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来年の心構えは故事にならえ!

馬齢と犬馬と猿

かなり昔に読んだ司馬遼太郎のエッセイ集の中に「馬齢ばれい犬馬けんばと猿」の項に面白いことが書いてありました。

昔々、神様は人間に25年の寿命しか与えなかった。
馬には100年与え、犬にも猿にも100年与えた。
ところが馬が神様に抗議して、
「100年も人間のために働かされるのはたまりません。
そのうちの25年を人間に呉れてやりたいのですが、どうでしょう。」
と、言った。
神様はそれを許した。
すると犬も抗議した。
「100年も吠え続けてはたまらないから、自分も25年を人間にやりたい。」
神様は仕方なく許した。
最後に猿もこう言った。
「100年も芸をして人間に見られ続けるのはたまりませんから、25年を人間にくれてやります。」
そういうわけで、人間は100年の寿命を持つことになった。
ところが、
人間が人間である時期は当初の通り25歳しかない。
だから、
26歳から50歳までは馬となり、
51歳から75歳は犬、
76歳から100歳までは猿となる。

上記「司馬遼太郎が考えたこと(6)」

インドの民話『人生の四段階』、
日本の昔話『寿命定め』、
ドイツのグリム童話『寿命』、
ギリシャのイソップ寓話集の中の『人間の寿命』などにもあり、
それぞれ登場する動物や年齢に違いはあるもののストーリーのパターンはおおむね共通しています。

人の一生を動物に例えて揶揄したもので、万国共通のようなのです。


一生を通じて変化し続ける

生涯で変化し続ける自身の持つ哲学的なものを指し、これらは辛辣に的を得ていて、教訓になるのではないかと思うのです。

人間期(25歳まで)…経験を積み、人格が形成される

人は誕生時から、通常は父母の愛情に触れる事で感情を持ち、心も体も成長します。
やがて集団生活に入る事で、社会の中の一員である事を認識し、その経験の中で協調、対立、競争、あるいは孤立などの、生きてゆくためのアイテムを手に入れる時期です。

馬期(26~50歳)…なりふり構わずひたすら働いている

多くの人は、結婚するしないに関わらず親から独立して、自分の力で生計を立てる時期で、人生においては体力・知力ともに一番充実した時期であり、自分のため、あるいは家族のために、さらに高みを目指してがむしゃらに働く時期です。

犬期(51~75歳)…保守的で若い者や時代に不満を言う

自分の能力の衰えにジレンマを感じながらも、なまじ経験豊富なだけに、自身の過去と比較して不満が募り、どうしても小うるさくなってしまう。
実際に口に出すかは人それぞれですが、考え方が時代に取り残されているいる事に気付きにくくもある時期です。

猿期(76~100歳)…ついに恍惚となる

この民話では猿は能無しという設定なので、ボケてしまう時期だという事です。完全に身体的にも能力的にも衰えは確実で、社会から孤立することで、さらに衰えてしまいがちな時期です。


人間の条件

馬齢ばれいを重ねまして~」とか、犬馬けんばよわいと言うことがありますが、大したこともせず、ただ無駄に歳を取ってきたという意味です。

上記の民話に基づけば、人間としては生きて来なかったという事で、自分を卑下して謙遜する言い回しなのです。

一生を通じて、人間であり続けるためには、素直に物事を吸収して成長し続けねばならず、実際にはかなり難しいことだと思います。

人生における”経験”は貴重な積み重ねであり、何よりも”宝”であるはずのものなのですが、同時にそれは”傲慢”の種にもなってしまいます。

どうやら、その”傲慢”が成長を止めてしまう原因のようです。


謙虚であることの難しさ

人間は誰でも平等に老いて、必ずこのような年代を通ります。
それらの一つ一つはドキッとするほど的を得ていて、その時の状況や環境を考慮すると、一般的には当てはまる人は多いのではないでしょうか?

 ”傲慢”ではなく”自信”となるように”経験”を”宝”として貯蓄ししなければなりません。

そこに必要となるアイテムは”謙虚”なのです。

自分ほど経験豊富で知識のある人間はいないという思いに至った時、それは”傲慢”となり、成長は止まってします。

それは本当の意味の賢者ではありません。

世界は自分が思うよりもっと広くて深い。
得られる知識は、知っても知っても吸収しつくせないほどの膨大な量があります。

ー自分はまだ未熟だから、もっと「学び」が必要ー

というような、いい意味での貪欲さをもつ素直さが人間らしい生き方なのです。

”謙虚”は、馬、犬、猿などの動物が持たない、人間だけの姿勢でもあります。


正直、最後の猿期だけは、生き方とか心構えとか自分の意思だけでは避けられないものなので、これだけはどうしようもない事なのかもしれせん。

しかし、犬期をどう生きるかによって、猿期も幸福に過ごせるのではないかと思います。

私は現在、すでに犬期に入っていますが、自分の努力や気持ちの持ちよう次第で、犬のように吠えるだけの人間にならないように努力はしたいのです。

来年の目標として、実質的に何かの役に立つ生き方を目指していきたいものです。

皆さんはどの時期ですか?
これからの人生、ちょっとだけ意識してみませんか?


最後に

これが今年最後の投稿となります。
2021年はnoteを始めた記念すべき年になりました!
まだ半年にも満たないですが、皆さんの記事から、たくさんの刺激と知識を受け、下半期はとても充実していました。

昨日から大掃除をしていて、今日は冷蔵庫の中の掃除をします。
なんでこう、年末はバタバタするんだろう。

私の投稿は今年最後ですが、皆さんの所にはお伺いしますよ~!
私の隙間時間はスマホでnote記事を読む事ですから、皆さんの年末記事、楽しみにしています。

今年一年イヤ半年、ありがとうございました!
来年も、引き続きよろしくお願いします。





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