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2024年2月の記事一覧

もちこ(2019)『「運命の恋」のはずなのに、どうして私の彼氏じゃないんだろう』KADOKAWA

無慈悲な失恋を経験した筆者によるツイッター文学の集大成たるエッセイ集。恋と失恋にまつわる様々な思いを同世代に向けて寄り添いながら伝えている。前向きな恋を応援していく基調に仕上がっている。

「最後は幸せになれるはず」、結局そう信じて腐らずに動き続けられる人が幸せになれるのだろうか。正解のない、無限の組み合わせのうごめく情動を、人間同士なんとかして乗りこなして皆で幸せになっていきたい。

青山美智子(2022)『月の立つ林で』ポプラ社

月をテーマに、同じポッドキャストの配信を聞く人たちのそれぞれの人生の一コマを描く群像劇。百人百様の課題に対して、なぜか沁みてくる配信の声とそれでも向き合わなければのは自分だという現実に、みんな懸命に立ち向かっていく。

現代文学に当たり前のようにスマホやタブレットが登場し、ラジオではなくポッドキャストが心と心を繋ぐ。時代が変わっても、それでも私たちの目の前にある苦しみはいつも変わらない。やりたいこ

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堂場瞬一(2022)『小さき王たち 第三部:激流』早川書房

政治と報道をめぐる三部作の最終部。新しい世代は古来の因縁をどのようにして乗り越えていくのか、鮮やかに描き出していく。舞台が現代となり、政治と女性とか、絶対的な信念の揺らぎとか、そういったものが題材になっているのがもっともらしい。

最後に、表題の「小さき王たち」について。小さな選挙区からその土地の理屈で選びだされる日本の政治家をよく表した言葉だと思い本書を手に取った。期待するほど選挙制度に対する批

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堂場瞬一(2022)『小さき王たち 第二部:泥流』早川書房

早熟の少し浮かれた様相だった日本社会の雰囲気をよく表した描写のなかで、第一部に続いて政治と報道の関係をモチーフに物語は進む。少し創作味が濃いが、断っても断ち切れない人間関係の存在を読者に伝えるには分かりやすい描写でもある。

今作でもパートナーの存在の大きさが際立つ。仕事の展開と並行して、主人公たちのプライベートも進行していく。どんな人間にも公私の両面がある。そんな当たり前の現実が微笑ましくもあり

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堂場瞬一(2022)『小さき王たち 第一部:濁流』早川書房

田中角栄を彷彿とさせるある政治家と新聞記者の戦いを描く政治小説。選挙買収を巡る疑惑が物語の中心だが、その周囲で、世襲の苦楽や若者の人生設計、伴侶の大切さを真実味を持って伝えてきてくれる厚みのある一冊。

臨場感のある描写や展開は娯楽作品として十分すぎるが、日本のこの手のエンタメは必ずと言っていいほど政治家サイドが汚職や買収などに手を染める悪者として描かれる。政治は皆んな悪だという固定観念を再生産し

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