
つまり、日本での「当たり前」が「有難い」ことだったと知る瞬間。
自分の「当たり前」という思い込みが崩れていって、
目に映る景色の中に、「有難い」がどんどんと増えていくこと。
これは、自分が今までいた世界を飛び出して、
海外移住という経験をして良かったなと思えることの一つだ。
海の向こうへ無事に辿り着いた、ぐるぐる巻きのウィスキーを眺めながら、しみじみと感じた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます♡