「小学校の先生」になる、あなたへ
これから小学校の先生になる方、なろうと志す方に向けて、現役教員の立場から伝えたいことがあります。かなり“熱”を込めて書きます。
いま学校現場は変わろうとしている
この記事を読んでいるのは、きっと4月から先生になる方や教育学部の学生が多いと思います。
そういった方々に真っ先に伝えたいことがあります。それは、いま学校現場は変革の真っ只中だということです。
学習指導要領が新しくなり(平成29年告示)、その直後にコロナが大流行したことで、GIGAスクール構想が一気に降りてきました。タブレット端末が子どもの手に渡ってからは、しきりに一人一台端末の活用が叫ばれるようになりました。
授業の話題になれば、「主体的・対話的で深い学び」や「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」という言葉であふれています。
こうした中、学校現場はすっかり変わったかというと、まったくそんなことはありません。大学教授や附属小の研究、著名な先生の書籍を見ると、あたかも授業の様相が一変したように感じているかもしれません。
しかし、一公立小学校という視点で見ると、ほとんどの学校では、従来の授業が進められています。タブレット端末を使って調べたり、話し合い活動が活発に行われたりするようになったという感覚です。まだまだ学校現場は変革途中です。
だからこそ、これから働き始める世代の方々には、ぜひ学校現場の変革をリードしていってほしいです。いま学んでいることを遠慮せず現場にぶつけて、新しい風を吹かせてください。みなさんの新しい発想やアイデアが必要とされる時代です。
従来型の授業を一新するような、子どもを主語にした授業を提案してください。子どもが前のめりになって考え、対話し、学びを深めていくようなダイナミックな授業。一人一台端末も大いに活用できます。凝り固まっていない柔軟な価値観で子どもたち一人ひとりとかかわり、寄り添ってあげてください。
これほど若手が重宝される時代はありません。あなたらしく、若手らしく、自分の思いをもって先生になってください。
自分の意志を大切に
学校現場に入ると、想像以上に古い教育観・授業観が蔓延しています。まだまだ怒鳴ることや権威性で統率するような学級経営をされている方はいます。
教師が一方的に話を聞かせて、黒板の字をノートに写させる授業もよく見かけます(もちろん単元や発達の段階に応じて使い分けているのであれば問題ありませんが…)。
そして、せっかく子どもを主語にした教育観・授業観をもって現場にやってきても、周囲の古い価値観に呑まれてしまうことがよくあります。
職場の先輩や研究会の役員など、上の立場にいる方々をよく見ましょう。この人の教育観・授業観は古くないか、時代の変化に応じて転換しているか、子どもたち不在になっていないか、など。
自分にとっての「教育観・授業観」が明確ではない時期は、共感する「教育観・授業観」をもっている人を探すとよいです。それは職場や研究会の先輩かもしれないし、書籍やSNSで発信している先生かもしれません。
いろんな人の「教育観・授業観」に触れながら、共感できる人の実践をどんどんまねしていくのがおすすめです。この人の考え方いいなと素直に思える人のまねをしてみてください。
目の前の子どもたちの姿を根拠にして、自分なりに絶えず修正・改善していくことが大切です。そうしていくうちに、やがて自分の「教育観・授業観」が明確になっていきます。
心が折れない働き方を
働き方改革が叫ばれて数年が経ち、学校現場でも早く退勤しようという雰囲気はできています。しかし、仕事量は減らず、どんどん新しいことが降りてくるのが現状です。
身体的な疲労に加え、子どもや保護者の対応に追われることで、精神的にもやられてしまう方が多いです。このような状況で、心が折れないように働くためには「遊ぶように働く」ことが大切です。
若手のうちは覚えなければいけないことも多く、すべてを完璧にこなそうと思うとパンクします。校務に加えて、学級経営も授業も初めてのことばかり。だから「遊ぶように働く」ことを知ってほしいです。「遊ぶように」とは、決して手を抜いたりナメた態度で取り組んだりすることではありません。
教師の仕事は、学級経営にしろ、日々の授業にしろ、即時フィードバックが得られます。うまくいったこと、うまくいかなかったことが、毎日子どもの事実から明らかになるからです。ここに一喜一憂しないことです。いちいち感情を揺さぶられているとメンタルがもちません。
校務も学級経営も授業もすべて一種のゲームだと捉え、どうすれば攻略できるかと考えるようにするだけで、心持ちは変わります。これが「遊ぶように働く」の真意です。
「遊ぶように働く」というマインドセットになれば、教師の仕事がどんどん楽しくなります。クリエイティブになります。教師の仕事は意外と自らの意志で創意工夫できることが多いのです。試行錯誤を楽しめるのが教師の仕事の魅力でもあります。(もちろん試行錯誤が許されない事項はありますが)
やらなければいけない校務は重要度を見極めながら、生産性を高めていくことが大切です。時間をかける必要のないことに時間をかけないが鉄則です。時間をかける必要のあることに焦点化し、最大出力で向き合えるようにします。
おわりに
学校現場は変革の真っ只中であり、若手の新しい風が求められています。みなさんの力が必要です。
教員はブラックだ、学校現場は疲弊している、そんなマイナスイメージが漂う中、それでも先生になろうとしている方がいること自体、私にとっては嬉しいことです。
だからこそ、自分の意志を大切にして、絶えず教育観・授業観を磨きながら、創意工夫を楽しんでほしいです。こんな偉そうなことを書いている私も、どこにでもいる一公立小学校の教員です。少し教育や授業に対する“熱”が高めなだけです。失敗ばかりですし、どうすればいいか試行錯誤の日々です。
みなさんと一緒にこれからの学校現場を盛り上げていけたらと思います。そして、子どもたちが輝く授業を、学校を、ともに創っていけたら嬉しいです。
いま現在、教員や教員志望の方を対象にした学び場『ATTiTUDE』の企画を練っているころです。共に学んで共に成長できる機会にしたいです。
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現場で働く身として、ご相談やご質問にもお応えできます。みなさんの力になれることがあればご協力させていただきます。
オンライン、オフライン問わず開催していく予定ですので、ぜひ一緒に学びましょう。詳細が決まり次第、ご報告します。