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人から決めつけられないための逆転の呪文~逆ソクラテス

人からいわれて、自分を縛り付けてしまう言葉があります。
一度いわれただけで、一生苦しめられる言葉もあります。
そんな言葉をはねつける、魔法の言葉を教わりました!

小学一年生への屈辱の言葉

私が小学校一年生の運動会で。
全員の種目を終えて、戻るときに私が少し遅れました。
その時の先生の言葉が忘れられません。

「ちづこはいつものろまだからな」
みんなの前でいわれた言葉のショックを今でも覚えています。

私はのろまなんだ。いつも、なんだ。
長いこと、自分のグズや遅さを呪いました。
実際体育が不得意なこともあって、ますます委縮しました。

でも考えたら、体育ができないこととのろまとは関係がありません。

思い出すと、その時に別の種目が校庭で始まり、ふとそちらを見て前の人との間が少し空いただけでした。
クラス全員の前で大声で「いつも」といわれるほどのことではありません。
そんなことを明確に思い出せるほどショックでもあったのです。

言葉が呪いになることがある

私が小学校のころは、教師が神聖視されていました。
絶対的で逆らってはいけない、正しいのだと思わされていました。

一方で今ほど教育法が発達しておらず、不勉強な教師が多かったように思います。
今はどうなのでしょう。変わってはいないのでしょうか。先生の個人差が大きくなったとは、感じています。

友人と話すと、子どもの時に教師に言われた屈辱的な言葉を忘れていないことが多いのに驚きます。
それだけ影響力があったのです。

違う先生でも、いくつも思い出します。
「お前はいい加減なノートの書き方をするなあ」
「(係を決めるのに迷っていたら)あれもこれもって欲張りだなあ」

教師だけではありません。

親戚や、何よりも親からの言葉。

今もチクチクと私を苦しめます。

息子への厳しい対応

息子も一時苦しんでいました。

小学校4年生の時と相性が悪かったんです。
きちんとした女の子が好きな、厳しい女性の先生でした。
息子は、先生が好きじゃない、という態度を見せたのでしょう。

友達とおしゃべりをしていたら、息子だけ叱られた。忘れ物をした何人かのうち、息子が特に強く注意された。
そんなことが何度か続きました。

息子は怒っていましたが、ある日先生をスルーするようになっていました。
まずいなと思い、じっくり話をしようとしましたが、あまりいいたがりませんでした。

私からも申し入れをしましたが、あまり改善されませんでした。
ただ周囲の先生やPTAの役員さん、お母さん方と話をしたら、先生自身が不安定だったようです。

情報を集めて、PTAの方からなど周囲からいってもらって、少し変わりました。息子は一時かなりやる気を失って、心配しました。
でも仲のいい友達と仲良く行き来して話すうちに元気を取り戻していきました。

魔法の言葉をいい返す

私が子どもの時に、息子が苦しんだ時に、この言葉を知っていたらな、と思います。
魔法の言葉を教えてもらいました。

「私はそうは思わない」

それをちゃんと言い返す。

言い返せなかったら、自分に言い聞かす。
自分の言葉として。

かんたんだけど、効果があります。

運動会で小学一年生がいえる言葉ではありません。
でも自分でいえばいいんです。
「私はそうは思わない。
私はのろまじゃない」

今だって自分にいいたくなります。

息子に教えたかったです。

子どもを決めつけたがる大人にいい返すのです。

小学生の発想と言葉

これは伊坂幸太郎『逆ソクラテス』に出てくる言葉です。

自分を正しいと信じている、物事を決めつけて、それをみんなに押し付けようとしている、そんな権威主義の先生や先生お気に入りの生徒に対抗する、小学生の発想です。

「どこにでもいるんだよ。『それってダサい』とか、『これは格好悪い』とか決めつけてえらそうにするやつが」

確かにその通り。

そして「僕はそうは思わない」という言葉を伝授します。

小説では、安斎という小学6年生の少年が、仲間が常にある先生から軽んじられているのに憤慨し、あの手この手で先入観を覆していきます。

小説でははっきりと書かれていませんが、その仲間はおかげで「できないやつ」のレッテルをはがして大人になって変わります。
小学6年生の数か月で、人生が変わったのです。

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作戦を実行した安斎自身は不幸な生い立ちで、その後もうまくいかなかったことがにおわされています。
でも、この言葉とこの発想は一生彼を助けている、と信じます。

『逆ソクラテス』には5つの短編が入っています。
逆転の発想、裏技、心にとどめておきたい言葉と発想が詰まっています。
本屋大賞の候補作でもあります。

小説には、実にいい先生も出てきます。
その先生は伊坂幸太郎の小学校4年から6年の担任の先生と同名で、「勉強とはまた違う、大切なことをいくつも教わった」そうです。

小学生が主人公の大人向け小説は珍しいですよね。
小学生でもここまで考えているのだと、気づかされました。
忘れているだけで、考えていたのだと。

大人の今も大切に

小学生の私に教えたい言葉。
教えたい発想。

息子に教えたい言葉。
教えたい発想。

いくつもちりばめられています。
たとえば――

特別な人間はごく一部だけど、「約束を守るやつだ」って思われることはできる。そういう人は幸せになれる。

子どもだけではなくて、大人の今も大事なことです。

先入観を跳ね返し、大事なことを心に刻む。

あなたが、あなたの子どもが決めつけられそうになったらいいましょう。
「私はそうは思わない」。

私もいいます。
そう思わない時ははっきりと。


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