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何語で話す?国際結婚とことばの話

愛があれば、ことばは通じなくても。
そんなのウソだと思いませんか。

恋に落ちるときは、ことばじゃないかもしれない。
笑顔だったり、たたずまいだったり、感じる何かがあったり。
その一瞬は周りがかすんで見えるほど、その人しか見えないもの。
それが特に、相手が外国人の場合は、ことば以上にお互いのフィーリングや直感を信じて飛び込んでいくでしょう。

でも人間にはことばがあります。そしてことばによって言い合いが始まる。
どんなに好きでも、必ずケンカをする日がやってくる。
やって来ない方がおかしい。
その日が来ないとすれば、本気で向き合っていないからでは。

フランス人は議論好き、と言われます。
議論が好き、というか呼吸するように議論します。
何についても自分の意見を言います。
日本人が何人か集まると、
「そうそう、私もそう思った〜。」
みたいな共感で盛り上がるけど、フランス人を盛り上がらせるためには
「私は全然、そう思わない。」
と言うのです。
違う意見があって、何でそう思うの?私はこう思うよ。
と言うのを長々と戦わせているときに彼らは楽しそう。

夫と付き合い始めた時、最初のケンカはある言葉についての解釈の違いでした。
夫は日本語を話せなかったのでフランス語で議論となると、
完全に私の負けでした。言いくるめられてしまった。
負けず嫌いの私は
「日本語なら勝てるのに〜」
と思ったな。
そうして、負けたくない口喧嘩を続けていくうちに私のフランス語は上達しました。

口喧嘩以外の普通の内容でも、目を見れば以心伝心、と言うわけにはいきませんでした。
若い頃は二人きり、たっぷり時間があります。
ワインやコーヒーを片手に何時間でも話し込んだものです。
でも子供が産まれてからそんな余裕はなくなり、とにかく早く連絡事項を伝えて、
家族生活を回していく方に重点をおきました。子供にだって日本語とフランス語、両方を教えなければならないし。

それでも何十年一緒にいても、相手はフランス人。
話さなければわかりません。
私がこうしたら、何も言わなくても手伝ってくれないかな〜、は通じない。
「もしよかったら、これをやりたいから手伝ってくれない?」
と言えば喜んで手伝ってくれます。黙っていたらダメ。
ふとした行き違いも一人でむくれていては何にもなりません。
「さっきの言い方だけれど、よくないと思う。なぜなら。。。」
と説明しなければ。
面倒ですよね。でもこうやって、お互いの言語や文化の違いを埋めようとしているのです。きっと日本人同士のカップルでも話さなければ少しずつ離れていってしまうのかも。お互いに同じページを見ているか、確認する。

そのためには、言葉は重要。
フランス人と日本人のカップルで、お互いの言葉を話さずに英語を共通語にしている友達が多くいますが、彼らがどうやっているのかわからない。
お互いが外国語で話してどの程度、コミュニケーションが成り立っているのか。
二人とも、英語が母国語のように上手なのかもしれない。
うちは、完璧でないかもしれないけどお互いがお互いの言語を話し理解する。
なるべくお互いの言いたいことに近づけるように。

おじいさん、おばあさんになって耳が遠くなったら、笑顔だけでトキメク、出会った頃に戻れるのかも。








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