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【子育てコラム】 お子さんは小学校受験しますか? 前編 児童精神科医が子育ての失敗を語る

■4人の子どもの親だからこそわかること


子どもが4人いる私に対して、同僚からよく聞かれる質問は「先生のお子さんは小学校受験しましたか?」です。今回はこの話について、前後編で書いていきたいと思います。

世の中には様々な性格の子どもがいますから、「小学校受験した方がいいですよ」「いやいややめた方がいいですよ」とは簡単には言えません。地域によっては40%の児童が国立私立小学校を受験することもありますし、公立小学校も学校選択制、小中一貫校や小中高一貫校も設立されるなど、多様化しています。少なくとも小学校が多様化している中で、「子どもにとって小学校はどうするのか?」を考えることは大事なことです。

心理学では最終的に親は、子どもを自立させることが大事です。自分で考え、判断し、行動すること。そのためには自尊感情だったり、自己評価だったりが子どもを育てる上で最も大事なことだと言われています。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」
すなわち、レベルが低い学校でトップを目指したらいいのか? はたまた「よらば大樹の陰」のように周りを見て成長を期待したらいいのかについてもお答えしましょう。

■親が子どもの進路を決めることも大切なこと


どんな学校がこの子にはあっているのだろうか?
それが明確に分かればいいのですが、それは幼稚園保育園年長の5歳、6歳ではわからないものです。しかも小学校は6年間ありますし、子どもは成長によって変わります。どういう子だからどう育てたいか?と、親が考える必要があります。ちなみに私の地域で合格倍率が15倍ある学校が2校あり、大学附属の初等部と大学合格実績が素晴らしい学校がその学校です。小学校受験は「親のため」がほとんどだとも言われていますが、ブランド力や合格実績はやはり注目すべき点です。

この子は勉強が好きそうだから勉強に力を入れている学校がいいな。おっ? 大学合格実績もいいじゃないか。

この子は人と話すことが得意だから、いろんな子どもと交わっていくのがいいから公立小学校がいいかな。うまくいかなかったらいかなかったで、転校すればいいじゃないか。

というように、子どもの特性によって、小学校は親が決めてあげることも大事ということです。ではここで、失敗した例の話もしましょう。

■私の失敗談


うちの娘はちょっとどころか、だいぶ我が強くて、女の子ながらときに決して譲らないところがありました。負けん気が強かったのです。しばしば、友人といさかいになることも。

そんな娘に対しての私の評価は、この子の勉強する力を伸ばしたい!負けん気が強くて頑張るだろう!と信じて、個を伸ばすことのできる勉強に力を入れている小学校受験しました。

結果、見事に合格。これで娘もきっと小学校を楽しめるぞ!と考えていたのですが、学校の教育方針が個を伸ばすと言っても、勉強に力を入れている学校であれば、必然的に学力が求められますし、生徒は成長すると個よりも集団の規律を大事にするようになってきます。娘は自信のある勉強でも目立てず、負けん気が強かったのは実は負けを認められない心の弱さであることが、後になってわかりました。そして散々叱責を受けて自信を失った娘は退学処分となったのです。つまり娘は、その私立小学校にハマらなかったということです。

こういったお子さんもいました。
友達と関わることが大好きで、いろんな子どもと関わりたかった友人の子ども。明るく、いろいろ気づいたお手伝いをするなど、よくできたお子さんでしたが、目立つ存在でもありました。その結果、いじめを受けることに。学校にも相談したのですが、相手方がモンスターペアレントであったため、有効な対応もなく、結局は不登校となってしまいました。

子どもにとって、学校そして教師は絶対的な存在であります。私立小学校であれば、「教育理念がしっかりしている」「質の高い教育と教員が期待できる」「カリキュラムの充実」「設備の充実」等を理由に小学校受験を希望されるわけですが、子どもにあった学校選びと家庭での対応は必要なわけです。

この続きは、後編にて書かせていただきます。

参考文献:


1.全私学連合.私立学校が果たしている役割:https://www.shidai-rengoukai.jp/information/img/281125_8.pdf
(2022.10.24取得)

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