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【映画と恋バナ】 『ビッグ・シュリンプ』 ~エビで凄いものを釣った「口八丁」さんと美人のデート~

私の苦手な「恋愛話」を書く!

もちろん「私の」ではない!

ところで、暫し、映画談義に付き合ってほしい。
紙芝居屋も直ぐには始めない、みたいなところである。

人の話とは言え、何か私も少し恥ずかしいのかもしれない。


私はティム・バートン監督の映画が好きである。

同監督の作品と言えば、『シザーハンズ』あたりを連想する方が多い(?)ような気もする。私も同作品は好きである。

ほかにも、『バットマン・リターンズ』『ダーク・シャドウ』『フランケンウィニー』『エドウッド』『ビートルジュース』『チャーリーとチョコレート工場』、、、などなど好きな作品がいっぱいある。
(何となく、好きな順番っぽく並んでしまった)

同監督の作品が好きな「理由」分かりやすく説明すると「その世界観に嵌まっている」わけである。

次に、好きな理由を敢えて「分かり辛く」説明する(なぜ、その必要が?)。

何と言うか、いくつかの作品に共通する「同監督にしか描けないんじゃなかろうか?みたいな独特な『切なさ』の描き方」を(個人的に)感じるシーンがある。

特に、同監督が描く「叶わぬ恋の切なさ」みたいなシーンを観た直後は、大仰にも「あー、何か『創作』のある星に生まれてよかったぜ!」みたいなエンドルフィンMAX状態になるのである。

上に挙げた『バットマン・リターンズ』とか『ダーク・シャドウ』あたりは、正に「ほんの『切なさ』1シーン」により、作品自体を大好きになってしまった。

ほかの人が同じシーンを観て、全員が同様にエンドルフィンMAX状態になろう筈もなく、、、要するに、、、一周して、私が個人的に「その世界観に嵌まっている」だけという「分かりやすい説明」に戻ってくることになる(何という二度手間!)。


さて、このままだと「映画」の話だけで終わってしまう。

「映画」の話はいったん置き、冒頭の約束どおり「恋愛」の話も書くこととする。

私が知る男に「ホラ吹き」というか、「話をデカくしがち」な男がいる。

その男は、私のことを「親友」のように思っていると言ってくれたことがあったが、私の彼に対する気持ちは、、、何かもっと色々、、、複雑である。

「愛しさと煩わしさ」が絡み合ったような感情を込め、私は彼を「口八丁」さんと呼ぶ。

「口八丁」さんは、その名のとおり口が達者で、ときには「どう考えても、アンタ、その話、あんまり知らんだろ」という内容の話を、あたかも「めっちゃ詳しい人」のように語ったりする。

この手の人物に多く、語り始めると声も大きく、自信に満ち溢れているので、この男をよく知らない人は、何となく説得されてしまったりもする。

話を盛ることも日常茶飯事であり、私も何度か、彼の盛った話に右往左往させられたことがある。

しかも、この手の人物に多く、基本的に「めっちゃいい天気の日の、雲1つない青空」みたいな性格をしているので、話を盛ったことも忘れており、「そんなこと言ったか?まあ、それよりも、、、」みたいに悪びれもしなかったりする。

そして、「周囲を混乱させるが、自信があり、ちょっと憎めなく、ちょっと風変わりな男」にときどき起こり得ることだが、結構、人気のありそうな女性と付き合ったりもする。

この「口八丁」さん、お世辞にも「イケメン」からはほど遠い男だが、、、奥さんは結構な美人で、しかも優しい

私も「なぜ、この男にこの女性が、、、」と、何か「社会の矛盾」みたいなものを(こっそりと心の中で)感じたことがたびたびある。

そして、「口八丁」さんも結構それを鼻にかけており、調子に乗ると披露する「エビフライ」の話がある。

「口八丁」さんいわく、その話の中に「美人の心を射止める秘訣」があるらしい。


当時、洋食レストランで見習いシェフをしていた「口八丁」さんは、お店でウエイトレスをしていた美人に恋をした。

安月給で、且つ競馬好きでもあった「口八丁」さん、あまり懐具合もよくないが、何とか彼女をデートに誘いたいと思ったらしい。

ある日、給料日の直後、少しお金も溜まった「口八丁」さんは、ついに彼女を高級な洋食レストランに誘った。

高級レストランで、「オレもいつか一人前になって、こんな店を持ちたいんだ。付いて来てくれるかい?ハニー」、、、みたいなことを「口八丁」さんのことだから、言ったのだろうか??

そして、カッコつけて、高級な「〇〇ステーキセット」とか、「〇〇フルコース」みたいなものをオーダーしようとメニューを開いた「口八丁」さんは唖然とした。。。

要するに、そのレストランを甘く見ていて、予算オーバーだったらしい。。。(もっと調べて来いよ!)

そのとき、彼はメニューの片隅に安い「エビフライセット」を見付けて、「実は、ここはエビフライが人気で、、、」と咄嗟に「口八丁」さんならではのリップサービスを美人相手に始めたらしい。

、、、しかし、せっかくのエビフライのアイデアだったが、デザートやら何やらを追加注文した挙句、何と、会計の際、、、お金が足りなくなった(!)

