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中国の京都風施設が営業を再開

みなさんこんにちは。日本は梅雨のシーズンに突入し、寒暖差の激しさを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ゲリラ豪雨のような雨もあり、外出時には注意も必要です。

ちなみに梅雨(つゆ、ばいう)は東アジアの広範囲においてみられる気象現象だそうです。日本では小笠原諸島と北海道を除く地域で見られます。中国にももちろんあります。本題に入る前に中国の梅雨についてご紹介します!

中国の梅雨 「うめ」がキーワード

「梅雨」の語源は、雨の多くなる5〜7月がちょうど梅の実が熟す時期であるからという説があるようです。中国や台湾では「梅雨méiyǔ」、や「芒種雨mángzhǒngyǔ」と呼ばれることがあるそうです。また、梅が熟して黄色くなる時期に振る雨という意味で「黄梅雨(ファンメイユー)」という言葉も使われるそうです。

また、中国全土で梅雨があるわけではないようです。中国北部や内陸部を中心に梅雨があり、北京やハルビンは梅雨がありません。この時期に中国に観光に行く際は北京などの都市がおすすめですが、梅雨がない分春がすぎると一気に気温が上がるようです。

ちなみに梅が熟す時期という説以外にも、カビが生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、これが同じ音の「梅雨」に転じたという説、この時期は「毎」日のように雨が降るから「梅」という字が当てられたという説もあるようです。(参考文献:http://www.lelehanyu.com/blog/post-173.html


🌟本題に戻りましょう🌟

今回お伝えしたいのは、中国にある日本風施設が営業を再開したという話題です。注目するのは2021年に8月にオープンし、わずか1週間で営業停止してしまったある施設です。

中国の遼寧省大連市に昨年オープンしたのは、「盛唐・小京都」と呼ばれる複合商業施設です。オープン時のテーマは一目でわかる「日本風」です。日本の京都の街並みをイメージしています。


この施設の企画に携わった企業が公開しているデータによると、当初のコンセプトは以下のようです。

・京都、唐王朝のイメージ
・広大な敷地に約1000戸の住宅、別荘
・約100件の店舗が入った商店街
・住宅と店が一体となった街づくり

住宅と店が一体となった街づくりという観点から、京都のような街にしようというアイデアが生まれたようです。京都の清水坂へつながる二年坂や三年坂、その道の両側に広がる小さな店々。店舗ごとにカラーを出すのではなく、街並みとして一体感のある商業施設にしようという考えです。

しかし狙っていたのはそれだけではありません。
日本の京都をイメージしつつも、中国・唐の時代の文化を大連に再び作るということです。都市化が進み発展が加速する中国では消えつつある唐王朝の文化、街並みを作ろうという試みです。

元々、日本の京都の街並みや建物は、唐王朝時代の文化を取り入れたのが始まりです。そこに日本独特の四季や季節感、文化が加わり形成されてきました。ですので、京都✖️唐王朝は実は馴染みが良いのです。施設名の「盛唐・小京都」はそのふたつの要素が含まれています。


オープンから1週間で営業停止

この施設は2021年8月末にオープンするも、インターネット上で「日本文化による侵略だ」という批判の声があがり、わずか1週間で営業停止していました。行政が関わっていたプロジェクトにも関わらず、なぜ1週間で営業停止となってしまったのでしょうか。

その大きな要因がSNSでの炎上です。

この商業施設の企画に関しては、日本の企業、中国の企業だけではなく大連市の自治体も参加している大きなプロジェクトでした。2018年から動きがあり、当時から大々的にスタートしていたため地元市民や関わる人たちにとってはよく知られていたものでした。

ですが、それ以外の人々はオープンとなってからはじめてこの施設のことを知り、炎上となってしまいました。批判の声の多くが「愛国批判」です。中国という地に他国の文化を入れ、侵略しているように写ってしまっていました。

また、大連市が関わっていたことに
より、中国国民から集めた税が使われているという点に対しての批判も多くありました。中には事実ではない情報をもとに批判する声も少なくありませんでした。

日本カラーを薄めた新コンセプト

この施設はコンセプトのひとつである「日本の京都」感を薄め、ロシア、モンゴル、韓国など多国籍なイメージを持つ複合商業施設として、2022年2月に再オープンしました。

それに伴い施設の名称も、「盛唐・小京都」から「金石萬巷」に変わりました。新しい名前の「金石萬巷」とは、施設のある大連金石灘地区の「金石」からきているようです。言葉のイメージとしてはまごころを尽くす人といったところです。

店舗の外観など大きな部分はあまり変化がないものの、商店街に並ぶ見せのジャンルが変わったようです。全体的に日本色を薄めたものの、もともと開店予定だった日本食店や鮨屋、日本の雑貨屋や食材を扱う店は人気を集めているようです。


ネット上の反応

もともとこの施設が営業停止に追い込まれたのは、SNS・インターネット上での炎上が原因の一つでした。昨年のオープンから約半年かけて新コンセプトによる再企画を行いオープンしたこの施設について、SNSではどのような反応があるのでしょうか?調べてみると異なる2つの意見がありました。

✋批判の声

↑こちらの投稿は比較的ネガティブなコメントが多いようです。再オープンの記事をスクリーンショットした画像を載せた投稿です。

投稿者:「日本の色を薄めただけで、実はあまり変わっていない」

投稿に対するコメント
・この件についてなぜこんな極端な考えを持っている?ビジネスなんだからそこまで気にしなくても。。。
・他国の文化も認めたら良いのでは
・こんなところに行く人は弱い(愚か)な人だ
・外国にある中華街とはまた違うのよね
・日本嫌いだしいやだ
・(戦争を踏まえて)中国の土地にこんな建物を作るな

建物自体ではなく、日中関係に絡めて批判の声をあげる人が多いようでした。中国インターネット上をみると、どちらかというと批判の声の方が多く見受けられるようです。

一方で、批判とは反対の声もあります。

✋賛成の声

↑この投稿をした方はおそらく日本が好きな方のようで、旅行の情報や旅の提案をよく投稿している方です。施設に実際に足を運び撮影したビデオも添付されています。

投稿者:ここにいれば日本の文化、美食、商品がたくさんあるから楽しく遊べるよ。ちょっと違った日本の食べ物もあるよ。

投稿に対するコメント
・大連って楽しそうなところがこんなに多いの?
・ちょうちんがいっぱいあってそこで映えそう、写真撮りたい
・ここに行きたいな。でも遠いしコロナだし今年はむずかしいな
・大連ってこういう民族的な街だよね 旅行の街だね。

おそらくこの投稿にコメントを寄せている人々は旅行好きな方が多いのではないでしょうか?そういった方は他国の風習や異文化を受け入れやすいのかもしれません。


今回調査を行なって私たちが感じたのは、投稿者やそれを見ているユーザーによって支持されている意見が異なるということです。たしかに先にご紹介した投稿を中心に見ると、批判の声が多数上がっているという意見に説得力が出ます。しかし、次にご紹介した投稿を中心に見ていくと、意外にも受け入れられているようにも感じます。

批判の声がないとは当然いうことはできませんが、「インターネット上の声」として提示された情報だけが事実かどうかはわからないと感じます。改めて、このようにインターネット上にはさまざまな意見があり、どこに注目するかどこが盛り上がるかで全体の印象が大きく変わることを実感しました。情報を発信する側だけでなく、受けとる側としても意識したい点です。


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