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金融政策とは?利上げとは?

投資をしていると金融政策や中央銀行という言葉が日常に出てきますが、中央銀行の役割・目的としていることをしっかりと理解していな方もいるかもしれません。知らなくても問題はないかもしれませんが、知っていると今後の動向の予想に役立ちますし、何よりも経済ニュースが少し楽しくなると思います。

今回は、すごく簡単に中央銀行が目的としていること、金融政策とは?について説明します。少し長いので、まとめより下を読んでいただいても良いかもしれません。

中央銀行とは?

一般的には国家や特定の地域の金融機構の中核となる機関であり、一般的には通貨を発行している機関でもあります。

中央銀行の発行した通貨(日本では円)は、日本政府(政治)によって価値を保証することで、日本国民をはじめとする人々がその価値を信じることで成り立っています。

例えば、私が「A」という通貨をつくり日本国内に配ろうと考えます。
皆さんは、私が発行する「A」という通貨を使用し、生活をしようと思いますか?
おそらく、100%答えは「NO」だと思います。
なぜなら、お店で使用できませんし、そもそもそんなものに価値があると考える人がいないからです。

一方、日本円はどうでしょう?
これはお店で使えますし、皆さんも価値があるもの(1万円は1万円分の価値があり、1千円には1千円分の価値がある)として認識していると思います。

因みに余談ですが、最近出てきているペイ(paypayやsuica)などは、その発行体(JRなど)が日本円と同じ価値を保証していますし、実際にどこのお店でもそれが使えることや、発行体自体の信用から成り立っているものです。
誰かもわからず資本力もない私が出すのと違い、知名度、資本力など様々な条件をクリアして初めて認められるわけです。

では、通貨を発行する以外の役割な何か。それは「物価の安定」です(正確には「金融システムの安定」もありますが今回は省きます)。
下記に日銀のHPのURLを掲載したのでご覧いただけたらと思います。


中央銀行の目的の「物価の安定」とは?

前述の通り、日本の中央銀行である「日銀」は、「物価の安定」を目的としています。

まず、始めに「物価の安定」とは?と疑問が湧くと思います。
物価の安定とは日銀では以下のように定義しています。

物価の安定とは、家計や企業等の様々な経済主体が物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況である。

日銀HPより

要するに、現在(2022/10/1時点)のように給料は上がらず、物の値段だけ上がって生活するのが苦しくなってしまうような状態ではなく、物価も給料も同じように低すぎず高すぎず上がる状態です
大雑把に言ってしまえば、何事も程よくってことです。

では、具体的に物価はいくつを目標としているかというと「2%」を目標としています。つまり、緩やかに物の値段や給料が上がることで、これが経済にとって、国民にとって程よい水準ということになります。

因みに、この「2%」は世界共通の認識で、先進諸国(アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなど)では「2%」を目標としています。
※2%を過度に下回りすぎても、上回り過ぎても駄目です。ちょっと前の、日本のように下回って(マイナス%成長)も、今のアメリカのように上回っても(8%以上の成長)駄目ということです。

物の値段は安ければ安い方が良いと考える方もいると思いますが、物の値段が安くなるということは、売り上げが減ることになるので、皆さんの給料も増えないもしくは減ることになります。なので、緩やかでも物の値段が上がって、売り上げが増える。売り上げが増えれば給料が増える。給料が増えれば消費が増えるといった循環が良いと考えられています。
なぜか日本ではこの理論がうまく当てはまらない状況が続いていますが。

そして、この「2%」とという数値を達成するために「金融政策」を行っています。

今までのところまとめると、

日本の中央銀行である日銀は、通貨の発行をしている機関であり、
日銀は世界の共通認識である「2%」の物価上昇を目的として「金融政策」行っています。


金融政策とは?

以上のことからわかる通り、金融政策は物価「2%」を達成するための手段です。
では、手段として何をするかですが、大きく2つです。今回は金利のことに触れます。2番目の方はまた次回にご説明いたします。

・金利を誘導する
・お金を市場に流す

金融引き締め(利上げ)の場合(日銀が、金利の引き上げ、お金を減らす)


日本では長らく低金利なのであまり実感がないかもしれませんが、日銀が金利を引き上げると、住宅ローン、銀行の金利などが上がります。
こうなると、貯蓄している人お金が増えるのでうれしいですが、お金を借りている人は払う利息の金額が増えるので苦しくなります。

金融引き締めとは、お金を借りている人などを中心に苦しくなりますので、お金を使う量、つまり消費額が減ります。減るということは、お店では売り上げが減ることになります。

日銀がこれをするときは、例えば、物価が3%以上となっている。物価が安定的に2%を超えており、金利の引き上げを行っても、継続的に物価は2%を維持できると判断した時です。


金融緩和をする(利下げ)場合(日銀が、金利の引き下げ、お金を増やす)


金利を引き下げることは先程と逆のことが起こります。借金をしている人を中心に支払う利息が減るなどするため手元に残るお金が増えますし、金利が下がることでお金を借りようと思う人も出てきます。このことで、消費は活発になり、お店の売り上げが上がります。これによって、給料も増えることが期待できます。


まとめ

以上のことをまとめると以下のようになります。
日本の中央銀行である日銀は、通貨の発行をしている機関であり、
日銀は目的である「物価の安定(=2%の物価上昇のこと)」を達成すため、「金融政策」行う。「金融政策」の方向性は2つあり、経済を抑える(物価を下げる)か経済をもち上げるか(物価を上げる)して、「2%」を達成する。

因みに主要中央銀行である、
アメリカの中央銀行(FRB)は、「物価の安定(2%)」「雇用の最大化」が目的です。
欧州の中央銀行(ECB)は、「物価の安定(2%)」が目的です。

なぜ「消費者物価指数(CPI)」や「米雇用統計」注目されるのか?


日本では、消費者物価指数(CPI)が注目を集めますが、この理由は目的である「物価の安定」を達成するための金融政策に関わるからです。目的の2%の物価に対してどのような金融政策をとるべきかを考える最大の判断材料の1つになるからです。

アメリカでは、消費者物価指数(CPI)と米雇用統計が注目を集めますが、この理由は「物価の安定」、「雇用の最大化」を達成するための金融政策に関わるからです。

欧州においても日本と同じになります。

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