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ジョージア議会が「反スパイ法」可決

南カフカス地方の旧ソ連構成国、ジョージア(グルジア)の議会は14日、スパイ活動の抑止を名目とした「外国の影響の透明性に関する法案」を賛成多数で可決した。タス通信などが伝えた。首都トビリシでは12日ごろから、法案に反対する国民らが20万人規模とされる大規模な抗議デモを実施。治安当局が鎮圧に乗り出し、14日までにデモ参加者数十人を拘束した。

法案に対しては、ジョージアが加盟を目指す欧州連合(EU)や米国も反対の立場を表明。法案の可決でジョージアと欧米の関係悪化は避けられない情勢だ。

法案は、外国から一定の資金提供を受けて活動する団体を事実上のスパイとみなして当局への財務報告を義務付け、違反した場合は罰金を科すとする内容。4月上旬にコバヒゼ政権の与党「ジョージアの夢」が議会に提出していた。

ただ、類似の法律「外国の代理人法」が施行されているロシアでは、プーチン政権が反体制派勢力や人権団体、独立系メディアなどを弾圧する道具として同法を活用している。このためデモ隊は、コバヒゼ政権がロシアのように法律を恣意(しい)的に運用し、政治弾圧に使う恐れがあると反発。「EU加盟が遠のく」とも主張し、法案に抗議するデモを繰り返してきた。

一方、コバヒゼ政権は「法案は外国勢力の活動を監視するために必要で、EUとジョージアをむしろ近づける」と主張。欧米側の批判やデモ隊の主張には根拠がないとして法案成立を目指してきた。

議会での可決を受け、法案は発効に必要な署名のためズラビシビリ大統領に送付された。法案に反対する同氏は署名を拒否する意向を示している。ただ、同氏が署名を拒否した場合でも議会が再び可決すれば法案は成立し、発効する。

産経新聞Web版2024/5/28閲覧

 旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)からの報道によると、同国議会本会議は28日、外国の資金提供を受けるNGOなどを事実上「スパイ」と見なす法案について、過半数の賛成により再可決した。ズラビシビリ大統領が発動した拒否権を無効化するもので、同法は成立。議会前には採決に反対する数千人のデモ隊が集結し、警官隊と衝突して混乱した。

 法案は、ロシアに融和的な与党「ジョージアの夢」が14日に採決を強行し、可決された。親欧米派の野党は、プーチン政権下のロシアのような弾圧につながると訴え、連日抗議デモを展開。親欧米派のズラビシビリ氏も法案成立に必要な署名を拒んでいた。

時事通信2024/5/28閲覧

私なりの考えを述べたい。

コバヒゼ政権が、ウクライナ紛争の二の舞を踏みたくなくて、先手を打ったのは確かであろう。

旧ソ連に隣接する、ウクライナやジョージアを代表とする諸国では、親ロシア派(が多数派を占める地域)と、むしろEUやアメリカとの接近を望む勢力(が多数派を占める地域)の間の緊張が存在していた。

「独裁者」プーチンの率いるロシアが、旧ソ連地域の属国化を望んでいることは確かであろう。その一方、アメリカは、旧ソ連地域の対ロシア防衛のために兵器を売る「死の商人」である。NATOに加入しているとはいえ、EU諸国は、アメリカとは一線を引いた立ち位置であろう。

そうした意味では、冷戦時代の米ソ関係は決して過去のものではない。

ガザ地域とイスラエルにおける紛争も、ハマスの背後には、むしろイスラム諸国あるいはEUの一部の国とのパイプの方が強いであろうが、やはり、イスラエル支持を撤回など決してしない宿命にあるアメリカの存在が大きいという意味では、共通の構造であろう。

世界は、アメリカのみが超大国になることへの抵抗の中に存立している。中国が一番強大であるが、中国にせよ、ロシアにせよ、民主化への動きが見事に封じ込まれ、報道統制等はあるにせよ、それぞれの国民の多くは現政権を支持している。

EUの求心力は弱くなっている。

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ひるがえって、日本の場合はどうか。

仮に中国との間で紛争が起こったとしても、いくら日米安保条約があるとはいえ、実はアメリカ軍自体が損害を受けることは望んでいまい。

だから、日本の憲法改正、再軍備を支持していると思われる。日本に各国への経済支援を肩代わりさせる。日本に武器や資源を売り、焼け野原になるのは日本ということになる。

9.11がアメリカ人にとってあまりにも大きな衝撃となった背景には、「アメリカ本土は焦土にならない」という、アメリカ人の思い込みを、ものの見事に覆したからであろう。

自由と正義をかかげる戦争には、必ず武器・資源を売りつけようとする国との関わりに依存させられようとなる側面がある。これは過去の歴史で数限りなく繰り返されて来た冷然たる事実である。

それでも戦おうとすれば、先の大戦における日本のように、国民の犠牲のもとに、資源をすべて食い尽くしての消耗戦のもとに降伏するしかなくなる。

岸田政権が崩壊すべきことは言うまでもない。だがそれが自民党を下野させることにつながったとしても、法律的側面での右傾化の流れを阻止することにはなっても、経済政策の面ではむしろ混乱し、国民の生活はむしろ苦しくなるかもしれない。野党に政策立案能力が育っていなさ過ぎる。

新政権は、あいかわらず、「お人好しなまでに」アメリカのいうがままになろうとするかもしれない。

しかし、その危険を冒してでも守らねばならないものはあるだろう。

昔、小林よしのりが、末期の「ゴーマニズム宣言」で、「日本では右翼論客も、アメリカとの軍事関係から独立すべきとは決して言わない」と書いていた。

私は、日米安保そのものは、もし現状が続くなら、いじらない方がいいと思う。平和憲法、自衛隊も同様である。

戦後日本は平和憲法と自衛隊と日米安保という相矛盾するものの並立の中に安全は保たれてきたし、これからも、当面そうではないのか。

アメリカは、死の商人としての「影」も巨大だが、大統領選挙がどうなるか次第で政策が大きく変わる民主主義がまがりなりにも機能している。

現状では中国が共産党支配から脱することは、とても考えづらい(ロシアは、プーチン後に何が起こるかわからないが)。

最終的には、日本も憲法改正し(ただし自民党草案とは別の形で)、「再軍備」せざるを得ない時も来るかもしれない。しかしそれは、特に中国とアメリカがこれからどういう歴史的変遷を遂げるかに依存するだろう。

その頃には、現在63歳の私はもう生きてはいないか、認知症老人としてベッドに横たわっているかもしれないが。






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