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2020の集大成(前編)

コンフォートゾーンを置き去りにドイツで朝四時まで年越しパーティーして、見事に日の出を逃し、新鮮で冷えた空気の中ついに2020か、と実感できなかったり。コロナでドタキャンされたフライトで帰国できなくなりそうになったり。三年間の片思いを真誠に書き残した手紙を渡したり。関係が高校のクラスメイトから親友に昇進した夏だったり。イギリスの感染者数が増え続ける中、新しいフラットの契約の件もあるので、祖母の反対を脇にロンドンへ戻り、そわそわしながら大学が始まり。かと思いきや全オンライン授業化、そしてロックダウン。元から群衆は苦手で、静かな場所を好む私にとっては苦ではなかったものの、美術館やギャラリーの閉館で、私の日々はパソコンのスクリーンと、スケジュールの合わない生活音と、眠れない夜であった。フィルム現像するまで死ねない、冷蔵庫にある最後の一パックで納豆ご飯を食べてから考えよう、そんな大学生活でした。(以下の内容に暗い話がございますので明るい気分を保ちたい方は他の記事をご覧ください)

人見知りしない私ではあるけど、パーティーという、音が激しく、落ち着けられないイベントが苦手なのと、健康第一を心得る者にとって、大量のアルコールを体内に流し込み、生活リズムを無視することは最悪感でしかなかった。けれど当地の恒例イベントにお招きされたので。経験として、出来るだけ自分の拘りを忘れて馴染んで楽しもうと思った。新しい友達ができ、英語が苦手な彼らが頑張って語ってくれようとする様子は愛おしかった。そんな気持ちで一年は始まった。

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昨夜のパーティーや花火が嘘みたいなほど澄んだ空


イースターホリデーは帰国する予定がなかった。けれど大学のコースメイトたちとの挨拶もコーヒーブレイクも放課後のおしゃべりも全て話題がコロナ一色。「明日のフライトなんだ!」「もう荷造りしてる〜」そんな中、親とする毎週末のビデオ通話での話題も案の定ウイルスの話になり、「近いうちに帰ってきな」とのことだった。つい最近買った食材を無駄にしたくなかったのと、荷造りの時間を入れて余裕を持って三日後の台湾行きフライトを予約した。翌日の朝。『予約のフライトはキャンセルされました』こんなに迷惑なメールは受信したことない。朝ごはんも忘れてロンドンから台湾行きのフライトを探すが、どのサイトも目的地を台湾に設定した瞬間バグる。震える声で航空会社に電話で問い合わせると、台湾行きの最後の飛行機はあと二時間で離陸すると。台湾はこの頃から既に厳しく国境の出入り管理をしていたのです。さて、どうする。父の調べた結果、当日ならロンドンから日本はまだ二便あると知ったので、直ちに緊張で冷えた指先で当日午後の片道フライトを予約し、二時間でパッキングし、スーパーへ走って数少ない紅茶やお菓子を少々お土産として購入し、空港へ向かった。スーパーの棚は空っぽに近かった。キャンセルメールを開いた瞬間から五時間後、私は空港へ向かうウーバーに乗っていた。


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高速バスに乗った直後、心がいっぱいになって泣いた
おじいちゃんお仕事お疲れ様です、あなたの暖かい接客を通じて日本へ訪れた人々は皆少し優しくなれたと思う


そして日本から台湾へ。二十歳の誕生日はよりによって、自宅隔離の最終日だった。自宅隔離とはいうけど、実質は自室隔離。部屋から14日間出ることなく、真面目に隔離をした。ドアの外には母とペットがいるのに触れられない。抱きつけられない。なんて年だ。そしてイースターホリデーが終わり、初のオンライン化授業開始。時差と慣れないシステムで悩まされる。マウス腱鞘炎になったり、自分のスキル不足に気づいたり。ニュースは暗い話と増え続ける数字。14階からは綺麗に死ねるのだろうか、何度か頭を横切ったものの、愛する母の顔が浮かんでしまって私は自分を殺すことができなかった。


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元気…じゃないな
私は五年前のあなたが考えもしなかった選択をしてるよ
後悔はしてない
だけど今パンダミックで、世界中大変なことになっていて、悩むスケールが桁違いになってるの


(前編はここまで)文字数が多くなりましたがここまで読んでくださった方々へ感謝いたします。後編でまたお会いしましょう!

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