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ゴッホがゴッホになるまでを見て地べたから考える

「絵が、動いている感じがするよね」

息子が、かつてゴッホの絵を見た時にいった言葉。

躍動感があって、空気がふるえているような、絵。

心から惹かれるけれど、リビングやダイニングには飾れない。

常に魂を揺さぶられそうで。

落ち着かなくて。ドキドキして。

そういって、息子と笑ったことがある。

そんな贅沢は、ありえないのだけど。


ひと目で惹きつけられる絵と、激しい生涯から天才と呼ばれる画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。

今、都美術館で展覧会をやっている。
(今後全国を巡回予定)

20211021ゴッホ展看板

個人コレクションとして世界最大のクレラー=ミュラー美術館から、ゴッホの作品が来ている。

絵画28点に素描・版画など20点。
それに同時代のほかの画家、ファン・ゴッホ美術館からも作品が展示されている。


天に向かってドリルを回転させていくような糸杉、『夜のプロヴァンスの田舎道』(上の看板の絵)

太陽の光まぶしい、『種まく人』(絵葉書より)。

20211021種まく人


ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)は、無名だったころからゴッホのコレクションを始めている。

むしろ彼女が収集し紹介したことが、ゴッホを有名にしていったひとつの要因となっているそうだ。

ていねいに、初期の素描や初めての油絵を拾い上げていった、ヘレーネ。


私は、その素描から目を離せなかった。

正確で、繊細で、ていねいで、力強い。

ああ、この素描があって、あの絵が成り立っているのだ、と。

当たり前の事実を、改めて感じる。

何度も自分のタッチを探し、表現を試み、苦しんだゴッホ。

その足跡の一部を見ることができた。



あのデッサンの上に、生命がほとばしるような絵の具がのっていったのだ。

ゴッホは、命を懸けて絵を描き続けた。


死後、ヘレーネが集め、紹介し、ゴッホの名は少しずつ広がっていった。

ゴッホがゴッホになるまで、歩んだ―――

その道のりと絵を、見て感じることができた。

自分の絵を探す、その道程を。

20211021ゴッホ糸杉

今や星のごとく輝くゴッホを見ながら、考える。

はるか遠く、地べたから。

自分を自分たらしめるものは何だろう、と。

平凡なる者でも、いくつになろうとも、這いつくばりながら、考え続ける。


※最後の絵は著作権フリー写真よりお借りしました。

ありがとう花火と宝石


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