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■時代遅れの恋愛禁止ルール


社内恋愛禁止と就業規則に書かれていたり、アイドルの恋愛禁止だったり、人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえと言う考えもあるのに、時代が移り変わるにもかかわらず残っている風習……それが恋愛禁止です。

実は私が知る病院にも、院内恋愛禁止のお触れが出ているところが多くあります。やはり風紀の乱れにつながるからでしょうか? 確かに以前は若い医療従事者の男女が仲良くしていると目についていたものですが、今では微笑ましく思えるものです。ただ「院長が看護師と不倫しています」とか「看護師長と事務長が不倫しています」とかいうものは、別の話です。不倫は恋愛とは違い、法律でも禁止されていることなので、不倫が合法になる場所はどこにもありません。

ただ私は、恋愛が禁止されることは不思議でしたので、とある病院のナースステーションで、「なぜこの病院は院内恋愛禁止なんですか?」と聞いたことがあります。すると、まるで針の筵のような視線を受けました。なぜなら、その病院は前述したようなドロドロした不倫関係が以前にあり、苦肉の策として、そういったルールが残っていたからです。そういったことを、事前に知っていれば、私も堂々とは聞かなかったのに……。

■恋愛は付き合うこともあれば別れることもある


しかし、不倫をしているという話は論外ですが、医療業界というのは狭い業界ですので、誰と誰が付き合った、誰と誰が別れたという話は、すぐに広がってしまうものです。付き合っている時は良いのですが、別れた上に、片方が別の人と結婚をしたという話になった場合、結婚をしなかった方はいたたまれない気持ちになるでしょう。そして、病院に残りづらくなる……そういったことを考えると、確かに院内の恋愛禁止ルールはあった方がいいのかもしれません。

それに院内で恋愛をしてしまうと、必ずそれに気づく人がいます。特に噂好きの看護婦さんというのは、どこの病院にも必ず数名はいるものです。隠れて付き合っていても、こういうことに目ざとい人っているんですよね。ただ、男女の関係が良好ならばいいのですが、やはりその関係が崩れたときは大変です。

実際こんなことがありました。

■結婚した二人と離婚した二人


これは後輩医師とある看護師・はなちゃん(仮名)の話です。

「あれ? 先生とはなちゃんの服装ペアルックみたいになっていない?」
「あれ? 先生の来ているTシャツさー。前さ、はなちゃんが似たのを着ていなかった?」

鋭いようで鈍すぎる私。邪推していたわけではなく、何となく気になったので、はなちゃんに聞いてしまったのです。はなちゃんは、何とも言えない表情をしていました。それを見ても、私は何も気づいていなかったわけですが、あやうく後輩の恋路を邪魔してしまうことでした。

後輩医師も若手だから、そんなにお金を持っているわけでもないですし、いつ呼び出しがあるか分からないため遠出するわけにもいかず、はなちゃんと近場でデートをするしかありません。ですが、近場だと、やはり院内の人に見られる可能性も高く……思った通り、他の人に目撃される結果になりました。ただ、その二人は別れることなく結婚に至ったので安心したのですが、ある日、ハナちゃんにこんなことを言われました。
「先生が私の恋愛邪魔しようとしているんじゃないかと思って殺意を覚えましたよ」と結婚決まってから怒られました……。面目ない。

ところで某先生が南国県の学会に行ったときのこと。台風で飛行機が飛べない事態となり、空港で足止めを食らって帰れなくなったことがあります。それだけであれば良かったのですが、その光景が夕方のTVニュースで流れていました。その光景というのは、奥様でない当該病院のスタッフと空港のロビーでイチャイチャしているところ……。

このニュースを見ていたのは、某先生の奥様です。隠れて付き合うというのは本当に難しいものです。当然、当該病院の院内は、今も恋愛禁止。まぁこの場合は、当人たちが悪いのですけどね。

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