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コロンナータのラルド(Marmo e Cibo vol.1)

Marmo e Cibo vol.1 コロンナータのラルド

山道を小さなマニュアル車が吠えるように登っていく。

よく晴れた春の日、目の前には白い山肌を見せた山。向かうのは、2000年前から山の男たちが命をかけて、石と共に生きてきた町コロンナータ。

コロンナータを含むカララ地域の大理石は「ビアンコ・カララ」という白大理石で有名で、かのミケランジェロもこの石の美しさに惚れ、ダヴィデ像もこのカララの石で作られている。

そんなカララのすり鉢(モルタイオ)はこの地では伝統的に嫁入り道具として、母から娘へと受け継がれる。

カララの中でも、コロンナータの大理石は硬くてアルカリ性に強い。そこで生まれたのが、コロンナータのラルド。今日はそんな石と食の話をする。

トスカーナ州コロンナータの人口は約250人。このあたりは大国のフィレンツェ、ピザ、ルッカに囲まれた山間地で、産業は大理石以外に乏しい。
大理石が採れるということは、土がないので作物が育たず、庶民は長い間クッチーナ・ポーヴェラ(庶民料理)を育んできたのだろう。売れる食材は当然フィレンツェなど周りの裕福な町へ行き、山の民が大切に育てる豚はラルド(背脂)が残った。

そこで、山の民は、普通のサラミのように乾燥させて熟成させるのではなく、ラルドを大理石に入れて、塩とハーブやスパイスと一緒に熟成させてみた。すると、あら不思議。まろやかな甘みが広がり、芳しい香りが口に広がる。美味しい。そんな発見から、今日のラルドが生まれた。

その起源は2000年前とも言われる。この辺りは夏も温度が上がりにくく、空気が乾いている。石の中で温度を一定に保ち、石の間からゆっくりと水分を蒸発させ、スパイスやハーブが溶け込んだ水を吸いながら、最低6ヶ月間熟成させていく。するとミネラルを含んだ石の成分で筋がなくなり、スムーズな口触りとともに、芳醇な旨味をもったラルドが生まれるというわけだ。

世界広しといえども、ラルドの奇跡はこの地で起きた。硬い大理石の産地で、庶民が知恵を絞り、手持ちの食材で生み出す。まさにMarmo(石)とCibo(食)の最高傑作である。

さて、ここから「Marmo e Cibo」の旅が始まる。


そんなコロンナータで食べた食がこちら。
・Lardo e Carne salada 自家製ラルドとサラミ
・Polenta lardellata ラルドとラディッキオを載せたポレンタ
・Tagliolini al tartufo トリュフのタリオリーニ
・Manzo lardellato 牛肉のラルド載せ
・Semifreddo di pistachio ピスタチオのセミフレッド

感動の美味しさ。クッチーナ・ポーヴェラは奥が深い。


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