そして彼は、「あっ、お金の入っている方の財布を忘れた!」などと咄嗟に口八丁なことを言って、美人にお金を借りて会計したらしい。。。

その後、何度か「あっ、あのときのエビフライのお金だけど、、、もうちょっとだけ待ってくれないかなぁ?」みたいなやり取りを美人とするうちに、少しずつ2人の間の会話が増え、関係が深まり、、、無事にゴールイン!となった、、、とのことである。

「口八丁」さんは、「カッコつけてる男には、カッコつけてる女しか寄って来ない。気取ったお店に誘っても、カッコ悪い自分は、所詮カッコ悪いままだ。カッコ悪い自分も愛して、最後はそれをカッコ付けずに、好きな女の前でさらけ出せるかどうかだ、、、」みたいな、何とも手前勝手な恋愛哲学を繰り広げ出す始末である。

いやいや、ただ単に、アンタ金なかっただけでは??


調子に乗った「口八丁」さん、「まあ、恋愛には確かにもある。もしオレが大金持ってて、カッコ付けて、たっかいフルコースでも頼んでいたら、彼女とは結婚できなかったかもしれないし、可愛い子供たちも生まれてくることはなかったんだろうなぁ

そして、「『「海老(エビ)で鯛を釣る』」とか言ってる奴がいるが、それがどうした?オレはエビで嫁さん釣り上げたぞ~!子供も付いてきたぞ~。大漁だ~ワッハッハ~」などとご機嫌な様子であった。

、、、

、、、さて、この話、初めて聞いたときは何とも思わなかったが、後になって、何かちょっと面白い話でもあると感じた。

「口八丁」さんのちょっとカッコ付けたい性格と、あまりカッコ付かない性格が表れていて、奥さんの方が、その飾らない性格を愛おしく感じた、、、のかどうなのか、最後の方はよくわからんが。

エビフライの神」が取り持った「男女の仲」か。。。

冒頭で、映画の中の「叶わぬ恋の切なさ」が心に沁みるという話をしたのだが、何だか「叶う恋」の話を書いてしまった。

私にとって、「お題ずれ」はいつものことである。

、、、しかし、「エビフライが結び付けた男女」の話、なかなかに面白いけど、どうせ「口八丁」さんのことなので、私はきっと「ホラ話」なんだろうと思っている。

、、、今度、じっくり話す機会でもあったら、いっそのこと「真偽のほど」を徹底的に問い詰めてやろうか、、、

、、、などと思っていたが、その内、それも叶わぬ願いとなった。

「口八丁」さんも、憎まれつつ、愛されつつ、天国に行ってしまったのだ。

色んな「ホラ話」、楽しかったけど、あのエビフライの話、あれもさすがに自慢の「ホラ話」の1つだろ? 「口八丁」さん?

今度、帰省したときに、「誘われた美人」の側にでも、私の「エビフライにより授かった命」の真偽のほどを確かめてみようか? 

、、、いや、やっぱりそれも野暮だし、やめておこう。

あっ! 冒頭で、ティム・バートン監督の好きな作品を1つ書き忘れた!

『ビッグ・フィッシュ(Big Fish)』である。


英語の”Big Fish”には、「誰も信じないホラ話」というスラング的な意味があるらしい。

映画『ビッグ・フィッシュ』のあらすじも、そのスラング的意味合いに掛けたストーリーとなっている。

(簡単で雑なあらすじ)
主人公の父親は、昔から「ホラ話」ばかりしている。
主人公は、成長するにつれ、そんな父親を鬱陶しく感じ、次第に距離を置き始める。
ただし、父親の死期が近いと聞いて、久しぶりに実家へ戻る。
病床の父親は、相変わらずな様子で、主人公はまたもや呆れるのだが、、、。

監督独特の幻想的な映像がとても楽しく、これまた私の大好きな『はてしない物語』を映画化した『ネバーエンディング・ストーリー』を初めて観たときのような感覚を味わった(大好きなのは、原作『はてしない物語』の方だが、映画の方もスキである)

そして、この映画には「叶わぬ恋の切なさ」ではなく、「叶う恋」のときめきが描かれていることも思い出した。

「エビフライ伝説」真偽のほどを明らかにするより、エビで大漁を成し遂げた「口八丁」さんの話を引き継ぎ、今度は自分の人生で大きなエビを釣り上げる『ビッグ・シュリンプ』のストーリーを紡いでいった方が、きっと何か楽しそうだ。

それにしても、「口八丁」さんの最期は、映画『ビッグ・フィッシュ』のようにドラマティックなものでもなく、結構、あっけなかったけど。。。


映画『菊次郎の夏』を撮り終えた後、北野武監督がメディアから「どうして、このような作品を撮ったのか?」と聞かれていた。

シャイな武さんは、「いや~、墓参りみたいなもんだよ」と答えていらっしゃった。

今年の夏、もうすぐ私の親父の七回忌だ。

シャイな私も、何か「墓参り」みたいな記事書いてみた。


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