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おいしい味とひまわりの笑顔を遺してくれた方へ

お料理家の舘野真知子さんが亡くなられた。
健康にいい、発酵料理などを発信していた方。
まだ48歳の若さで。

友人の主宰するお料理教室やイベントなどで、何度か教わった。

明るくて、声が通って、作り方が明快で。
なるべくかんたんに作れて、栄養たっぷりのレシピを教えてくださった。

愛用書はこちら。

サイン本が、宝物になった

忙しさにかまけて、作った数は多くないけれど。
今の季節なら、キャベツのうまみ漬けやもみ漬け、新玉ねぎの甘酢しょうゆ漬けがすき。

レシピはたくさんあり、野菜別、味別の索引があり、道具や調味料もていねいに紹介されている。


親しかった友人が教えてくれた。
「最後の本の撮影を終えて、危篤になった」
「自分のやりたいことがはっきりしていて、最後までやり切ってから逝ったのだと思います」と。



「余命」を知らされたとき。
仕事をしている場合ではない、と会社や仕事をやめる方も多い。

ある男友だちは、一年間に同い年の友人が3人亡くなったそうだ。
当時、50代に入ったばかり。
「こんなことしている場合じゃない。今しか時間はない」と高収入の仕事をすっぱりやめて、ずっと好きだったスポーツ・バスケットを始めた。
前からやっていたけれど、週に3回体育館に通って。
スポーツ選手になるわけではない。
喜びのために。

私も「余命」を知ったら仕事をやめるだろう。
行きたいところへ旅をして、見たいものを見るだろう。

この映画のように。こんなに裕福ではないけれど。

でも舘野さんはちがった。

仕事を最後までやり切って、亡くなられた。

天職だったのだ。

8代続く農家で生まれ、管理栄養士となってからアイルランドへ留学。
レストランでフードコーディネーターを務めてから、独立。
外国人と日本人が交流するお料理教室の講師や、NHK「きょうの料理」の講師、料理本の執筆。著作は英訳もされている。

体にいい発酵料理を広めたい、という熱意があった。
勉強熱心で、イタリアやアメリカでも勉強し、海外の料理イベントにも積極的に参加された。

勉強したことを生かして、国内でイベントを開いた。

いつもイキイキしていて、笑顔がチャーミングだった。
いるだけで、その場が華やいだ。

食育にも熱心で、子どもたちに教えるのが大好き。
お子さんはいなかったから「その分、身近な子に伝えたい」と、来てくれた子どもたちをかわいがっていた。

愛と熱意と、味。

コロナになってからお目にかかっていない私は、病の長い苦しみを知らない。

記憶にあるのは、パァッと明るいひまわりの笑顔。

大らかな笑い声。

「大丈夫!」
「すぐできるから」

肯定的な言葉。

ひと言でいうと、気持ちのいい方。

寂しくて、悲しい。

心からご冥福をお祈り申し上げます。

私も自分が死ぬまでやりたい仕事を、もう一度探します。





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